酒席に落語は不向き

落語日記のアーカイブ。ご笑覧ください。


▼飛び切り元気な８７歳
　昔から「旅は道連れ」、と申しますが、先のバスツアーで飛び切り元気な方と出会った。横で「中支がどうした」といきなり戦争の話を切り出した。聞いて驚いたね。

　見たところ、歳は７０そこそこだから、誰かから聞いた話をしてるかとと思ったら、「戦争に行ったことがあるんだ」と本人。目を疑った。背筋は伸びている、顔の色つやもいい、会話も淀みない。「で、お歳はいくつで」と尋ねたら８７と応えた。

▼兵隊で鍛えてある
　たまげたよ。当方が大変な思いをしてやっとたどり着いた例の滝にも、1人で行ってきたと言うのだ。「足でも挫いたら大変だから、危なっかしいところは止めた方がいいですよ」と言うと、「兵隊で鍛えてあるから平気だ」と怪気炎。小柄な体は「３７㌔」。毎月、1人で好きなバスツアーをしているとのことだった。

　バスツアーのみなさんが対象の落語会を終えたところで、女性客が「落語やっていただけますか」と言った。この人は日本生命の関係者で、千葉・鴨川のホテルで開催する「総会で落語をやって欲しい。出席者は１７０、８０人」だという。

▼折角だが断った
　聞くと、ホテルのパーティー会場で立食スタイルだという。折角だが断った。酒席で落語は出来ない。年に一度の顔合わせ。「久しぶり。元気？」「あの人はどうしてるの？」なんてグラス片手に会話が弾み、落語など誰も聴かないからだ。

　今回の「美人会」の宴会で懲り懲りだ。酒の席に落語は不向きだ。パーティー会場でのイベントは、抽選会がいいのではと言ったら、「なるほどね」と言いながら、まだ納得してない様子だった。（2010年9月9日記）以下次号に続く。