扇子と手拭い

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難しい酒の飲み方

2015-06-12 08:32:01 | 落語
落語日記のアーカイブ。ご笑覧ください。


▼教え上手の師匠
 「名選手、必ずしも名監督にあらず」。プロ野球界では、よく、こんな風に言うが、噺家の世界では落語が上手い師匠は、教え方も上手い。今回も貴重な指摘を受けた。

 前回に続いて遊雀師匠がわれわれを受け持った。最初に師匠は、「面白いとこはどこなのか、何を言わんとしているのか、ネタの狙いが分かれば、(噺を)自分なりに直していい」と告げた。

▼難しい酒の飲み方
 「親子酒」は禁酒を誓った親子の噺。少しだけと言って飲んだ親父が酔っ払う。約束を破り外で飲んで帰った息子に「顔が7つも8つも出てくる者に身代は譲れない」と父親。これに息子は「こんなグルグル回るウチなどいらない」とやり返す。

 噺のポイントは酒の飲み方。師匠は「実際に酔ったようにやると、見てる側はうるさく感じる」「おおたな(大店)のあきんど(商人)のやり取り。そこんところを頭に入れて表現する。酔った、酔ったとオーバーな動きはダメ」と言って、実際に仕草をやってみせた。

▼バカな噺ほど難しい
 手に持った猪口の位置、体の動きで見事に、賑やかな飲みっぷり、酔ってはいるが、育ちのよさを感じさせる飲み方を演じ分けた。驚きは目の表情。「酔った目」になっている。

 あたしは「手紙無筆」を語った。遊雀師匠は話した。「この噺はナンセンスの極みのような落語。だが、バカバカしい噺ほど難しい。私たちがやってもなかなか満足いかない」。

「この噺を極めなさい。3年経ったら聴かせてくださいな。やれば、やるほど不満な点が見つかると思う」とアドバイス。プレシャーがきついな。困った。どうしよう。 (2010年7月2日記)  以下次号に続く。