扇子と手拭い

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台風を目の前に落語会(落語2―50)

2011-07-21 00:05:14 | 日記
▼老舗鰻屋で一席
 映画「フーテンの寅」で知られる東京・柴又の老舗鰻屋で20日、一席うかがった。台風6号の接近でキャンセルが相次ぎ、客の入りはメロメロ状態。それでも雨、風に臆することなく訪れた客はしっかり聴いて、笑ってくれた。演じる側も、まずはひと安心の落語会だった。

 老舗は創業が安永年間、約250年前というから大変なものである。柴又と言えば、渥美清演じるフーテンの寅さんの故郷。監督の山田洋次もここで鰻を食ったそうだ。古くは高松宮、市川猿之助なども訪れたという。そんな老舗で、どうして落語をやる羽目になったかと言うと、話は今年の正月にさかのぼる。

▼招待客はご婦人ばかり
 松の内の1月3日から5日まで、銀座の呉服屋で無料落語会を開いた。その縁で、「鰻屋にお得意様を招くので、また落語をお願いしたい」と出前寄席の注文がきた。招待客はご婦人ばかり20人だという。柴又は一度も伺ったことがなかったので注文を受けた。

 松戸から舟による矢切の渡しで柴又まで行きたかったが、生憎の台風で無理。仕方なく金町から京成電車に乗り込んだと思ったら、すぐ柴又に着いた。毎度のように寅さんが振られて、マドンナを見送るあの駅のホームである。ひょっとすると、妹役のさくら(倍賞千恵子)が柱の陰から顔を覗かせるかも、と目を凝らせたが、現れなかった。

▼必死で雰囲気盛り上げ
 主催者の話では、当初の20人が台風接近で前夜に5、6人がキャンセル。さらに今朝になって2人、3人と続き、最終的に会場に姿を見せたのは7人。ガックリきたが、帰るわけにもいかない。気を取り直して会場に向かった。さすが老舗だ。高座の後ろには立派な金屏風がしつらえてある。天井板も1枚1枚異なった細かな文様が見事に描かれていた。

 台風が近づいている中を駆けつけていただいたみなさんが7人。ラッキーセブンだと私が言えば、落語仲間が「みなさんの顔が七福神に見えますよ」とそろってヨイショ。必死で会場の雰囲気を盛り上げた。それまで緊張気味の7人にやっと笑顔が蘇った。落語の後は、店自慢の鰻を食べながら落語談義に時を忘れた。うな重は美味かった。鰻が口の中でフワッととろけた。飯もいい。たれも文句なし。一時ながら幸せな気分に浸った。

▼また訪ねたい柴又
 この日は石畳の参道に並ぶ商店も台風のあおりを受け大半が店を閉めていた。落ち着いた雰囲気のあるいい参道だ。改めてゆっくり、訪れてみたい。帰りによもぎ団子をひと箱買った。