小学生攻略法

このブログも10年目。久しぶりに担任復帰です。

初任者に引き継がれる本校の密かな伝統

2016-08-31 20:32:57 | 教師力UPの攻略法
職員会議や研修の途中でも職員室の電話が鳴ることは頻繁にあります。
電話対応は主に教頭がするところですが,会議の途中で教頭が電話をとってしまうと,進行の妨げになってしまいます。
なので,誰かが代わりにとります。
その「誰か」は学校によって違うでしょう。
事務職員がとる学校もあれば,その週の週番の先生がとる学校もあるでしょう。
やっぱり教頭がとる学校もあるでしょうか。
もしかしたら,たまたま電話のそばに座っている先生がとらざるをえないという学校もあるかもしれませんね。

本校の場合
「若手がとる」
ようになっています。
これは珍しい形でしょう。
「若手」とは主に「新採」です。
会議が始まる前に,前もってその先生は自分の机に電話の「子機」を移動しておきます。
そして電話がなればサッと自分で出る。
そして小声で対応する。
そういう形になっています。

もちろんこの形には
「若手を育てる」
という目的があります。
会議などではまだ出番の少ない若手に,電話対応,接客の練習をさせることにしています。
これは,誰かがこうすると決めたわけではありませんが,自然と本校の形として定着しています。
初任研に関する小さな伝統です。

うちには3年目の新採と1年目の新採がいます。
どちらも若くてよくがんばっている先生です。
3年目の新採は今年に入ってからも,当たり前のように「電話番」を進んでやっていました。
3年目ですので,さすがに板についている様子で,なかなか電話対応が上手です。
ついこないだまでその様子に変わりはなかったのですが,ここに初めて変化が起きました。
1年目の新採が,電話を自分の机に置くようになったのです。

私は遠目にその様子を見ていましたが,会議が始まる前,3年目がとりにいくよりも先に,1年目が動きました。
誰に何を言われるわけでもなく,自発的に。
そしてそのまま会議が始まり,電話が鳴れば,1年目が電話に出ていました。
まだ慣れない感じで。

これが私には非常にうれしかったです。
先輩新採から後輩新採へ伝統が引き継がれたわけです。
それも,先輩が強制するわけでもなく,周りが勧めるわけでもなく,後輩の方から動く形で。
1年目は3年目の背中を見て,
「そろそろ私がやるべきだ」
と,バトンタッチを申し出たようです。
勇気が必要だったでしょう。
新採にとっては電話対応すら恐いものです。
それを自ら引き受けることができたことに,とても感心しました。

同時に,ここまで後輩に任せることなく,後輩が自発的にやりだすまで待っていた3年目の先輩もえらいと思いました。
私なら一気に
「やりなさいね」
と強制してしまうところです。

小さなことかもしれませんが,本校の職員室で起きた大切な一場面だったように思います。

会議資料の提出がみんな変に早い… どうした?

2016-08-25 20:40:46 | 教師の仕事術の攻略法
私は職員会議資料を作成する役目です。
各議題の提案者となる先生たちから資料を収集し,冊子にします。
この作業を毎月行っています。

次回,9月の職員会議資料を作成するために,提案者となる先生たちのところを回り,
「~の資料の提出をお願いします」
と伝えることにしました。
事前に別紙でも知らせてはあるのですが,実際に口頭でもお願いする方が丁寧だし,何より提出漏れがなくなるので,毎回そうしています。
提案者が10人を超えることも少なくないので,なかなか手間のかかる作業ですが,それも役目だと思ってやっています。

「~先生,避難訓練の会議資料,◯日までに提出をお願いします」
という私の催促に対して,意外なことに
「あ,もうできてますよ。はい。どーぞ」」
と,その場で受け取ることができました。
「わお,さすが。早いですね。どーも」
早くもらえにこしたことはないので,ラッキーです。

次。
「~先生,陸上記録会の会議資料,◯日までに提出をお願いします」
「今持っていこうと思ってたとこだよ。ほい」
また,その場でもらえました。

(おぉ,調子いいな。どうしたんだ?)
と思いながら,次々に回っていくと…
何と,7人中6人からその日のうちに資料をもらうことができました。
これは初めてでした。
みんな,夏休み中でゆとりがあるということでしょうか。
2学期に向けた準備が順調に進んでいるということでしょうか。
だとすればとてもいい兆候です。
それとも
(そろそろあいつが催促に来るぞ)
という「臭い」がしてきたのでしょうか。笑
私が回ってくることが予測できるようになった。
その可能性も感じました。
その場合,私は催促する側の煙たがられる立場ということですが,それはそれでいいのかなとも思います。
私の仕事と,回りの先生たちの仕事のサイクルが噛み合ってきた。
そう捉えることもできます。
こうなると,組織としては強くなるもので,その件に関してはオートマチック化していきます。
もう催促はいらなくなります。

…と,ここまで考えて
(でもやっぱり,催促に行こう)
そう思いました。
オートマチックはいいものですが,面倒を踏むことも大事です。
言葉を交わさなくて済むと楽ですが,言葉を交わすことも大事です。
煙たがられるのは嫌ですが,煙たがられる存在も大事です。
だからやっぱり催促に行く教務主任であろうと思います。

「先生,もう来なくていいって!」
と言われても,行きます。笑


テレビでぶっちゃける先生たち

2016-08-20 20:54:04 | 雑談
偶然ですが,最近テレビで学校の先生たちや元先生たちが出演する番組を2つ見ました。
どちらも,いわゆる「ぶっちゃける」番組で,一般の人たちが知らない学校の実情を,先生たちが告白するというトーク番組でした。
偶然にも2つ見たということは,最近その手のものが人気なのでしょうか。

そこに出演していた先生たちがぶっちゃける内容としては
「給食は必ず校長が毒味(検食)をする」
みたいな,一般の人が知ったらちょっと面白いネタになりそうなものがありました。
これらは,私たちには当たり前のことなので,一般の人が意外そうにするのが逆におもしろく感じました。

もう一つの内容としては
「学校の先生の激務からすると,給料は割に合わない」
みたいな,いわゆる「先生という仕事の苦労話」に関するものでした。
ここでは,先生たちや元先生たちが,
勤務時間の長さ
精神的なストレス
見合わない報酬
過酷な勤務内容
職場内の厳しい人間関係
保護者対応の苦労
などについて,赤裸々に,そして悲壮感いっぱいに,話をしていました。
それに対してパネラーの芸能人の人たちが
「それは大変ですね~」
と同情したり,逆に
「それくらい先生たちにはがんばってもらわないと!」
とか返していたりして,それにまた反論する人がいたりして,トークが盛り上がっていました。

これを見ながら私は
「先生って,色々いるんだなぁ」
そう思いました。
私も先生ですが,ここで熱く訴えていた先生たちとは,違いが多いことに気付きました。
課せられる職務
職場の環境
待遇
仕事へのスタンス …
いろんなものが違い,自分が同じ先生だとは思えませんでした。
なぜ同じ職業なのにこうも違いがあるのか。
それは
校種
地域
年令
校務分掌
などにはっきりとした違いがあるからだろうと思われます。
校種→小学校と中学校では先生の仕事が違う
地域→都心部と郊外では子どもが違う
年令→若手とベテランでは任されることが違う
校務分掌→学校には本当に様々な校務がある
特に校種や地域による違いは大きいようで,「所変われば学校変わる」という感じを強く受けました。

もちろんいくらか共感できる部分もありましたが,それにしても「自分はこの先生たちとは違う」という部分を多く感じさせられて,またそれが新たな刺激になりました。
自分が恵まれている部分もあり,自分に足りない部分もある。
それも発見できたように思います。
そういったことを含めて,自分とは違う立場や環境でがんばっている先生たちが日本中にたくさんいるんだということ。
それは励みになりました。

これ、どっかで見たことのある問題だな… あっ

2016-08-15 07:02:39 | 授業中の攻略法
本県が取り組む学力向上プログラムの一環として,
「評価問題の実施」
というものが学校におりてきました。

県が指定する評価問題を,指定する学年で実施させ,その結果を申請し,中身を分析したり他校と比較したりして,学力向上をめざすというものです。
その評価問題はネット上に掲載されており,各校でダウンロードして実施し,その後の申請等もネット上でできる仕組みになっています。

ということで,本校でその手の担当者は私なので,指定された評価問題をダウンロードしました。
「…ん?」
その問題を見ると,
「…この問題,どっかで見たことあるような…」
しばらく考えると
「あっ」
気付きました。
「これ,おれが作った問題じゃん!!」

そう。
県が指定した問題は,私が作った問題でした。笑
なぜこのようなことになったかというと,私は県が進める学力向上プログラムの部員になっていて,いくらかこの手の問題を作り,提供していたのです。
それが,今になって実際に使われることになった,というわけです。
「うわ~ まじか」
かなりびっくりしました。
だって,自分がオリジナルで作った問題を本県の全◯年生が解いてみるということになったわけですから。
ちょっと恐縮。
でもちょっとうれしい。笑
初めての経験です。

実は以前に,私はこれに関連する記事を一つ書いていました。

「学力向上プログラムの部員として問題を作ったけど,これが成果を上げる日は来るのだろうか」
という記事で,その中で
「成果を上げるにはたくさんのハードルがある」
と考えていました。
そのハードルというのは,
ハードル1
チームが作成した問題や指導案の中身が十分に価値のあるものか

ハードル2
価値があったとしても、作成した問題や指導案をネット上に掲載する作業がスムーズに進むか

ハードル3
スムーズに進んだとしても、ネット上に掲載したものを、県内の先生たちが手軽に閲覧できるシステムができるか

ハードル4
システムができたとしても、「ネット上にあるから積極的に活用を」という県の広報が現場の先生たちに浸透するか

ハードル5
浸透したとしても、現場の先生たちがそれを必要と感じるか

ハードル6
必要と感じたとしても、それに手を伸ばす時間的精神的ゆとりが先生たちにあるか

ハードル7
先生たちにゆとりがあったとしても、それらを子どもたちに意欲的に、効果的に取り組ませる手法を先生たちが知っているか


というものでした。
これは今考えても確かにその通りだと思いますが,今回私の手元に私の問題が届き,それを子どもたちがやってみることになったところを見ると,どうやらハードルの3か4あたりまでは超えることができたということです。

これは意外だったし,感心しました。
上の人たちの努力と実行力を感じるようで,うれしくもあります。

残りのハードルもクリアして,ぜひ成果を確実なものにできればと思います。

若手先生が作ってくれたゴミ箱表示がイマイチだったんですけど

2016-08-10 21:05:05 | 学級生活の攻略法
私は学校で
「ごみ担当」
もしています。
これ,地味だけどすごく大事なんです。
学校からは大量のごみが出るけど,自治体の示す仕分けに沿って出さないと処理してもらえません。
なので,全児童・全職員に対して仕分けの徹底を図っていく必要があります。
これってなかなか大変だし,難しいことです。
私が受け持つ仕事の中でもかなり重要な仕事です。

ごみ担当の私は
「ごみ部」
を組織し,
「ごみ部員」
を構成しています。
この部員の先生たちといつもごみ処理の活動を分担しています。
ある日,その部員の中の一人の先生が私の所へ来て
「ごみ箱の表示を作ったらどうですか」
と提案してきました。
「ごみ箱の表示」とは,ごみ箱に直接貼り付ける「燃えるごみ」とか「燃えないごみ」とかのカードのことです。
「それをつけたら,もっと仕分けが徹底されるんじゃ…」
アイディアとしては目新しいものではないし,過去にもその手の表示を付けていた形跡もいくらか残っています。
だから,そこまで積極的になれる提案では,正直ありませんでした。

しかし,提案してきた先生というのが,普段はおとなしい若手の先生でした。
全体の場で発言するようなことはほとんどなく,まだ先生としての経験も浅い,謙虚な先生です。
そんな先生が話しかけてきたというだけでも少し驚きましたが,ごみの改善をめざして自発的にアイディアを出してきたということが,なんともうれしかったです。
だから,
「よし,やろう。」
すぐに返事しました。
「じゃあ先生,その表示作ってみて。できたら見せて」
ということで,スタートから任せてみました。
その先生はこれに関してやる気があるようで,翌日すぐに作ったカードを見せに来ました。
「2パターン作ってみたんですけど,どうですか?」
見てみると,2パターンとも,正直イマイチ… 笑
もし私が自分で作るなら,「もっとこうする」というのがいくつも浮かびました。
でも,
「いいじゃない!よし,じゃあ2人でせーので選んでみよう。せーのっ」
偶然,2人とも同じ表示を選んだので
「よし決まり。これでいこう」
と,決定してしまいました。

私としては,この表示にそこまで頼るものもなく,中身がどんな表示でもさほど効果に違いはないかなと思っていました。
過去にも同様の経験があったからです。
だから,表示の中身にこだわるよりも,ここではその若手先生の主体性を大事にしたいと思っていました。

さらに翌日。
「先生,準備できました」
なんと,その先生は全教室分で100枚を超える表示を作っていました。
カラー印刷し,すべてラミネートして,両面テープを貼っていました。
「え~ 大変だったでしょ~ これはごみ部員で人数をかけてやろうと思ってたんだけど」
そう言いましたが,裏ではこの先生がやる気満々でそこまでしてくれることも期待していました。
期待通りでうれしかったです。
「よし,じゃあ一緒に貼りに行こう」
ということで,私は自分のしている仕事の手を止め,その先生と2人で全教室を回りゴミ箱にぺたぺたと貼っていきました。
夏休みの暑い最中,汗だくの作業となりましたが,終始その先生は表情が生き生きとしているように見えました。
地味な作業だけど,自分のアイディアで動き出し,自分の作品が広まっていくことのうれしさや手応えを感じていたのではないかと。

今後,学校のどこを回ってもこの表示が目に入るので,そのたびにこの先生は少し自分に自信をつけられたらいいなと思います。