小学生攻略法

このブログも10年目。久しぶりに担任復帰です。

夏休みに考える「授業を対話的にするために」⑤交通整理

2018-08-27 21:15:18 | 授業中の攻略法
①多様な考えを生む問いを与える
②教師が,子どもの考えを広げる勇気をもつ
③考えをしっかり書かせる
④対話を活性化させるための工夫をする

に続き,5つ目です。
④の,教師が作った環境の中で子どもたちが活発に対話を繰り広げているとします。
そのとき,教師は何をするのか。

教師は上手に対話を交通整理する

これがこの山場場面における一番の教師の役目になります。
「交通整理」とは。
対話の末にたどり着かせたいゴールに向けて,子どもたちをきちんと導いていくことです。
ここに,対話の大きな難しさがあります。
だって,対話をするのは子どもたちなのに,導くのは教師だからです。
言い換えるなら,「主役の子ども」たちを,「脇役の教師」が操作する,そんな感じです。

一見矛盾しているようにも見えるこの構図ですが,決して矛盾しているわけではありません。
授業とはこの通りなのです。
やはり,創るのは教師なのです。
だから,教師の腕次第なのです。

少し話が逸れたような感じがしますが,「対話の交通整理」について。
交通整理するための教師の役目は大きく3つあるように思います。
それは,ゴールに向けて,
① 子どもたちが出す考えの,どれを拾い上げるかを決めて,実行する
② 拾い上げる考えを,どの順序で扱うかを決めて,実行する
③ 扱いながら,どの考えとどの考えを,どのように関係付けていくかを決めて,実行する

この3つです。
これらができてこそ,対話は収束させることができるし,その先にあるゴールにたどり着かせることができるというわけです。

言うまでもなく,この3つを上手にしていくのはかなり難しいことで,教師の確固たる技量が必要です。
教材研究も必要です。
それなし,対話を交通整理はできないし,しようとしても強引で理不尽なものになってしまい,対話としてそこに向かったとは到底言い難いものになります。


夏休みに考える「授業を対話的にするために」④いよいよ山場

2018-08-20 21:58:01 | 授業中の攻略法
①多様な考えを生む問いを与える
②教師が,子どもの考えを広げる勇気をもつ
③考えをしっかり書かせる

に続き,4つ目です。
ここまでのステップを確実に踏み,さあいよいよ対話場面に入るというときです。
これは当然のことですが

対話が活性化される工夫をする

これも教師の役目です。
まっさらな何もない環境に中で,子どもたち自身で勝手に対話を活性化させていけるほどの,スーパー小学生はそういないはずです。
だから教師が,そんな環境を作って上げます。

例えば
・ ICTを用いて,いろんな情報を視覚的に捉えやすいようにする
・ 掲示物を準備して,過去の学習を振り返られるようにしておく
・ ペア学習の形態をとり,どの子も漏れなく対話に参加できるようにする
・ 全体で話し合う際は「コの字」型の机の配置にして,お互いの顔を見合わせながら話し合いができるようにする
・ 子どもが自分の考えを分かりやすく説明できるように,適した教具を準備しておく
・ たくさん出される子どもの考えを整理するために,板書を構造化していく

色々と考えられますね。
子どもたちの対話場面を想像して事前に準備・計画しておくものもあれば,その場で臨機応変に対応するものもあるでしょう。

夏休みに考える「授業を対話的にするために」③対話の前に

2018-08-13 21:06:14 | 授業中の攻略法
①多様な考えを生む問いを与える
②教師が,子どもの考えを広げる勇気をもつ

に続き第3段です。
次はやはりこれだろうと思います。

子どもに,考えたことをしっかり書かせる。

考えは,書くことで,子ども自身にとって「可視化」されます。
頭の中で漠然としていたものが,形になって見えるということです。
すると,「あ,ぼくってこんなこと考えてたんだ」と改めて確認することができます。

また,考えは書くことで整理されます。
書きながら,必要に応じて考えを「順序付け」たり,「関係付け」たりするはずです。
これは,後の対話で他者にその考えを伝えるときのために有効になる作業にもなります。

じゃあ,どう書かせるか。

ここは子どもの実態や学年段階に応じた指示や支援が必要になるでしょう。
低学年であれば,主語や述語,接続語等を教師側から与えて,「穴埋め」のような形で書かせることもあるでしょう。
高学年であれば,相手意識や目的意識のみをしっかりと持たせたら,後は自由に書かせてみることもあるでしょう。

そこら辺の「書かせ方」を間違えてしまうと,せっかくの対話もクオリティーが下がってしまうことになります。

夏休みに考える「授業を対話的にするために」②教師の勇気

2018-08-08 20:11:30 | 授業中の攻略法
対話的な授業に向けて子どもたちに適切な問いを与え,子どもたちがそれぞれに多様な考えをもったとします。
ここで,次のステップとして必要不可欠なことが,

教師が,子どもの考えを広げる勇気をもつ

ということになると思います。
「教師」と「勇気」をつなげて考えることはあまりないように感じますが,「対話的な授業」に向けては,これが重要だと強く感じています。

では,「対話に向けた勇気」のない教師は,授業でなにをしてしまうか。
教室には子どもの多様な考えが広がり始めているのに…

▲子どもが間違う,つまずくことを恐れて,安全なレールを敷き,そこに子どもを乗せよう,乗せようとする
▲広がる子どもの考えに対応する自信がなく,多様性の全てを認めることができない
▲広がった子どもの考えを,授業の最後に収束させる腕がないので,最初から都合のいい考えしか扱わない

こういうことだと思います。
これでは,せっかくの子どもたちの多様な発想も生きる芽をつまれることになります。
そして,授業が対話的になる芽もつまれることになります。

なので,教師には勇気が必要です。

◎問いに対して,子どもたちに自由に,伸び伸びと発想させる。
◎しかし,それは全て子ども任せということではなく,「既習の知識を使わせる」「身に付けてきた学び方を生かさせる」といったものが裏打ちされており,そこには安定感がある。
◎子どもの多様な考えを事前に想像する力,それらを上手に扱う技量,これらが教師に備わっており,自信がある。

こうしてみると,対話への勇気を持つためには,ものすごく深い教材研究と,ある程度の授業実践経験が必要であることも見えてきます。

夏休みに考える「授業を対話的にするために」①大前提として

2018-08-05 15:27:13 | 授業中の攻略法
「対話的な学び」の重要性は強く言われています。
今,多くの現場でそれを柱にして,そこに向かって授業改善を試みていることでしょう。

ではどうすれば授業が対話的になるのか。
私なりに感じているポイントを,数回に分けて紹介します。

1つ目の今回は,まず「大前提」となるものです。
それは

対話を生む問いを与える

ということになります。
対話とは,同じテーマに向かって,多様な考えや価値をぶつけ合い,それによって双方の理解を深めたり新しい考えや価値を見出したりする活動です。
なので,対話を生むにはまず,「多様な考えが存在する」そんな問いを子どもたちに与える必要があります。

では,各授業の中にどんな多様性を求めるか。
①答えが多様に存在する。(オープンエンド)
→問いに対する答え自体が多様に存在することがあり,そこをねらった問いを与えます。(国語・社会・道徳… 等)

②答えは1つだが,そこにたどり着くまでの道筋が多様に存在する。(オープンアプローチ)
→答えを導くための方法が多様に存在することがあり,そこをねらった問いを与えます。(算数… 等)

③課題とするものが多様に存在する。(オープンプロブレム)
→子どもたちが取り組む課題自体が多様に存在し,そこから自分で課題を選択したり作り出したりさせます。(社会・総合… 等)

こういったことを先生が理解し,対話を生む適切な問題を与えることから授業は始まります。
このとき
「この問いを出したら,子どもたちはどんな発想をするだろうか」
ということを先生は考えることになりますが,そこでどれだけ子どもの立場に立って,多様性を幅広く想像できるかが教材研究の核になります。
そこをクリアできてこそ,本当の「対話を生む問い」を与えられることになります。