小学生攻略法

このブログも10年目。久しぶりに担任復帰です。

もっともっとバレーボール型をめざす

2013-09-30 22:30:48 | 授業中の攻略法

今日は本校でも研究授業が行われました。

授業を提供してくださった先生,ありがとうございました。

「うまくスムーズに流れる授業」でなくても,研修が深まるいい授業を提供していただきました。

テーマに対して「仕掛け」がたくさんあり,話題が豊富でした。

研修主任として今日はうれしかったです。

さて

前回から引き続き「バレーボール型」の授業をつくるための手立てです。

6 単なる「吐き出し合い」は,バレーボールではない

…友だちの意見に対して「こう言ったけど,もう少し詳しく教えて」「ぼくの考えと違うけど,どちらがいいのかな」「いい考えだね。じゃあさらにこうしていけば」「なんでそう考えるの」などと,つっこんでいくようなやりとりこそが,バレーボールです。子どもたちがお互いに高め合っていく理想的な姿です。誰かが発表して,他の子は聞いて,そして次の子が発表して… の繰り返しは,どれだけ活発に意見を出し合ったとしても,まだまだそこには到達していないということです。

7 バレーボールを可視化する

…子どもたちのやり取りの軌跡をきちんと目に見える形に残していってあげるのも,バレーボール中の先生の大切な役目の一つです。一番は板書でしょう。上手に構造化しながら,まとめ上げてくのには,相当な腕が必要です。

8 バレーボールの展開を,教師の方でしっかりと描いておく

…子どもたちが意見をやりとりしていくと,思いがけず変な方向へ進んでいくこともあります。これを放っておいてはいけません。必ず軌道修正する必要があります。もちろん先生の役目です。じゃあどのように軌道修正するか。これは場当たり的にやっていくのは難しいので,やはり事前に教師の方でストーリーを描いておくことです。「~という課題に対して,こんな意見が出てくるだろう」「あの子はこんな発想をうするんじゃないか」「きっとこんなつまづきが出てくるだろう」「~という一言が出たら,それを突破口に」といった具合に。言うまでもなく,バレーボールは最後は勝たなくてはいけません。変な展開になり,負けることがないように。

9 何をさせるにも,明確なねらいをもって

…「ペアで活動させる」「グループで話し合わせる」「討論をする」どんな活動も,なぜそれを今させるのか,教師は明確なねらいをもってやることです。話し合い自体が目的ではなく,課題解決のための手段だということを忘れません。同時に,そのねらいは,子どもたちにもしっかり伝えて共有すべきです。「隣の人がしっかり書けているかチェックするために,ペアになります。」「まだいい解決方法が見つかりません。グループで知恵を出し合いましょう。」

10「とにかく,いつでもバレーボール!」ではなく,重点化を図る

「9」のねらいを明確に,につながるところですが,いつ,どこで,どんなバレーボールをさせるのか,計画的にやっていく必要があります。学習課題を挙げるたびに,ペアやグループ活動を取り入れるのでは,時間もありませんし,活動がマンネリ化していく恐れもあります。単元レベル・一単位時間レベルにおける指導計画を見直し,ここぞというところに仕掛けるのがベストでしょう。そこにはじっくりと時間もかけたいので,前後の活動を精選するなどの工夫も必要になります。

といったところでしょうか。

思いつくままに挙げたので,順序性は全くありません。

子どもたちが活発に意見を出し合う授業はこれまでにもたくさん見てきたけど,本当に子どもたちが「練り上げる」「高め合う」「学び合う」ような,いわゆる「バレーボール」になっているは,そうたくさんは見たことがありません。

やはり簡単じゃないということでしょう。

前の記事にも書いたとおり,まずは学級経営だと思います。

バレーボールをするには,バレーボールができるクラスをつくることから。

それだけでも難しいことですが,その上にさらに授業で多くの手立てをしていくわけですから,やはりやろうとしていることのレベルは相当高いです。

でも思うに,将来,社会に出たときに本当に必要とされる資質って,こういうものだと思うんです。

「人と働く力」というか「人と創り上げていく力」というか。

組織の中で,自分の能力を高め,役割を果たし,メンバーと協調し,組織の利益のために力になる。

学校にいるうちに,一人前のバレーボールができるような子に育てていきたいものです。


授業をこうすればバレーボール型に

2013-09-27 11:32:15 | 授業中の攻略法

話題は引き続きバレーボール型の授業。

前回は,それができるための前提としての学級の形の話をしましたが,今回からは授業の中身について。

バレーボール型になるための,授業の中で実践する工夫を思いつくままに挙げていってみたいと思います。

1 学習課題が本当に子どもにとって価値あるものであること

…「知りたい」「解決したい」「考えてみたい」と,子どもが本当に心から思える学習課題でなければ子どもは食いつきません。必要だと感じれば,教科書の例題でなく,より子どもにとって身近な形に問題を変えてみる工夫も必要です。

2 ある程度の情報量を子どもたち全員がもっていること

…学習課題があり,その解決に向かい,バレーボール(意見の交換や話し合い)っをするためには,子どもたちがそれに対する情報(予備知識)をもっておく必要があります。この情報量に個人個人で差がありすぎては,バレーボールをできることできない子が生じてしまいます。

3 全員がバレーボールに参加することを保障する

…一部の得意な子だけが意見の交換をして,それを傍観しているだけの子がいるという状態を絶対に作りたくありません。ぜひ全員が参加するバレーボールにしたいものです。そのためには,「ペア」「グループ」「列」といった少人数のバレーボールをしてみるとよいでしょう。「ペア」とすると全員が意見を言う,聴く機会を保障できるようになります。

4 キーワードは「接続詞」

…バレーボールは「レシーブ」「トス」「アタック」などと,一つごとに意味があり,それぞれがつながるものです。言葉を交わす際にもそうあってほしい。そこで,発言に意味をもたせ,前の人,後ろの人の言葉とのつながりをつくるためには,「接続詞」が大きな役割を果たします。発する言葉の最初に「しかし」「同じように」「そう考えるなら」などと意識的につけさせるようにします。

5 教師の役割と出番を見極める

…子どもたちがバレーボールを展開している最中,先生は何をしましょうか。思いつきでそれに割り込むようではまだまだです。そのとき教師には「チェック」「仲人」「賞賛」「教示」「判定」「挑発」などという役目がありえます。今,どの役目を果たすべきかを子どもたちの様子を見ながら,子どもたちの間を渡りながら,瞬時に判断し,その役割を果たす腕が必要です。

まだまだありそうですね。

続きは次回に。


じゃあ,どうすればバレーボール型の授業ができるのか1

2013-09-18 21:33:47 | 授業中の攻略法

前回の「ピンポン型」「バレーボール型」の話題から引き続き。
私としては,どちらの型もできる先生,子ども,授業でありたいと思っているのですが,ここでは「バレーボール型」について考えてみます。
よく研修などでは「望ましい」と言われるバレーボール型。
じゃあ,どうすれば「バレーボール型」の授業をすることができるのか。
ポイントがいくつかあるように思います。
これを考えるとき,率直に,その名のとおり,スポーツの「バレーボール」が成立する条件を考えればいいように思うんです。
バレーボールが成立するためには,まず
「味方」がいて,それが集まり「チーム」になっている!
これが大前提でしょう。
バレーボールにおいては「味方」にしかパスは出せません。
味方とは,自分に力になってくれたり,自分も力になってあげたいと思う相手のことです。
その味方が集まって「チーム」になっていることが前提です。
チームとは,全員が同じ目標をもち,それに到達するために個々に役割があり,その遂行のために力を尽くすメンバーの集まりです。

これを学級にそのままあてはめます。
学級のメンバー相互が「味方」であり,学級まるごと「チーム」になっている必要があります。

いくつかの仲良しグループがそれぞれに孤立して点在していたり,子ども同士の対立が点在していたり,または学級生活に対しての子どもたちの意欲が著しく低かったりすれば,「バレーボール」は成立しません。
そんな状態でバレーボールをしようとすれば,誰かが出したパスは,違う誰かのところに飛ぶでしょうが,そのボールが受け止められたり,また次につなげられたりすることはありません。
ボールは単発にあちこち飛んでおしまいです。
そんな状態になっている授業も実際にありますよね。
いわゆる,意見の「吐き出し合い」になってしまっている授業です。
これは,多くの子が意見を出していたとしても,「バレーボール」にはなっていないということを授業者はとらえていなくてはいけません。

要するに,バレーボール型の授業をしたいのであれば,まずは何よりそれができる学級の基礎を作り上げることから,ということになります。

そしてそのことは言うまでもなく,一朝一夕にできることではありません。

バレー部に入部してきた子たちを,相互に「味方」にし,全員を「チーム」にするのは話が早いかもしれませんが,学級はそうはいきません。

相互を「味方」に,全員を「チーム」にするためには,相当な時間と工夫が必要なものです。

となると,4月からいきなりバレーボール型の授業が展開される学級というのは,ほとんど望めないでしょう。

ある程度,学級が成熟したころに,できるようになるものだと思います。

本当の「バレーボール」は。

さて,バレーボール型の授業をめざす研修などでは,よく,授業の技法的なものにばかり目を向け,

「どうすれば子どもたちが相互に意見を言い合えるようになるか」

を探ろうとしてしまいます。

そして,

「友だちが,こう言ったら,こうリアクションしなさい。」

のような,ハウツー的な指導を繰り返したり,学び合いが生じるようなマニュアル的なものを作成したりします。

が,これは学級にバレーボールのできる基礎が出来上がってからの,次のステージの話です。


「ピンポン型」でなく「バレーボール型」というけれど

2013-09-12 17:47:48 | 授業中の攻略法

「ピンポン型でなく,バレーボール型の授業を」
とよく言われます。
「ピンポン型」とは,いわゆる一問一答型の授業です。
先生が一問出す。
ある子一人が答える。
また先生が一問出す。
またある子一人が答える。
これが繰り返される授業です。
先生と子どもの卓球「ピンポン」ですね。
「バレーボール型」とは,子どもたちの中で言葉が交わされながら,高まったものが返ってくる授業です。
先生が発問する。
すると,それに対して子どもどうしで意見を出し合ったり,議論したりする。
そして,複数の子を巻き込んだ広い学びが生じる。
1・2・3で相手に返球するバレーボールのようです。

学校では,しばしば「ピンポン型」はまずいとされ,「バレーボール型」が望ましいとされます。
バレーボールの方が,子どもの活動量が多いし,主体的な動きが多くなります。
自然と先生の出番が減り,その授業は「子どもが主役」というふうに形づくられていきます。
私も,こんな授業をめざして,(別に「バレーボール」と意識したことはないが)毎年どのクラスを持っても,いろんな手立てをしています。

じゃあ,「ピンポン型」は,そんなにダメなんでしょうか。
研究授業などでしてしまったら,「言語道断」のように言われるのも聞いたことがあるこのスタイル。
学びの範囲が狭い。
先生の出番が多く,子どもの出番が少ない。
先生主導の授業になる。
深い思考が生まれない。
子ども同士の高め合いがない。
そんなデメリットのことをきっと言っているのでしょう。
これらは,確かにそうだと思います。
授業がこれらのデメリットで埋め尽くされるようでは,まずいでしょう。

しかし
ピンポン型があるから,バレーボール型が際立つ!
私はそう思います。

望ましいからといって,常にバレーボール型の授業をしようとしたら,どうでしょうか。
まずはマンネリ化が起こり得るでしょう。
どんなスタイルであっても,ワンパターンすぎる授業は,子どもたちを飽きさせます。
また,バレーボール型に潜む影の部分だってあるはずです。
このスタイルの授業は,子どもたちが相当な力をつけてなくては展開できないスタイルです。
その力がないままにしてしまうと,無責任に子どもたち任せにしてしまっているだけの授業になります。

その授業の中で絶対に学ばせたいことを,学ばせないままになる危険性もあります。

逆に「ピンポン型」のメリットだってあると思います。

何より,上手な「ピンポン」は,授業にいいリズムを生みます。

それは子どもたちにとって心地よく,活動に勢いをつけます。

さらに,学ばせたい事項を落とさず取り扱うことができます。

これらのことを踏まえて,授業ではピンポンとバレーボールをうまくバランスをとって,適材適所に両方を取り入れることが,一番の理想だろうと思います。

問「この美しい色の絵は?」

答「浮世絵!」

問「描かれた技法は?」

答「版画!」

問「これで有名な人物は?」

答「歌川広重!」

ここらへんまでは一問一答のピンポンでいいじゃないですか。

先生がテンポよくどんどん進める。

子どもたちは簡単な質問なので進んで答える。

一人しか発表できないというなら,指名の仕方を,列で指名するとか,班で指名するとかすると,発表できる人数は一気に増えます。

こうして勢いがついてきたころに

問「じゃあ,この浮世絵が登場したことによって,人々の生活にどんな影響が出てきただろうか。」

と,少し奥の深そうなことを問う。

ここでピンポンからバレーボールに転換。

「隣の人と話し合ってごらん。」

「グループで相談してみましょうか。」

ある子が意見したときに

「本当にそうだろうか?みなさんどう思う?」

などと先生がつなぐ。

さっきのピンポンで子どもたちは温まっているから,このバレーボールに入っても意見がしやすい雰囲気ができています。

ピンポンもできる。

バレーボールもできる。

そんな先生,そんな子どもたち,そんな授業がいいと思うんです。

ピンポンはダメ,バレーボールがいいと,一概には言えないでしょう。

安易に研修の資料等でそう謳うべきではないと思います。


始業式前日,学校中のクラスを回って見てみると

2013-09-05 21:26:03 | 教師の仕事術の攻略法

2学期がスタートしました!
・・・が,2学期が始まる前の話題で。

夏休み最後の日,自分の学級の準備が済み,ふと他の学級の様子を見て回ってみました。
(担任の先生たち,みんなどんな準備してるのかな~)
って,ちょっといやらしいですが。

すると,おもしろいものです。
教室ごとに,本当にいろんな様子が見られました。
教室がすっきりと整理されて,「準備バッチリ!」といった感じの学級。
すでに夏休み中に集めた「夏休みの宿題」を添削し始めている学級。
学級設営を一新して,真新しい雰囲気になっている学級。
宿題が終わらなさそうな子を学級に入れて,丁寧に見てあげている学級。
始業式の日にやってくる子どもたちに向けて,黒板にメッセージが書いてある学級。
こんな学級は,パッと見ただけでも,これから始まる2学期に明るい期待が持てました。
担任の先生が頼もしく思えました。

しかし一方で,残念ながら…
教室が散らかっていて,とても明日から子どもたちが来るというふうには見えない学級。
散らかっているどころか,床にワックスかけたときのまま,机がどかされている学級。
夏休み中に子どもたちが提出した宿題や作品が,無造作に置きっぱなしになっている学級。
黒板に,何のメッセージも書かれてない学級。
も見られました。
私が見て回ったのはお昼ごろだったので,これらの学級はこれから準備をするのでしょうが,やっぱり2学期に向けて暗いイメージが先行してしまいます。
「担任の先生,大丈夫?」
って心配になります。

こういうのって,やっぱり計画的に仕事ができるかどうかなんでしょうね。
「明日から始まる2学期をいいものにしたい」
その願いは担任ならみんな一緒なはずです。
だけど,その準備に差があるのは,やはりそれ以前の夏休み40日間の仕事の進め方の問題なのでしょう。
40日もあるわけだから,教室を整理しておくぐらいできないはずはないのに,やっぱりやらない人はやらないんですね。
じゃあいつやるかといったら,最終日の押し迫った時,ということになります。

学校の先生という仕事で,他の仕事と比べて大きな違いの一つに,「夏休み」があることが挙げられます。
「子どもと過ごす」という本業から40日も離れるわけです。
その40日にやらなきゃいけないことは,それはそれでもちろんあるわけですが,間違いなく,先生にとって夏休みは大きなゆとりです。
この40日を本当に利用すれば,1年分の仕事を楽にすることだってできるんじゃないかと思います。
しかし,この40日の使い方は,それぞれの先生次第。
計画的に仕事を進めた先生と,それができなかった先生の差を,夏休み最後の教室に見たような気がしました。