小学生攻略法

このブログも10年目。久しぶりに担任復帰です。

脳の勉強を終えて,明日からは

2011-12-30 05:45:59 | 授業中の攻略法

脳科学に基づいた漢字定着率をみる研究のまとめです。

前回は

「単純な指導では著しく定着率が低い」

「感情にはたらきかける指導で定着率が上がる」

この2点について考えてみました。↓

―前回の記事―

最後となる今回は

「復習すると,しないとでは,1ヶ月後の定着率に大きな差が出る」

ということに関して考えてみます。

これも

「当たり前でしょ」

ということになりますね。

でも,受け持つクラスの子たちの生の姿で表され,結果がリアルな数字で表され,改めて勉強になった感じがしています。

やはり,何でも実感をともなうと違うものです。

子どもたちの漢字の解答用紙を見ながら,見事に差があることに気付かされました。

3つの指導法の平均を見てみると

「復習あり」の漢字の1ヶ月後の正答率→63.3%

「復習なし」の漢字の1ヶ月後の正答率→30.3%

2倍違います。

テストの点数だと50点と100点の差です。

これは大変な差です。

しかも,「復習なし」の平均30.3%の中から,「感情にはたらきかける指導をした漢字の正答率63.24%」をのぞくと,その平均はわずか13.9%になります。

こうなると5倍の差になります。

いかに復習が必要を痛感させられます。

(と同時に,「感情にはたらきかける指導」の強さに気付かされます。それで生まれた記憶は1ヶ月後にもかなり残っているということです。すごい。)

さて,先生は子どもたちに適切に復習をさせているのでしょうか。

長年やってきて一つ気付くことがあります。

「復習癖」のある先生と,

「復習癖」のない先生とに,結構はっきり分かれるように思います。

習ったことは復習させなきゃって思う先生は,やっぱりある分野だけさせるのではなく,どんなことでも復習させます。

というか,授業のスタイルが「復習の時間を含む」スタイルになっていて,それはどの教科でも共通させるのでしょう。

授業に限らず,業間の時間をそんなふうに使う先生は,それもやっぱり習慣になっています。

もちろん,これはうれしい癖ですね。

子どもの学力の定着に向けてとても親切です。

問題は「復習癖」のない先生。

いわゆる「教えっぱなし」です。

この先生は逆で,授業の中に「復習をさせる」という時間がなく,習慣がありません。

子どもの学習の定着に向けては不親切な先生と言えるでしょう。

こういった先生は,言い方を変えると,先生もせっかくがんばって授業をしたのに,子どもたちの身にならないと言えます。

先生の努力ももったいないです。

せっかく一つ教えたのなら,繰り返し覚えているか確認しましょう。

現場で感じるのは

「復習の時間をとれるか」

ということです。

授業ではやらなくてはいけないことがたくさんある。

一日の日課の中でも活動はたくさんある。

授業日数は限られている。

そんな中でも何とか復習の時間を作りさせるかということです。

なんとかして,作りだしたいですね。

私も反省する部分がおおいにあります。

今回の研究を通して改めて思わされています。


脳科学にもとづいた漢字テストの結果から考えさせられること 1

2011-12-29 09:30:31 | 授業中の攻略法

1ヶ月の期間をかけて,脳の学習の仕方について研究を進めてきました。

結果の概要は前回の記事↓

―脳科学にもとづいた漢字テスト―

漢字テストの結果から,子どもたちの漢字の定着率には大きな違いが出ていました。

個人的な小さな研究ですので,研究の仕方自体に問題がある可能性もありますが,おおむね妥当な方法でできていると思っていますので,ある程度の信頼性・妥当性があるものとさせてください。

結果をおおまかにまとめると

◆子どもの感情にはたらきかける指導をした漢字は,翌日から1ヶ月後までずっと定着率が高い

◆単純に2回書かせるだけの指導をした漢字は,翌日から1ヶ月後までずっと定着率が著しく低い

◆復習をした漢字としない漢字の1ヶ月後の定着率にはかなりの差が生じる

この3つが際立った結果だと言えると思います。

まあ,こうして結果を見てみると,

「そりゃそうでしょ」

ってなことになってますね。

「わざわざ言われなくても分かるよ」

って声も聞こえてきそうです。

でも,(自分で自分にフォローを入れて)やはり今回の検証活動をやってみて,生の現場の子どもたちから,具体的な数値が結果として得られたことには意味があると思っています。

当たり前と言われていたことが,本当に子どもの姿で現れる。

そして,教師の指導観がまた一つ形成され,今後の指導の在り方を考える際の拠り所となります。

今回の結果について考えてみます。

まず一番定着率の低かった「単純に2回書かせるだけの指導」について。

クラス30人の子にこのやり方で漢字指導をした場合,翌日まで覚えている子はわずか4人ということになります。

これでは「指導した・教えた」なんてうちには入りません。

これで子どもがテストの点が悪くて,「できない子だな」なんて嘆く先生は,自分がしっかり反省しなくてはいけないということです。

毎日の授業に置き換えて考えてみると,漢字指導をこんな簡素なやり方でしている先生というのは,実際ほとんどいないと思います。(いないことを願います)

しかし,漢字でなく他の学習に関してはどうでしょう。

国語・算数・社会・理科・・・・

覚えさせたいことはたくさんあります。

それらを,その日一時間の授業でサラッと取り扱っただけで,「教えた」というつもりになっているものは,実は所々に潜んでいるのではないでしょうか。

私も自分の授業を振り返ってみると,はっとさせられるところがあるようで反省させられます。

30人中4人しか覚えさせられていないのでは,とんでもないダメ教師ですね。

次に,一番定着率のよかった「感情にはたらきかける指導」について。

「操る」という漢字を,「手品を木の上で操る」と教えると,子どもたちは

「あ~なるほど」

「おもしろ~い」

なんて声を上げながら,うれしそうに書いていました。

この「驚き」「喜び」「納得」「感動」「不思議」こういった感情が学習にともなうと,記憶はより確かなものになるのですね。

脳科学的に言うと,

「感情の働きに関係している扁桃体が刺激されると,記憶に関わる海馬の神経細胞に働きかけ始める」

そうです。

これは私たちにも共感できることが多々ありますね。

学生時代,先生の話で覚えていることと覚えていないことがあります。

覚えていることは,やっぱりそのときに何らかの感情を抱いているものです。

先生が年号を言葉にして教えてくれたとか,先生が首都名を歌にして教えてくれたとか。

「おおさかという地名は,昔は『大坂』としていたのだが,『坂』という字が,『武士が反乱する』ととらえられるために,『大阪』とするようになった」

という先生の話におおいに納得させられ,私はこれはずっと忘れません。

そういうことでしょう。

脳って賢いんですね。

私たちは,授業の中でどれだけ子どもたちの感情にはたらきかけられているでしょうか。

もちろん,言われなくてもできるだけそうしようとは皆努めていると思います。

「楽しい授業」をつくろうとすることは,そういうことだからです。

そして,それが成功するとしないとでは学習の定着率に大きな影響が出てくることを改めて認識したいところです。

「授業を盛り上げるために楽しくする」という発想に,「より定着させるために楽しくする」という発想も加えてみたいと思います。

                                 ~次号に続く


脳科学に基づいた漢字テスト~1カ月後の結果~

2011-12-27 11:41:37 | 授業中の攻略法

個人的に小さな研究を進めています。

脳科学にもとづいて,学習の定着率をよりあげるにはどうすればよいかということを研究しています。

この研究の概要については↓

脳科学に基づいて漢字の教え方を変えてみたところ

そして1回目の結果については↓

結果~その1~

子どもの感情面にはたらきかける学習指導はより定着を強めることが明らかになっています。

さて,今回はこの研究のその後の経過についてです。

漢字を教えたあの日から,1ヵ月後にどれほど子どもたちは,脳は漢字を覚えているかを見る漢字テストを再度実施してみました。

事前に,教えた漢字を「復習する漢字」と「復習しない漢字」の2群に分けました。

「復習する漢字」は,1ヶ月の間に3回復習をしました。

「復習しない漢字」は,1ヶ月の間に1度も復習をしていません。

3通りに分けた指導法で,それぞれ教えた4つの漢字を,「復習する漢字→2個」「復習しない漢字→2個」に分けて,追調査しました。

「復習する漢字」が「復習しない漢字」より定着がいいことはある程度予想がつきますが,具体的にどれほど違いが表れるのでしょうか。

また,最初の指導法の違いによっても,1ヶ月後まで何か変化が表れるのでしょうか。

そういった視点から今回の結果を見てみたいと思います。

「あの漢字テストをします。また急にごめんね。」

と始めた今回の漢字テストで,子どもたちは

「おっ,書ける書ける!」

「うわ~ぜんっぜん覚えてないし!」

と様々なリアクションがあっておもしろかったです。

(・・・・おもしろがってはいけないのでしょうが!)

以下,結果を示します。

◆指導1(2回書かせるのみの単純な指導) 2日目の定着率…13.97%

 →復習をした漢字の1ヶ月後の定着率…67.65%

 →復習をしなかった漢字の1ヶ月後の定着率…13.24%

◆指導2(感情面にはたらきかける指導) 2日目の定着率…61.035%

 →復習をした漢字の1ヶ月後の定着率…76.47%

 →復習をしなかった漢字の1ヶ月後の定着率…63.24%

◆指導3(左脳にはたらきかける指導) 2日目の定着率…19.705%

 →復習をした漢字の1ヶ月後の定着率…45.59%

 →復習をしなかった漢字の1ヶ月後の定着率…14.71%

以上が結果です。

面白い数字が出たと思います。

・・・・記事がちょっと長くなってきたので今回はここまでにします。

(もうお昼をすぎたしごはんにしないと!)

この結果からどんなことをとらえなければいけないのかは,次回に詳しく考えてみたいと思いますが,とりあえず

学習したことは,最初の指導の仕方と,その後の経過によって,定着が大きく変わってくる!

ということは明らかなようです。


この仕事は,3学期でなく冬休みにやっておくと便利です

2011-12-25 18:55:41 | 教師の仕事術の攻略法

↑のタイトルから,何だと思いますか?

「3学期の準備」

これは当然です。だからブーッ

正解は「指導要録」でした。

(えらそうに言うな!)

多くの先生はすでに習慣としてしていることと思います。

もっと早い先生は2学期のころから徐々に進めています。

・・・・遅い先生は,やっぱり3学期の終わりギリギリに。

指導要録は,簡単に作成できるものではないので,ある程度まとまった時間が必要です。

と同時に,子どもの成績や総合所見を年間を過ごしてのトータルでつけなくてはいけないので,本来ならば1年間が終わる時期につけるものです。

ちょっとおおめに見てもらい,2学期の終わりにつけられるところはつけてしまいましょう。

ちなみに,

指導要録のつけかたって,都道府県で結構違いがありそうです。

例えば総合所見。

私の勤めている地域では結構びっしり書きます。(だから大変です)

しかし,別の地域から転入してきた子の指導要録を見るとびっくり!

「なんじゃこれ!」

所見がわずか2行程度。

スカスカです。

(うーん,これでいいのか??・・・・うらやましい)

なんて独り言が自然と出てしまいそうなときがあります。

地域で違うのか?それとも先生で違うのか?うーん・・・

私個人的なには,必要最小限なことだけを記載するシンプルなものであっていいと思いますがね。

これに時間をとられすぎて,先生の本来の仕事にまで支障をきたすようでは残念です。

だれか,おえらいさんがそんな書き方を提案してくれなかなぁ。

さて

今回も横道にそれていますので元に戻って。

その指導要録の効率的なつけ方についてですが,

指導要録はこれまでの成績や所見が蓄積されるシステムをつくっておくと楽になる!

この冬休みにつけるとすれば,1学期と2学期の成績や所見が対象になります。

1学期も2学期も通知表をつけるために蓄積したデータがあります。

それらがトータルで反映されて,要録用のものとして出てくるシステムをつくりましょう。

成績の場合,単純にエクセルで計算されて「A・B・C」「3・2・1」等が出てくるものですね。

所見の場合,「学習面に関する所見」「人間性に関する所見」「特別活動に関する所見」「受賞歴」等に分類して,それぞれに当てはまる通知表の所見を貼り付けていくようにするといいと思います。

中にはそういった作業だけでは足りず,新たに評価活動をしなければならない項目も出てくることはありえますが,多くの項目はこれでつけることができます。


先生,本当にそれがなければ教育活動はできませんか?

2011-12-23 18:33:47 | 学級生活の攻略法

「さようなら!よいお年を!」

お決まりのあいさつをして,子どもたちは駆け足で教室をとびだし,うれしいうれしい冬休みへと突入していきました。

終業式の日に,子どもたちを手放すこの瞬間って,言っては何ですが,ものすごい解放感ですね。

一年の中でもとってもうれしい瞬間の一つです。

(こんなこと言っては頼りないですが,でも本当のことだもん。。。笑)

さて

終業式を終え,午後に学校では校内監査をしました。

要録や健康診断表をチェックし合う中で,話題に上がったのが学級会計。

クラスの教育活動に必要な支出が記載されているものです。

ザラ紙 1〆 1800円

厚紙 1〆 1500円

タコ糸 1個 80円

マッキーペン 10本 700円

クラス記念写真 35枚 1700円

クラスTシャツ 35枚 40000円

                          とか

算数ドリル 350円×35人

国語テスト 230円×35人

家庭科ワーク 420円×35人

図工木版画セット 120円×35人

理科電磁石ロボセット 520円×35人

                            などなど

何にどれだけお金をかけるかは担任の先生や,学年主任の判断によるものがほとんどで,おうちの保護者はそれに従ってお金を納めることになります。

この監査では,

「会計が適正に処理されているか」

ということをチェックするものであって

「無駄な出費がないか」

をチェックするものではありません。

だから,そこを指摘する人はこの場では誰ものいないのですが,各クラスの学級会計に目を通しながら,やはり思わされます。

未曾有の不景気。当たり前と思っていた支出すらもう一度見直す!

家庭の家計を苦しめることのないように。

「これがあれば便利。助かる。」

という発想から多くの教材や備品を購入しているのですが

「本当にこれがないとだめか?」

という発想ももつようにしたいです。

言わば学級会計も事業仕分けです。

もしかしたら担任が仕分けするよりも先に,直接保護者の方からの声があるかもしれません。

「先生,これが本当に必要ですか?」

そのとき

「はぁ,これは例年必ず購入しているものですから」

と即答するのではなく

(なくす方向で考えられないか)

を考えてみましょう。

それを当たり前に購入していたころとは時代が違います。

景気が違います。

家庭の財力が違います。

学校の先生は経済に疎くなってしまいがちですが,そんな感覚を養っていきたいものです。

ちなみに,例に挙げた上の支出中で

「クラスTシャツ」

なんていうのは,まっさきにこのご時世では仕分けの対象になるべきものかもしれませんね。