湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

はやいの詩パート2

2017-06-20 00:59:53 | オリジナル
共通テーマ「はやい」でTが書いた詩を投稿します。

光が届けば

赤い海には深海魚がいる
赤が光を遮るので5メートルの海底は闇
触覚だけが進化した生命体が
ひそひそと動いている

私のなかにも赤い海がある
   嫌悪 侮蔑 嫉妬
ぬめりと棲息しているものたち
見つめ続けると巨大化し
私の全ては呑み込まれる

珊瑚礁の海に浮かぶと
たゆたう波が私を揺らし
コバルトブルーが私の中へ浸透し
突然
古い記憶の再生が早送りになる
  むさぼるように食べた木いちごの甘さ
  香りを頼りにスイカズラの花を探した午後
  海ほうずきを鳴らした唇の感触
  残照の紫に染まった雲
  裏山から聞こえていたコジュケイの鳴き声

赤い海と共に棲息していたものたちは消えていく

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 田越川の鮎 | トップ | はやいの詩パート3 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

オリジナル」カテゴリの最新記事