増えるの詩パート1

共通テーマ「増える」でAが書いた詩を投稿します。

現世

人々は皆ペラついて無色だ
そう解釈してお前は
何を太らせてきたか
生というやっかいな辻々で
肥やしてきたものごとなど
遠くの空に架かる
透けた月のように
ペラペラで色も無く

苦虫と薄ら笑いを
内蔵に飼って　
口から出さず
お前の三次元の厚みは
他者の圧力に潰されて
地上のどこに消滅したのか

聞いても聞こえない　
見ても見えない
叫びたくなっても
ヘラヘラとした
笑い声しか出ない
明るい鮮やかな胎内から
出奔しまったからな
最期にマジックアワーの空を見よ