湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

離れるの詩パート3

2017-11-28 18:37:19 | オリジナル
共通テーマ「離れる」でAが書いた詩を投稿します。

記憶の欠片

わたしが生まれた
済生会神奈川県病院を
通り過ぎて行ったはずだが
誕生時の記憶がないように
トラックが通って行った道も
わたしの記憶にはない

トラックが揺れた拍子に
わたしの手から落ちた小さな人形
引越先で降ろされた荷物が
傍らを通り過ぎていったが
人形は見つからないまま
それが最も古い記憶

――川越時代のお前はずっと不機嫌だった
母よ それは
知らない場所に連れて行かれる途中で
大事な人形を失くしたからだ
あなたの眼差しがわたしを離れ
川越で生まれた赤ん坊に向いていたからだ
あなたの心配も慈しみも一身に受けていた
横浜時代の記憶が欠片もないからだ


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