湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

短歌を取り込んだ詩

2014-08-05 16:47:50 | 
藤原定家・在原業平・西行などをモチーフにした作品がある詩人、安西均の「実朝」という詩を読みました。

その目は煙らない
その目は寂しい沖にとどく
遥かなる実存の小島へ
その目は ずい! と接近する
それから島のまわりで
波が音もなくよろめいているのを
その目はズームレンズのように見る
その目は鹹い永劫が
しなやかにうねり
割れ
砕け
裂け
散ってしまうところまで細かく見る
その目はいつも涙に磨かれている
その目はなんでも見えすぎるために憂愁の光がともる
だから その目は雪の階段にひそむ暗殺者の
後ろ手に隠した白刃まで見ていなければならなかった。


↓実朝が、にがい永劫にズームして詠んだ歌@鎌倉文学館


「実朝」の最後に出てくる雪の階段が、鶴岡八幡宮の大石段ですね。どんな運命にあっても最期の時まで、眼を曇らせないのが本物の詩人であり歌人ということですね。
さて明日8月6日からは鶴岡八幡宮夏の風物詩、ぼんぼり祭。最終日の9日(土)には実朝の誕生日を祝う実朝祭も行われます。




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