575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

千年余を生きて   鳥野

2015年04月14日 | Weblog
長く生きて来たおかげで、盛りの花に幾度も会う
ことができました。
北海道に春を告げる松前城址の桜、黒板塀の武家
屋敷によく似合う,角館の枝垂れ。高遠の可憐な
コヒガン。過疎の村で訪れる人も稀、ひっそりと
己が姿を水に映していた苗代サクラ・・・、どれ
も印象的。なかでも忘れられない一つは、根尾谷
の薄墨桜でしょうか。

齢千年余。一旦は枯死しかけたのを、人びとの情
熱で蘇生させたのは有名な話。
いま、堂々たる名木は、杖とも頼む数多くの支柱
に支えられ、根はウレタンの注入で保護されてい
ると聞きました。
見学の人に感銘を与え続けたエドヒガン。頭の下
がる思いです。

 ・ 千年をいきて千度の春の色 薄墨桜淡々と
   咲く

 ・ ウレタンを充填されて継ぐ命 花の呻きか
   風わたりゆく
                 鳥野


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結婚をしない長子や雀の巣   遅足

2015年04月13日 | Weblog
平和公園に近くの道をあるいていたら、雀の声が。
5メートル以上ある崖がコンクリートの壁になっています。
排水口が20か所ほど。
その一つ一つに雀が巣をつくっていたのです。

巣の材料を運び込み、新居の準備に忙しいもの。
まだ連れ合いが見つからないか、雌を誘うもの。
ちゅんちゅんと賑やかなこと。
南むきの高層マンション。新婚生活が始まっています。
そういえば5、6羽の群れで庭にきた雀。今は2羽に。
天敵の鴉の襲撃を避け、小雀は無事、成長できるのか?

雀は無季ですが、雀の巣、子雀は春の季語です。

           

応答の一日一句

  朝掘りの筍ごろり横たわり   孝

  京の泥拭きて筍茹でにけり   亜子

昨日、頂いた筍を夕食に。美味しかった。(遅足)




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翡翠や恋のはじまるような朝     遅足

2015年04月12日 | Weblog
名古屋大学の構内は緑も多く毎日のように散歩に。
恒例の花見も終わり、合唱のコンクールが行われていました。
あそこに5人、こちらに6人とグループが練習。なかなか上手です。
そういえば入学した直後の大学祭に合唱コンクールがあり、
その時の我々のリーダーだったT君とは今も付き合いが続いています。
同級生だった妻と出合ったのも春のことでした。

構内にある鏡ケ池にはカワセミを見つけました。
最近はほとんど姿を見せませんでした。さっそくカメラに。
あまり用心深くないので、まだ子供だったかも。

             

応答の一日一句

  「おみやげ」と叩き別れし春の暮    孝

  ひと駅を乗り過ごしたり春の暮れ    亜子




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散り様のいろいろ吉野桜かな       遅足

2015年04月11日 | Weblog
吉野に行ってきました。日帰りバスツアー。
午前8時前に名古屋駅を出発、夕方7時に帰りました。
当日は薄日が射し、暑くも寒くもないお花見日和。

下千本は落花盛ん。まず落花が出迎えてくれました。
中と上はほぼ満開。平日ながら花見客で一杯。

満開も良いですが、散る風情も捨てがたいもの。
風の中、並んで落ちてゆく花びら。
蝶のように羽ばたきながら跳びつづける花。
ひとところに浮き上がったままの花・・・

  足跡は西行のもの桜踏む

如意輪寺から蔵王堂まで、花と葛もちを堪能。
数十年ぶりの吉野でした。

            

応答の一日一句

  一夜明け胃カメラ検査花曇  孝

  新聞に誤植の一字花曇    亜子

桜の樹木葬も良いかもなどと考えてます。




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ぶらんこに小さな冬の忘れ物    狗子

2015年04月10日 | Weblog
ぶらんこに大切な物を忘れて大変、と鳥野さん。
忘れ物?雪片? 自然体の秀句、と能登さん。

私は子供の小さな手袋が片方のっている、と読みました。
手袋、時々落ちているんですが、なぜか片方。
それを誰かが拾ってブランコに。
具体的なものを示さずに「冬の忘れ物」と言いとめました。
そこに読者の想像力が刺激され、自由に読む楽しみが。
冬そのものが忘れ物をしたのかもしれません。

ブランコの横木の平面(たひら)
   はつかなる地の揺れののち月光の載る  高野公彦

            

応答の一日一句

 春燈(しゅんとう)や舞妓の帯も少し揺れ   孝

 行く水を追うや花びら春燈(はるともし)   亜子

同じ季語でも読みが漢語とやまとことばでは
印象に違いがあって面白ですね。      (遅足)
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夕桜        麗

2015年04月09日 | Weblog
小学校時代からの友人が関西から顔を見に訪ねてきてくれました。
「朋あり、遠方より来たる。また楽しからずや。」の気分でした。
桜はかなり散っていましたがそれでも夕暮れの桜のトンネルを二人でさまざまな思い出話をしながら歩きました。
こんな夕桜もよいものでした。

         何気ない思い出話夕桜   麗
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4月句会ちかづく   遅足

2015年04月08日 | Weblog
桜の花は散って、葉桜へ。
庭の椿、水仙も花を、チューリップへ。
目まぐるしく主役が変わっていきます。
若葉も一日一日と色を深めて、季節は晩春に。

今回の題詠は「うららか」です。
春の日が明るく照り、天地万物が柔らかく美しい様子。
春真っ盛りを表す季語です。

うららか、の句を少し集めてみました。

 うららかや一本指のピアノ音  足立悦子

 うららかな犬の背中がそこにあり  石田郷子

 うららかに人の心の知れがたく  木下夕爾

 春うらら歩きつかれて万歩計  三浅馨三

 病む人へ麗日待ちて文を書く  古賀まり子

どんな「うららかな」句が集るのでしょうか?

           

応答の一日一句

 縁遠くなりし自転車春埃     孝

 まるく掃く掃除当番春埃     亜子



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愚足さん 逝く     

2015年04月07日 | Weblog
今年の春は、気圧配置が不安定。サクラの便りもまちまち
でした。
そんな中、刻を合わせるように、満開の花に送られて、情
熱の人が逝きました。
近藤俊明さん(享年72)、 575の会の句友で、俳号
は愚足。竹馬の友の松田宗匠さんの遅足にあやかったもの
と嘗て本人が笑いながら話してくれました。

俳句を学び、句作に励む一方、平和運動にも積極的。
PC上の「9条自由広場」には熱心に発言し、平和美術展
は10回を数えて、地元昭和区の名物行事になりました。
取り分けて大変だったのは、美術展。
会場の設えから、搬入、展示、撤収、返却、アイディアも
力仕事も引き受けて、汗を流していました。
それぞれが手造りの灯りを掲げて行進する「灯火(ともしび)
ウオーキング」では、力強い支えです。

やがて、力尽きたかのように、体調をくずして闘病5年。
主治医もナースも感心する程の妻の介護にも、病状は一
進一退。回復は望めませんでした。

それにしても、こんなにも早いお別れ。残念です。
                       
平和日本の行く末を見守っていてください。  鳥野


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決めかねてブランコ闇に漕ぎだせり    すみ

2015年04月06日 | Weblog
その気持ち、よく分かります。ブランコに答え委ねて、と鳥野さん。
決めかねている時、悩んでいる時などは、ブランコに乗るものなのですね。
降りる時には結論が出ているのですね、と等さん。
ブランコは、振り子運動なのに、小舟のごとく、
闇に漕ぎ出すとは、意外性がいいです、と智恵さん。

作者はどんな決心をしたのでしょうか?こんな句も。

  ふらここを大きく漕いで母を捨つ   池本光子

            

応答の一日一句

  春疾風雲低うして山燃ゆる    孝

  応援の一文字動く春疾風     亜子

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鞦韆の錆の音聞く端居かな   結宇

2015年04月05日 | Weblog
キーコキーコの機械的なリズムを、縁側で聞くともなく聞いている
お年寄りが浮かびました、と智恵さん。

この錆びついたブランコ、音しか聞こえないのでしょうね。
誰が乗ってるのでしょうか?
子供でしょうか?なんとなく大人かなと思います。
あるいは、風で揺れているだけなのか・・・
端居ですから聞いているのはお年寄り。淋しい春のブランコですね。

  月に動く鞦韆や誰乗捨てし   武田桜桃

             

応答の一日一句

  舞妓ゆく祇園白川糸ざくら    孝

  歌碑の文字白し祇園の花明かり  亜子

今日は一転、花散らしの雨です。  (遅足)
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押すほどに寄りてふらここ温もりぬ   郁子

2015年04月04日 | Weblog
ブランコを押している人の視線で詠んだ句です。
子供をブランコにのせます。
だんだんと強く押す。大きく返ってきます。
子供のこころも温まってきました。
普段は話さない学校の出来事を、ふっと漏らしたのでしょうか。
二人の関係を温もる、と表現しました。

            


応答の一日一句

  揺れてなほまだ揺れている紅枝垂    孝

  枝先の川面に触れて紅しだれ      亜子

今日は公園の掃除です。
大島桜。落花さかんでしょうか。      遅足
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ぶらんこを降りた子どこへ行ったやら   能登

2015年04月03日 | Weblog
目の前にあるのは、誰もいないぶらんこ・・・

さっきまで遊んでいた子供。一体、どこの子だったのだろうか?
いや、本当に遊んでいたのか? 幻を見ていたのかも。
子供の頃にともに遊んだ友だったのか?
あれは妖精だったのでしょうか・・・
さまざまに読める句です。

私は、昔の自分の姿を重ねて読みました。
散歩の途中にあったブランコに乗って・・・

  ブランコを降りたところが宇宙です  遅足

           

応答の一日一句

  ただ単にずるを決め込む朝寝かな   孝

  醒めてまた夢の続きの朝寝かな    亜子

作者名を間違えていました。失礼しました。(遅足)




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今年の桜    麗

2015年04月02日 | Weblog
愚足さんが亡くなられたとは本当に残念で心からお悔やみ申しあげます。
思えば志考さん、長良さんと句友とお別れしたのに、またもやお一人、鬼籍の人となってしまいました。
このブログにも初期にはよく記事を投稿され、コメントもよく下さいました。
ご冥福をお祈りします。

さて、手術以来初めて実家に里帰りしました。実家に樹齢60年くらいの桜の木があり、この時期毎年お花見に帰り、私もこの桜のことを度々、俳句に詠んできました。

     その桜家々のことつぶさ見る

     何事か桜に祈る母がいて

その桜が今年はなんだか元気がなく花数もとても少なくなって、まさに老いた感じなのです。
毎年桜の開花を何よりの楽しみにしていた母も今は、要介護2となり桜に関心を寄せなくなり、父はそんな母を懸命に介護し花を眺める時間もないほど。
桜も人も老いる。それは自然なことなのですが、なんだかちょっぴり悲しい今年の桜でした。実家をあとにする際、今度は私が桜に「両親のことを見守っていてね」とお祈りしました。


     その桜母と一緒に老いにけり    麗
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愚足さん逝く     遅足

2015年04月01日 | Weblog
このブログの始まった頃からの句友、愚足さん。
闘病生活を送ってみえましたが、昨日お亡くなりになりました。
小学校の同級生。長年、親しくしていただきました。
とても残念です。

10年ほど前の愚足さんは、こんな句と文をブログに。

   乞食(こつじき)のケイタイに舞う桜かな 

 先日今では名古屋の数少ない桜の名所・山崎川に花見に行ってきました。
 目を引いたのは、花見の人波の中に立って托鉢をするお坊さん。
 しかも、長身でハンサムな青い目の偉丈夫。
 花見の善男善女も物珍しげに話しかけては鉢にお賽銭を入れる。
 しかし、ひんぱんにに鳴る「着メロ」 片手に托鉢。片手に携帯。 
 お坊さん、賽銭の善女にウインク、携帯にご返事。
 「ワカリマシタ イソカシイデス アトカケマス・・」
 善男に握手。またまた着メロ。

             

山崎川の桜が満開を迎えた3月31日。人生を卒業されてしまいました。
心よりご冥福をお祈りします。

 花わけて風やわらかくとおりけり  遅足



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