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シルディ・サイババ(アウランガバドカール夫人)

2011-10-16 | シルディ・サイババ

サラプールからやってきたサカラム・アウランガバドカールの妻は、27年間子供がなかった。彼女は子供のことで神や女神にたくさんの誓いを立てたが、うまくいかなかった。それで彼女は希望を失いかけてしまった。

 

最後の試みをしようと、彼女は義理の息子ヴィシュワナトと共にシルディにやってきて、2ヶ月間滞在してババに仕えた。彼女がマスジッドに行くといつも、ババは帰依者たちに囲まれていた。彼女は一人きりでババに会って、彼の足元にひざまずいて心を開き、子供のことについて祈りたかった。

 

だが彼女は適切な機会を得ることができないでいた。遂に彼女はシャマに頼んで、ババが一人のときに彼女をババに仲介してもらうことにした。シャマは彼女にババのダルバールは開いていると言ったが、それでも彼女のために主が祝福をくれるよう尽力しようとしていた。

 

彼は彼女にババの食事時に中庭でココナツと香を持って待機しているように言い、彼が手招きをしたら上がってくるようにと伝えた。ある日の夕食の後、シャマがババの濡れた手をタオルで拭いている時、ババがシャマの頬をつねった。シャマは怒ったふりをして言った。

 

「デーヴァ、私をつねるなんていけませんよ。私たちはつねったりするようないたずらな神は望んでいません。私たちはあなたの従者で、これが私たちの親交の結果ですか?」ババは答えた。「おお、シャマ、72世代に亘ってお前は私と一緒にいたのだ。今まで私はお前をつねったことなどなかったのに、今は私がお前に触れたことで憤慨している」シャマは答えた。

 

「私はいつも私たちを愛してくれて、新鮮な食事を与えてくれる神を求めているのです。あなたからのご褒美も、天国もいりません。あなたの御足に置いた私たちの信仰が常に目覚めていますように」ババ、「そうだ、私はまさしくそのためにやってきたのだ。お前たちを食べさせ、守り育て、愛情を掛けてきた」

                                                      

  それからババは立ち上がって自分の椅子に腰掛けた。シャマは女性を手招きした。彼女はやってきて、頭を下げた後ココナツと香を差し出した。ババは乾燥したココナツを振った。中にある仁が転がって音を立てた。ババは言った。「シャマ、転がっているよ、ご覧、何と言っているか」シャマ、「この女性は、同じように自分の子宮の中で子供に転がって欲しいと祈っています。どうか彼女にあなたの祝福を授けたココナツを渡してあげてください」  

 

  ババ、「ココナツが彼女に子供を授けるのかね?そんなことを想像するとはなんと馬鹿な人たちだ!」

 

  シャマ、「私はあなたの言葉と祝福の力を知っています。あなたの言葉は彼女に子供たちを授けるでしょう。あなたは口論ばかりしていて、彼女に本当の祝福を与えていません」

 

  この談判はしばらく続いた。ババはココナツを割るよう繰り返し命令し、シャマは丸のままの果実の贈り物を女性に授けて欲しいと懇願した。ついにババが譲歩して言った。「彼女は子供を授かるだろう」「いつですか?」シャマが聞いた。「12ヶ月以内だ」とババが答えた。この時、ココナツは二つに割られ、半分は二人が食べ、もう半分は女性に渡された。

 

  それからシャマは女性の所にやってきて言った。「ご婦人、あなたは私の言葉の証人です。もし12ヶ月以内にあなたが子供を授からなかったら、私はデーヴァの頭にココナツをぶつけて割り、彼をマスジッドからたたき出します。私にそれができなければ、私は自分のことをマドハヴとは呼べないでしょう。私の言ったことがあなたにもすぐ分かるでしょう」

 

  彼女は一年のうちに息子を出産し、息子は5ヶ月のときにババの前に連れてこられた。夫婦はババの前にひれ伏して、感謝した父親(アウランガバドカール氏)500ルピーを支払い、その金はババの馬シャム・カルナの小屋を建てるのに使われた。

 

スリ・サイに頭を垂れよ - 皆に平安が訪れますように

 


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シルディ・サイババ(教訓)

2011-10-16 | シルディ・サイババ

実際にババは金銭を乞い求めたことはないし、バクタが施しを乞うことを許可したりもしなかった。彼は、金は霊的な成長にとって危険で障害になると考えており、バクタたちをこの危機に陥らせるようなことを許さなかったのだ。

 

バガット・マルサパティはこの例に当てはまる。彼は非常に貧しくて、生計を立てるのが厳しかった。ババは彼に金策をすることを許さず、ダクシナ貯金から彼に金を与えることもしなかった。ある時、親切で気前の良いハンスラジという商人が、ババの目の前で大金をマルサパティに渡そうとしたが、ババは彼が受け取ることを許さなかった。

 

  それから二人目の客が自分の話を始めた。「私のブラーミンの料理人は忠実に35年間私に仕えていました。残念ながら彼は道を誤り、悪い考えを起こして私の財産を盗みました。食器棚が据え付けてある壁から紅土の厚板をはがして自宅に忍び込み、私たちが皆寝ている間に私の全財産30,000ルピーの札束を持ち去ったのです。

 

私にはどうやってババが正確な金額を知ったのか分かりません。私は夜も昼も泣きながら座りこんでいました。捜査をしても無駄でした。私は二週間の間、悲嘆に暮れていました。私はベランダに座って悲しみ落胆していると、通りかかったファーキルが私の様子を見てどうしたのかと尋ねてきたのです。

 

それで私は彼に全てを話しました。彼は私に、コペルガオン・タルカのシルディにサイという聖者が住んでいると教えてくれました。彼に頭を下げて一番好物の食事を絶ち、心の中で「私はあなたのダルシャンを受けるまで、この食べ物を絶ちます」と言うようにと言われたのです。そこで私は頭を下げて米を食べるのを絶ち、「ババ、自分の財産を取り戻して、あなたのダルシャンを受けたら米を食べます」と言ったのです。

 

  それから15日が過ぎました。ブラーミンは自分から私のところへやってきて私の金を返し謝罪をしてこう言ったのです。「私は頭がどうかしていて、こんなことをしてしまいました。今、あなたの足元に頭を下げます。どうかお許し下さい」それで全てがうまく収まったのでした。私の前に現れて助けてくれたファーキルは二度とやってきませんでした。

 

ファーキルが私に教えてくれたサイババに会いたいという強い気持ちが私の心に生まれました。私の家にやってきたファーキルは、他でもないサイババだったのではないかと思ったのです。私を見て、失った金を取り戻すのを助けてくれた彼が35ルピーを欲しがるでしょうか?それどころか、彼は私たちには何も求めることなく、常に霊的な成長の道へ私たちをいざなっているのです。

 

  私は盗まれた財産を取り戻した時あまりの嬉しさに、自分の誓いを忘れてしまうという無知ぶりでした。しばらくして私がコラバにいるとき、ある夜サイババの夢を見ました。この夢が私がシルディを訪問すると約束したことを思い出させてくれたのです。私はゴアに行き、そこから汽船でムンバイまで行き、そこからシルディ行こうと思いました。しかし私が港に行くと、汽船は乗客でいっぱいでもう乗れないことが分かりました。

 

船長は私の乗船を許可しなかったのですが、見ず知らずの水夫が私を仲介してくれて、ムンバイ行きの汽船に乗船することができたのです。そこから私は列車に乗りました。私はババは遍在していて全てを知っていると確信しています。私たちは何者か、私たちの家はどこか?ババが私たちの金を取り戻してくれ、彼自身の元へ連れてきてくれるとは、私たちはなんと幸運なのでしょう。シルディの人々は、私たちより遥かにまさっていて、より幸福に違いない。

 

だってババがこれほど長い間、ここにいて、笑い、話し、あなた方と共に暮らしているのですから。あなた方の積んだ徳は無限に大きいに違いありません。サイは私たちのダッタ(ダッタトレヤ神)です。彼は汽船に乗船する私に席を作ってくれ、ここへ連れてきてくれ、彼の全知と全能を証明してくれたのです」

 


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シルディ・サイババ(第三十六章 二人の紳士)

2011-10-16 | シルディ・サイババ

ある時二人の紳士がサイババのダルシャンを受けにゴアからやってきて、彼の前でひれ伏した。二人は一緒にやってきたのだが、ババは彼らのうち一人にだけにダクシナとして15ルピーを出すように言い、彼は快くそれを支払った。もう一人は自発的に35ルピーを払おうと申し出たが、皆が驚いたことにこれはババに断られた。その場にいたシャマがババに尋ねた。「これはどういうことですか?二人は一緒にやってきたのに、一人のダクシナは受け取って、もう一人は自ら出そうとしたにもかかわらず断るとは。どうしてこのような差別をするのですか?」ババは答えた。「シャマ、お前は何も分かっていない。私は誰からも何も受け取らない。マスジッドマイ(マスジッドに鎮座する神)が借金を求め、寄付をするものは支払いをして自由になるのだ。私に家や財産や面倒を見る家族がいるかね?私は何も要求しない。永遠に自由なのだ。借金、対立、殺人は償われなくてはならず、逃れることはできない」それからババは独特の表現で次のように続けた。

 

  「最初彼は貧しく、もし自分が職に就いたら最初の給与を支払うと神に誓った。彼は月15ルピーの仕事を得た。それから彼は着実に昇進した。月給15ルピーから、3060100200ルピー、最初には700ルピーを得るようになった。だが彼が成功していく内に、彼は自分が立てた誓いのことをすっかり忘れてしまった。カルマの力が彼をここに連れてきたので、私は彼からダクシナとしてその金額(15ルピー)を要求したのだ」

 

  もう一つの物語はこうだ。海沿いを彷徨っていると広大な大邸宅に行き着いたので、そこのベランダに座った。するとブラーミンの主人が私を歓迎してくれ、豪華な食事をご馳走してくれた。彼は食器棚のそばの小綺麗で清潔な場所を私が眠る用にと提供してくれた。私はそこで眠った。私がぐっすり眠っていると、男は紅土の厚板をはがし、壁を壊して忍び寄り、私のポケットを切り割いて全財産を持ち去った。起きてみると、私は30,000ルピーを盗まれていた。

 

私は悲嘆に暮れて、座り込んでむせび泣きうめき声を上げた。金は紙幣だったので、私はブラーミンが盗んだのだと思った。私は食欲も無くなり、2週間の間ベランダに座って、失くした金のことを嘆いていた。2週間が過ぎると、通りがかったファーキルが私が泣いているのを見て、どうしたのかと尋ねてきた。

 

私は彼にわけを全て話した。すると彼は言った。「君が私の命ずる通りに行動するなら、失くした金を取り戻せるだろう。私が所在を教えるから、ファーキルのところへ行って、彼に全てを委ねなさい。そうすれば彼が君の金を返してくれるだろう。君が金を取り返すまでは、好きな食べ物もしばらく我慢するんだ」私はファーキルの助言に従って、自分の金を取り戻した。

 

それから私は海辺に行くと、汽船が浮かんでいたが、人で込み合っていたので中には入ることができなかった。だが人の良い水夫が仲介してくれたので、私は幸運にも乗船することができた。そこから別の海岸へ移動した私は、列車に乗ってマスジッドマイに来たのだ。

 

  話が終わると、ババは客を食事に連れて行くようにとシャマに言った。そこでシャマは彼らを家に連れて行って、食事をさせた。夕食時、シャマは客にババの物語はとても不可解で、ババは海沿いに言ったこともなければ、30,000ルピーという大金を持っていたこともないし、金を失くしたことも、取り戻したこともないと言った。そして客に向かって、ババの話の意味を理解できたか、と尋ねた。

 

客人は深く感動して涙を流していた。声を詰まらせながら、彼らは間髪を入れずに、ババは全知で、無限であり、至高の存在(パラブラフマン)だと言った。彼らは「ババが語った物語は紛れもなく私たちの物語だ。ババが語ったことは、私たちに起きたことだ。どのようにして彼がこうしたことを知ったのか、驚き入るばかりだ!食事が終わったら詳細を話そう」と彼らは言った。

 

  それから食事を終えると、彼らはキンマの葉を噛みながら、自分たちの話を始めた。一人の話はこうだ。

 

  「ガートの上の丘で私は生まれました。私は生活費を稼ぐためにゴアに行きました。私はダッタ神に向かって、もし私が職を得たら彼に最初の一ヶ月分の給料を捧げると誓いました。彼の恩寵により、私は月15ルピーの職を得て、それからババの言った通り昇進しました。私は誓いのことはすっかり忘れていました。ババはこんな風にして私に思い出させてくれ、私から15ルピーを取り戻したんです。これは人が思っているようなダクシナではありません。昔の負債の返済であり、長い間忘れていた誓いを果たしただけなのです」

 


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シルディ・サイババ(蛇としてサイが現れる)

2011-10-16 | シルディ・サイババ

ある時、ラグ・パティルはネワセのバラジ・パティルを尋ねてシルディに行った。その夜彼は蛇がシューっという音を立てて牛小屋に入っていくのを見た。牛たちは怖がって落ち着かなくなった。同居人たちは怖がったが、バラジはあれは家に蛇の姿で現れたサイだと思った。少しも怖れることなく、彼はコップ一杯のミルクを持って蛇の前に置いて言った。

 

「ババ、なぜそのように威嚇するような音を立てるのです?私たちを怖がらせたいのですか?このコップのミルクを飲んで、落ち着いて下さい」こう言うと、彼はそばに座った。他の人々は怖がってどうしていいか分からなかった。少しすると、蛇は姿を消してしまい、どこに行ったのか誰も分からなかった。牛小屋をくまなく探したが、蛇は見つからなかった。

                                       

  バラジには2人の妻と幾人かの子供がいた。彼らは時々ネワセからババのダルシャンを受けにシルディに行っていた。するとババはサリーやその他の布を買って、彼らに祝福として与えたのだった。

 

スリ・サイに頭を垂れよ - 皆に平安が訪れますように

 


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シルディ・サイババ(ウディの力と効果)

2011-10-16 | シルディ・サイババ

ある年のバラジの命日に、弔問の客が招かれて夕食の仕度がされていた。だが夕食時になってみると、招いた客の3倍の人数がいることが分かった。ニューアスカール夫人は困ってしまった。彼女は、集まった人々に充分なだけの食事はなく、もしも足りないということになれば、家族の名誉が損なわれてしまうと思った。彼女の義理の母親は彼女を落ち着かせて言った。

 

「心配しないで。これは私たちではなくサイの食事です。全ての食器に布をかけて、いくらかのウディを中に入れて布を取らずに配膳なさい。サイが私たちを不名誉から救ってくださるでしょう」彼女は母親に言われた通りにした。すると食事が全員に行き渡ったばかりでなく、配膳した後にも充分に残りが出て、彼女たちは驚き喜んだのであった。「強く信じることは、その通りになると知る」というのはこの例で証明されたのだった。*

 

*同じような事例が私の友人で主席副判事にして熱心なババの帰依者のB.A.チョウグル氏からも報告されている。19432月、カルジャト(アーメドナガール地区)でプージャ祭と夕食会があった。招待した客の5倍の人数がやってきたが、彼らは皆満たされた。皆の驚いたことに、ババの恩寵で食事が足りなくなることはなかったのである。

 


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シルディ・サイババ(バラジ・パティル・ニューアスカール)

2011-10-16 | シルディ・サイババ

この男性はババの熱心な帰依者だった。彼は私心のない素晴らしい奉仕をした。毎日彼はババが毎日決まって通るシルディの通路や街路を掃いて綺麗にしていた。彼の後もこの作業は別の帰依者ラーダクリシュナマイによって、彼女のあとはアブドゥラによって同様に行われた。

 

バラジが毎年自分の畑のとうもろこしを収穫すると、彼はその全てをババに持っていって捧げていた。彼はババから返された分を持ち帰り、自分と家族用とした。彼は長年の間この習慣を続け、彼の後は息子も同じようにしていた。

 


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シルディ・サイババ(不眠症の事例)

2011-10-16 | シルディ・サイババ

バンドラのカヤスタ・プラブという紳士は長いこと不眠に悩まされていた。彼が眠ろうとして横になるとすぐに、亡くなった父親が夢に現れて彼を口汚く罵りきつく叱るのだった。これにより彼は眠りを妨げられ、夜の間中心が休まらないのだった。

 

毎晩これが続くので、彼はどうしてよいか分からなかった。ある日彼はこの件でババの帰依者に相談をした。彼は自分が知っている唯一絶対確実な救済策としてウディを薦めた。彼はいくらかのウディを分け与えて、ベッドに入る前に額に少量を付け、ウディの包みの方は枕の下に置いて寝るようにと言った。

 

彼はこの処方を試してみると、彼は快眠を得ることができ、何の邪魔も入らなかったので、大変に驚き喜んだ。彼はその治療法を続け、常にサイのことを思い浮かべていた。それから彼はサイババの絵を手に入れ、枕の近くの壁に掛けて毎日礼拝を初め、木曜日ごとに花輪のナイヴァイディヤを掛けるようになった。それから彼の具合はよくなり、悩みのことはすっかり忘れてしまったのだった。


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シルディ・サイババ(カカ・マハジャニの雇い主)

2011-10-16 | シルディ・サイババ

カカはムンバイの弁護士であるタッカール・デャラムセイ・ジェタバイの会社の部長であった。主人と部長は親しい間柄だった。タッカル氏は、カカがしょっちゅうシルディに行って、数日滞在しては、ババの許可が出ると戻ってくるということを知っていた。好奇心から、タッカール氏もシムガの祝日にカカと一緒にシルディに行って見ることにした。

 

カカには別の男性も同行することになっていたので、帰りがいつになるか未確定だった。3人は連れ立って出発し、カカはババに捧げるため、途中で2セール(1.866kg)のレーズン(種付き干しぶどう)を買った。彼らは予定通りシルディに到着し、ダルシャンを受けにマスジッドへ行った。

 

ババサヘブ・タルカッドもそこにいたので、タッカール氏はなぜ彼がそこに来ているのかと尋ねた。「ダルシャンを受けにだよ」とタルカッドは答えた。タッカール氏はそこで奇跡が起きるのかと尋ねた。タルカッドは奇跡を見ることが重要なわけではなく、バクタの熱心な願いがここで叶えられるのだと答えた。

 

それからカカはババの前にひれ伏して、レーズンを捧げた。ババはそれらを配るように指示した。タッカール氏にも少し配られた。彼は医師からレーズンは洗って汚れを落としてからでないと食べてはいけないと助言されていたので、食べたくなかった。そこで彼は困ってしまった。食べたくはなかったが、拒むこともできなかった。

 

形式を守り彼はそれを口に運んだが、種をどうしたらよいか分らなかった。マスジッドの床に種を吐き出すわけにもいかなかったので、彼は意に反して種をポケットに入れた。彼は心の中で、もしババが聖者ならどうして自分がレーズンを嫌いなことを知らないのか、どうして彼に無理矢理食べさせるのかと思った。

 

この思いが心に浮かんだその時、ババはさらに彼にレーズンを与えた。彼は食べることができず、手に持ったままだった。するとババはレーズンを食べるように彼に言った。彼はそれに従ったが、驚いたことに全部が種なしであった。彼は奇跡を見たいと思っていたが、これがそうだった。ババは彼の心を読んで、彼の希望通りレーズンを種無しのぶどうに変えたのだと思った。

 

何と素晴らしい力だろう!もっとテストをするために、彼は隣に座ってレーズンを食べているタルカッドに尋ねた。「君が食べているのはなんていう種類のぶどうだい?」彼は答えた。「種付きのぶどうさ」タッカール氏はこれを聴いてさらに驚いてしまった。それから自分の信仰をさらに確信するために、タッカールは心の中で思った。もしババが本物の聖者なら、レーズンは最初にカカに与えられるべきだろう、と。この考えも読んだババは、レーズンをカカから配り始めるように指示した。タッカールにとって証明としてはこれで充分だった。

 

  それからシャマはタッカール氏をカカの主人だと紹介すると、ババは言った。「どうして彼が主人になれるのかね?彼には全く別の主人がいるではないか」カカはこの答えに感謝した。タッカールは自らの決心を忘れてババにひれ伏すと、ワダに帰っていった。

 

  正午のアーティが終わると、彼らはババにいとまごいを告げにマスジッドへ行った。シャマが彼らの代わりにそのことを告げると、ババは次のように言った。

 

  「移り気な紳士がいた。彼は健康で裕福で肉体的、精神的な苦痛からは解放されていたが、必要のない心配事や重荷を背負い、あちらこちらを彷徨って心の平安を失ってしまった。あるときには彼はその重荷を下ろすが、また別の時には再び背負う。彼の心は落ち着かない。彼の状態を見て、私は気の毒に思って彼に言った。さあ、君の信仰を自分の好きな一つ所に定めてみなさい。なぜそんな風にふらふら彷徨うのかね?

 

  タッカールはすぐにこれが彼自身のことを言い当てているのだと理解した。彼はカカも彼と一緒に戻ってくれるといいと願っていたが、カカがそんなにすぐにシルディを去ることを許可されるとは誰も思っていなかった。ババはこの考えを読んで、カカに彼の主人と一緒に帰ることを許可した。

 

  するとババはカカに15ルピーのダクシナを要求し、これを受け取った。彼は言った。「もし私が誰かからダクシナを1ルピー受け取ったら、私は10倍にしてその人に返さなくてはならないのだ。私は恩恵も施さずに何かを取ったりは決してしない。誰かれかまわず見境なく要求したりもしない。

 

私はただファーキル(私のグル)が指し示す相手に要求して受け取るだけだ。もし昔ファーキルに恩義がある者がいれば、ダクシナはその者から受け取る。施しをするものは、言うなれば将来豊かな実りの収穫をするためだけに、種を蒔いているようなものだ。富とはダルマを作用させる手段であるべきだ。もしも富が個人的な楽しみのために使われるなら、ただの無駄遣いだ。前もって与えていない限り、今受け取ることはない。

 

だから受け取るために一番有効な手段は与えることだ。ダクシナを与えるとヴァイラギヤ(無執着)やバクティやドニャンを促進する。1与えることで10倍になって返ってくるのだ!」

 

  これを聞いたタッカール氏はババの手に15ルピーを渡し、ダクシナは与えないとした以前の決心のことはすっかり忘れていた。彼の全ての疑念が晴れ多くを学んだので、彼はシルディに来て良かったと思った。

 

  このような場合のババの対処の仕方は独特だった。彼が全てをコントロールしていたのにもかかわらず、全てに完全に無執着であった。誰かが彼に敬礼をしようとしまいと、誰かが彼にダクシナを渡そうと渡すまいと、彼にとってはどちらでも良いことだった。彼は礼拝をされても喜びを感じることはなく、無視されても苦痛を感じることもなかった。彼は快楽と痛みの両極を超越していた。

 


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シルディ・サイババ(カカ・マハジャニの友人)

2011-10-16 | シルディ・サイババ

カカ・マハジャニの友人は形のない神、ニルグンの崇拝者で、偶像崇拝には反対していた。好奇心から彼は、次の2つを条件にカカ・マハジャニとシルディを訪れた。(1)ババには頭を下げない、(2)ババには一銭たりともダクシナを払わない。カカはこれらの条件に同意して、二人は土曜の夜にムンバイを発ち、翌朝にシルディへ到着した。

 

彼らがマスジッドの階段に足をかけるや否や、少し離れた所から彼を見ていたババは優しい言葉で話しかけた。「おや、よく来たね」ババのこの言葉の調子は非常に妙な感じだった。それはカカの友人の父親の声のトーンに実によく似ていた。彼は離れて住んでいる父親のことを思い出し、全身がぞくぞくした。その声のトーンにはなんと魅惑的な力があったことだろう!驚いた友人は言った。「あれは間違いなく私の父親の声だ」そして彼はすぐに駆け上がると自らの決意も忘れて、ババの足元に頭を垂れたのだった。

                                            

  それからババは朝に一度と、いとまごいを告げた際の正午に再び、二回に渡ってダクシナを要求した。だがババが要求したのはカカにだけで、友人には要求をしなかった。友人はカカに囁いた。「ババは君にだけ二度ダクシナを要求した。私は君と一緒にいるのに、なぜ彼は私を無視するんだろう?」「君は自分でババに尋ねたらいいじゃないか」カカは答えた。

 

ババはカカに友人は何と囁いたのかと尋ねたので、友人は自らババに自分はダクシナを支払うべきかどうか聞いた。ババは答えた。「君は払う気がないだろう。だから君には要求しなかったのだ。だが君が払いたいなら、そうすればよい」そこで友人はダクシナとして17ルピーを支払い、カカも同じ金額を払った。するとババは彼に短い言葉で助言をした。「君は私たちの間にあるテリの壁(相違の感覚)を壊した。だから私たちは互いに面と向かって会うことができるのだよ」それからババは彼らに出立を許可した。

 

空は曇って荒れ模様だったが、ババは旅が無事に終わることを保証してくれ、彼らは無事にムンバイに到着することができた。彼は家に帰って、家の扉と窓を開けると、二羽のスズメが地面で死んでいるのを見つけた。一羽は窓から飛び上がったところだった。彼は、もし自分が窓を開けたままにしておいたら、二羽のスズメは助かっただろうと思ったが、彼らにとってはそれが運命だったのであり、ババは三羽目のスズメを救うために彼をすぐに帰宅させたのだと思った。

 


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シルディ・サイババ(第三十五章 前置き)

2011-10-16 | シルディ・サイババ

私たちが霊性修行をする上で、最大の障害となるのは宗派心である。神には形がないと信じる人々は、形のある神を信じることを幻想だと言い、聖者はただの人間であるという。

 

それではなぜ彼らは聖者の前で頭を垂れ、ダクシナを捧げるのか?他の宗派に属する人々はまた反対意見を述べる。「なぜ彼らは自分たちのグルを離れて、他の聖者たちに頭を下げて忠誠を誓うのか?」サイババについても似たような反論が今も昔も聞かれる。

 

シルディに来た人々にババはダクシナを求めるが、こんな風に聖者が金を集めるのは良いことなのかという人がいる。そのような真似をする聖者とは一体何なのか?だが冷やかしでシルディに行ったはずの人々が、そこに留まって祈り続けた例は数多くある。そのような例を2つばかり挙げてみよう。

 


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