癒しの森 湯布院(仙人の健康相談室)  


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シルディ・サイババ(労働の報酬)

2011-10-04 | シルディ・サイババ

ある日の正午、ババはラーダクリシュナマイの家の近くにやってきてこう言った。「梯子を持ってきてくれ!」誰かが持ってくると、ババはそれを家の壁に掛けるように指示した。

 

彼はヴァマン・ゴンドカルの家の屋根に上って、ラーダクリシュナマイの家の屋根に渡り、それから別の角から降りてきた。ババに何の目的があったのか誰にも分からなかった。ラーダクリシュナマイはその時、マラリアで震えていた。おそらくはその熱を下げるために、彼はそこへ登ったのだろう。

 

ババが降りてくるとすぐに、梯子を持ってきた者に2ルピーを払った。誰かがババになぜそんなに多くを払ったのかと尋ねた。するとババは、誰も無駄に他人の労働を引き受けるべきではなく、労働者はすみやかに気前よく相応の報酬を得るべきである、と答えた。ババの教えた法則に従うなら、労働に対する報酬がすみやかに満足のいくように支払われるのであれば、労働者はよりよく働き、雇用主も利益を得るということだろう。

                                     

スリ・サイに頭を垂れよ - 皆に平安が訪れますように


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シルディ・サイババ(様々なウパデシュ - 中傷は禁止)

2011-10-04 | シルディ・サイババ

サイババは教えを授けるのに特別な場所や時間は必要としなかった。機会があればいつでも自由に与えた。ある時ババのバクタが、本人のいないところである人の悪口を言っていた。彼が兄弟の欠点についてくどくどと並べ立て、皮肉たっぷりに話したので、聞いている人たちもうんざりしていた。一般的に、人は不必要に他人に憤慨する傾向があり、このことが悪い感情を呼び起こすのである。聖者は中傷を別の光に当てて見る。汚れを落とすには、水や石鹸を使うなど様々な方法があるが、中傷屋には彼自身のやり方がある。彼は自分の舌を使って他人の汚れ(欠点)を取り除くのであり、彼は悪口を言う相手に恩恵を施していて、その点で感謝されるべきなのだ。サイババには中傷屋を正す彼自身のやり方があった。ババはその全知によってどんな悪口が言われているかを知っており、正午にレンディの近くで彼に会った時、ババはフェンスのそばで汚物を食べている豚を指差して、彼にこう言った。「見よ、ガツガツと食べている汚物はどんな味がすることやら。君の振る舞いも同様だ。心行くまで自分の信者仲間の悪口を言い続けている。君が人間に生まれて数多くの役に立つ行いをしてきたのに、このような振る舞いをしているようでは、シルディは一体どうやって君を助けられるかね?」このバクタが教訓を心に留め立ち去ったのは言うまでもない。

 

  こんな風にしてババは必要なときはいつでも教えを授ける。それを心に留め、それに従って行動していれば、霊性の目的地(悟り)はそう遠くないのである。こんな格言がある。「ハリがいれば、私の小さな家では彼が私を養ってくれる」この格言は食べ物と服という点では真実だが、これを信じて怠惰に座って霊的な努力を何もしない者は、堕落するであろう。人は自己認識を得るために最大限努力しなくてはならない。彼が努力すればするほど、善い結果が生まれるであろう。

 

  ババは自分は全知であり、土地も空間も世界も光も天国も超越しており、局所に制限されることはないと言った。ババが身長三腕尺半の肉体であると考えている人々の誤解を取り除くために、彼は自分自身を形あるものの中に顕現させたのであり、完全に自己を委ねて夜も昼も彼に瞑想する帰依者は、砂糖と甘さ、波と海、瞳と視界のように、彼との完全な合一を体験する

 

誕生と死のサイクルから逃れたい者は、心を穏やかに落ち着けて正しい人生を歩まなくてはならない。人に対しては相手を傷つけるほど厳しく話してはならない。常に善い行いをするように勤め、自らの義務を果たし、主に心と魂の全てを委ねるのである。そうすれば彼は何を恐れることもない。

 

心から彼を信頼し、彼のリーラを聴き、人に詳しく話していれば他のことを考えることもなく、間違いなく自己認識を得ることができる。ババは彼の名前を忘れず彼に全てを委ねるよう大勢に求めるが、自分が誰なのかを知りたいと思っている人に対しては、シュラバン(学問)とマナン(黙想)を薦めている。

 

ある人に対してはババは神の名を忘れないように助言し、他の人に対しては彼のリーラを聴くように言い、またある人には彼の足を礼拝するように言い、また別の人にはアディヤトマ・ラマヤナやドニヤネシュワリなどの聖典を読んで勉強するように言った。ある人には彼の足元近くに座るように言い、ある人にはカンドバ寺院に行くように言い、またある人にはヴィシュヌの名を千回唱えるよう助言し、また別の人にはチャンドギヤ・ウパニシャドやギータを勉強するように言った。

 

彼の教えには何の制限も限界もなかった。彼はヴィジョンや夢を授けることもあった。アルコール中毒の者には、彼が夢に現れて胸の上に座って彼を圧迫し、二度とアルコールには手を出さないと約束させて去っていった。ある者には、夢の中でグル・ブラフマンのようなマントラについて説明した。ハタヨガを実践しているある帰依者に対しては、ハタヨガはやめて静かに座って待つように(サブーリ)と伝えたりした。彼のやり方の全てを説明するのは不可能だ。普通の世間の物事については、彼は自らの行動によって例を示した。次にそれについて述べてみよう。

 

 

 


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シルディ・サイババ(善い考えが実現するよう鼓舞する)

2011-10-04 | シルディ・サイババ

サイババがどのように善い考えを鼓舞していたかを見ると興味深い。あなたは愛と信仰を持って彼に完全に全てを預けなくてはならない。そうすれば彼がどのように助けてくれるかが分かるだろう。眠りから目覚めてすぐに善いことを考え、その日の間中ずっと同じように善いことを考えていれば、あなたの知性は広がり、心は穏やかになるだろう。

 

ヘマドパントはこれを試みようと考えた。水曜の夜、寝る前に彼は、「明日は木曜だ。吉兆の日で、ここはシルディというとても神聖な場所だ。それなら一日中、ラーム・ナームを唱えて祝って過ごすことにしよう」と考えて、眠りに落ちた。翌日彼が目覚めるとすぐにラーマの名が浮かんだので喜んだ。

 

朝の勤めを終えると、彼は花を持ってババに会いに行った。彼がディクシット・ワダを出てブティ・ワダ(現在のサマディ・マンディール)を通り過ぎると、美しい歌が聞こえてきた。アウランガバドカールがマスジッドのババの前で歌っていたのだった。

 

その歌はエクナスのグル-クリパンジャン・パヨ・メル・バイなどで、歌の中で彼はグルの恵みという点眼剤を差すと、彼のヴィジョンは開かれ、内にも外にも、眠っていても夢の中でも起きていても、そこかしこにラーマを見ることができたと歌っていた。

 

とてもたくさんの歌がある中で、なぜババの帰依者であるアウランガバドカールは特にこの曲を選んだのだろうか?これは一日中途切れることなくラーム・ナームを唱えるというヘマドパントの決意を強めるために、ババが仕組んだ興味深い偶然の一致なのではなかったか?

 

  バクタたちの大望を満たし、彼らを大きな不幸から守り救う上で、全ての聖者はラーマの名を唱えることに賛同しその効能を強調している。

 


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シルディ・サイババ(ラダバイ・デシュムク夫人)

2011-10-04 | シルディ・サイババ

ラダバイという老年の女性がいた。彼女はカシャバ・デシュムクの母だった。ババの評判を聞いて、彼女はサンガムネールの人々とシルディにやってきた。彼女はババのダルシャンを受けて非常に満足した。彼女は心の底からババを愛し、彼女のグルとしてババを受け入れ彼からいくつかのウパデシュを受け取ろうと心に決めた。

 

ババが彼女を受け入れてくれず、ウパデシュもマントラも与えてくれないようだったら、死ぬまで断食をしようと決めた。彼女は宿に滞在して、3日間食事も水も採るのを止めた。私は老女が自らに課したこの厳しい試練を見て恐ろしくなり、彼女の代わりにババにとりなした。私は言った。

 

「デーヴァ、あなたは何を始めたんですか?あなたはここに大勢の人々を引き寄せています。あの年老いた女性を御存知でしょう。彼女はとても頑固で、あなたを頼っています。あなたが彼女を受け入れず、教えを授けないなら、死ぬまで断食をする覚悟です。もし何か悪いことが起こったら、人々はあなたを責めて、ババが彼女に教えを授けなかったから彼女は死んだと言うでしょう。ですから彼女に慈悲をかけて、祝福をして、教えを与えてやって下さい」彼女の決意を見て、ババは彼女を呼びにやり、次のように言って彼女の決心を変えさせた。

 

  「ああ、お母さん1、なぜあなたは必要のない苦しみに自分自身をさらすのかね?あなたは私の母で私はあなたの子供なのだ。私のことを可哀相だと思って話しを聞いておくれ。私自身の話をするから、あなたが注意して聴いてくれれば、あなたの為になる。私にはグルがいた。彼は偉大な聖者でとても憐れみ深かった。私はとてもとても長い間彼に仕えていたが、彼は私にマントラ2を与えてはくれなかった。

 

私は彼の元を去らずに留まって彼に仕え、どうしても彼から教えを乞いたいと熱望していた。でも彼は意に介さなかった。最初に私に頭を剃るように言い、それからダクシナとして2パイサ要求した。私はすぐに差し出した。あなたはこう言うだろう。私のグルは完璧なのに、なぜお金を要求し、そのくせ無欲だなどと言われるのだろうか?と。答えはこうだ。彼は貨幣のことなど気にしていなかった。彼がお金で何をしようというのか?彼の2パイサとは、(1)堅い信仰心と、(2)忍耐力だった。私はこの2パイサを彼に差し出したので、彼は喜んだのだ」

 

 「私は12年間グルに頼っていた。彼は私を育ててくれた。食べ物も服も満足になかった。彼は愛に満ちた、愛の化身だった。これをどう言い表したらいいだろう?彼は私をとても愛していた。彼のようなグルは稀だ。私が彼を見ると、彼は深い瞑想に入っているようだった。そして私たちは二人とも至福に満たされたのだ。夜も昼も私は空腹や喉の渇きを感じることもなく彼をじっと見ていた。

 

彼がいなければ私は落ち着かなかった。私は他に瞑想する対象がなかったし、他についていく人もいなかった。彼は私の唯一の避難所であった。私の心は常に彼の上に定まっていた。このニシュタ(堅い信仰心)はダクシナの1パイサだった。サブーリ(忍耐力)がもう1パイサだった。私は辛抱強く待ち、グルに仕えたのだ。

 

サブーリは世俗の海を越えてあなたを運んでくれる。サブーリは全ての罪や苦悩を取り除き、様々な方法で大きな不幸を取り去って、恐れを捨てさせ、究極的にはあなたに成功を与えてくれる。サブーリは徳の宝庫であり、善き考えの配偶者である。ニシュタ(信仰)とサブーリ(忍耐)は、互いに心から愛し合っている双子の姉妹のようである。

 

  私のグルは私には他の何も期待しなかった。彼は私を無視したりはせず、いつも私を守ってくれた。私は彼と暮らし、時々は離れていることもあったが、彼の愛が不在だと感じることはなかった。彼はちょうどカメが子ガメを育てるように、常に私を見つめて守っていた。子ガメが近くにいようと、離れて土手の反対側にいようと、愛深いまなざしで見つめているのだ。

 

お母さん、私のグルはその時私にマントラは与えてくれなかった。どのようにして私があなたの耳にマントラを吹き込もう?グルのカメのような愛深い一瞥が私たちを幸福にしてくれることを思い出しておくれ。

 

誰からもマントラやウパデシュを得ようとするのは辞めなさい。私をあなたの考えや行動のたった一つの対象にするのだ。そうすればあなたは間違いなくパラマルタ(人生における霊性の終着点)を得ることができる。心を込めて私を見れば、私もあなたを見るだろう。このマスジッドに座っているときには、私は真実のことしか言わない。サーダナも6つのシャーストラに熟達する必要もない。あなたのグルを信仰し自信を持てばいいのだ。グルはたった一人の俳優であり行為者であると信じなさい。自分のグルが最も偉大であることを知っており、グルがハリ3であり、ハラ4であり、ブラフマン5(トリムルティ)の化身であると考える者は幸福である

 

  このように教えを受けて、老女は納得して頭を垂れ、断食を止めたのであった。

 

  この話を注意深く聞いていて、その意味と適切さに気づいたヘマドパントは大変驚いた。この素晴らしいババのリーラを聞いて、彼は頭の先から足の先まで感動し、喜びに溢れ、喉が詰まって一言も発することができなかった。このような様子の彼を見てシャマは尋ねた。「どうしたんだい、なぜ黙っているんだい?僕はババの比類のないリーラをどうやって描写したらいいだろうか?」

 

  ちょうどこの時、マスジッドで正午の礼拝とアーティの始まりを告げる鐘が鳴り始めた。そこでシャマとヘマドパントは急いでマスジッドへ向かった。バプサヘブ・ヨグがちょうど礼拝を始めたところだった。女性はマスジッドに上がり、男性は下の中庭に立って、皆で太鼓の演奏に合わせてアーティを斉唱していた。シャマはヘマドパントを引っ張って上がっていった。

 

彼は右側に座り、ヘマドパントはババの正面に座った。ヘマドパントを見るとババは、シャマからのダクシナを出すように言った。彼は、シャマはルピーの代わりにナマスカールを差し出すので、そのために本人もここにいると答えた。ババは言った。「よろしい。二人がお喋りをしたかね?もししたのなら、何を話したのかを私に教えておくれ」鐘や太鼓や歌が響いているのも気にせずに、ヘマドパントは自分たちが話したことをババに伝えたくて仕方なかったので、それについて話し始めた。

 

ババもまた話しを聞きたがり、長枕を脇にやって前のめりになった。ヘマドパントは彼らが話したことは全てとても愉快であり、特に老女の話がとても素晴らしかったこと、それを聴いて彼はババのリーラが説明のつかないものであり、その話を通してババが彼を本当に祝福してくれたと思った、と言った。

 

ババは言った。「その話は素晴らしい。君はどんな風に祝福されたのかね?私は全ての詳細を君から聴きたいのだから、話しておくれ」そういわれてヘマドパントは少し前に聞いた、彼の心にいつまでも印象を残した話を全て話した。これを聴いてババはとても喜び、彼に尋ねた。「その話は君の心を打ち、君はその意味に気づいたかね?」彼は答えた。「はい、ババ。心の不安は消え、私は本物の平安と安らぎを得て、真の道を知りました」

 

  するとババは次のように言った。「私のやり方は非常に独特だ。今からする話はとても役に立つから覚えておきなさい。自己を知る(認識)ためにはディヤナ(瞑想)が必要だ。絶えず瞑想を続けていると、ヴリティス(思考)は落ち着いてくるだろう。完全に無欲になって、全ての生き物の中にいる神を瞑想すればよい。心が集中していれば、目的は達成されるだろう。

 

常に、知識の化身であり、意識であり、至福である、私の形のない本質に瞑想しなさい。これができなければ、君が夜も昼もここで見ている私の姿を頭の先から足の先まで瞑想しなさい。これを続けていくと、君のヴリティスは一つに絞られて、ディヤタ(瞑想する者)とディヤナ(瞑想の行為)とディエヤ(瞑想される者)の区別がなくなり、瞑想する者は意識と一つになってブラフマンに溶け込むだろう。母ガメは川の一方の岸にいて、子ガメたちは反対の岸にいる。

 

彼女はミルクをあげることもなければ、子供を温めてやるわけでもない。ただ彼女の愛深い一瞥だけが栄養を与えているのだ。子ガメたちはただ母親のことを思い出す(瞑想する)。母ガメの一瞥は子ガメにとって、生命と幸福の唯一の源泉なのだ。グルと弟子の関係も同じである」

 

  ババがここまで話したところでアーティの斉唱が終わり、皆が大きな声で「純粋な意識であり、知識であり、至福である我らのサドグル、サイ・マハラジに勝利あれ!」と叫んだ。親愛なる読者諸君、私たちがマスジッドでこの群集の中に立っていたことを想像してみて戴きたい。このジェイ・ジェイ・カーに私たちも加わろうではないか。

 

  アーティが終わるとプラサドが配られた。バプサヘブ・ヨグはいつものように前へ出てババにひれ伏した後、一握りの砂糖飴をババの手に渡した。ババはこの飴をヘマドパントに渡して言った。「君がこの話をよく聴いて、常に覚えているならば、君は砂糖飴のように甘くなり、願いは満たされ、幸福になるだろう」ヘマドパントはババに頭を下げ、懇願した。「こんな風にいつも私に目をかけて、祝福し、守ってください!」ババは答えた。「この物語を聞いて、それに瞑想して、魂を同化させなさい。そうすれば君はいつも主を思い浮かべ、主に瞑想し、主は君に主自身を具現化するだろう」

 

  親愛なる読者諸君!ヘマドパントは砂糖飴のプラサドをもらい、私たちはこの甘露の物語という砂糖飴のプラサドを戴いたのだ。これで私たちのハートを満たし、主に瞑想し、主に同化しよう。そしてババの恩寵によって強くなり幸福になろう。アーメン!

 

1.      ババはいつも愛情を込めて女性を「お母さん」と呼び、男性のことは「カカ、バプ」などと呼んでいた。

2.      マントラ:秘密の祭文

3.      ハリ:主ヴィシュヌ

4.      ハラ:主シヴァ

5.      ブラフマン:主ブラフマン


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シルディ・サイババ(サテ氏)

2011-10-04 | シルディ・サイババ

サテ氏は何年も前、ムンバイの政治家ロード・レイが幕を下ろしたクローフォード政権時代に世間の注目を浴びた紳士だった。彼は商売で大きな損失を被っていた。その他の不運な状況も重なって彼はさらに苦しみ、落胆し悲嘆に暮れていた。心が落ち着かないまま彼は家を出てどこか遠くへ行こうと考えた。

 

人は日ごろは神を思ったりしないのに、いざ困難や大きな不幸に見舞われると、神の方を向き助けを求めて祈るものである。彼の不徳が出尽くす頃、神はその人の幸福について適切な指示を与える聖者に彼を引き合わせるのである。サテ氏は似たような体験をしていた。彼の友人は彼にシルディに行くように助言した。そこでは大勢の人々が、心の安らぎを得たり願いを叶えたりするために、サイババのダルシャンを受けようと群れをなしていた。

 

彼はこの助言を気に入り、すぐにシルディに行った。1917年のことだった。不滅のブラフマンであり、自ら輝きを放つ、比類のない純粋なババの姿を目にした時、彼の心は落ち着きを取り戻し、穏やかになった。彼は過去世で徳を積んだお陰で、ババの聖なる御足にたどり着くことができたのだと考えた。彼は意志の強い男だった。彼はすぐにグル・チャリトラのパラヤン(学問)を始めた。

 

サプタ(7日間)の間に読み終えると、ババはその夜彼にヴィジョンを授けた。ヴィジョンの中で、グル・チャリトラを手に持ったババは、彼の前に座って注意深く聞いているサテ氏にその内容を説明していた。彼は目覚めると、夢を思い出してとても幸せな気分になった。彼は、大変に親切なババが彼のように無知なままで眠っている魂を目覚めさせ、グル・チャリトラの甘露を味合わせてくれたのだと考えた。

 

翌日、彼はこのヴィジョンのことをカカサヘブ・ディクシットに話し、その意味と重要性 - 一週間の読書で充分だったのか、もう一度やるべきなのか、についてサイババに確認してくれるように頼んだ。カカサヘブ・ディクシットは頃合を見計らってババに尋ねた。「デヴァ、あなたはヴィジョンでサテ氏に何を示唆したのですか?彼はサプタを止めていいでしょうか、続けるべきでしょうか?彼は熱心な帰依者なので、願いを叶えて戴きたい」するとババは答えた。「彼はもう一週間あの本を読むとよい。注意深く学べば為に成り、帰依者は純粋になり、主は喜び、彼を世俗の束縛から救い出してくれる」

 

  この時、ヘマドパントがその場にいた。彼はババの足を洗っていた。ババの言葉を聞くと、彼は心の中でこう思った。「なんと!サテ氏はたった一週間読んだだけで報酬を得たのか。私は40年間も読んでいるのに何の結果も出ていない!彼の7日間の滞在が実り多いものなのに比べ、私の7年間の滞在(1910-1917)は無駄なのではないか。私はチャタク(カッコウの一種。

 

雨を待って空を眺め続けると伝えられる)のように、ずっと慈悲深い雲(ババ)が私の上に甘露を注ぎ、彼の教えで祝福されるのを待っているのに」こんな考えが彼の心をよぎるや否や、ババはその場でそれに気づいた。これはババがバクタたちの考えを全て理解していて、悪い考えは抑え、善い考えを鼓舞しているのだというバクタたちの体験である。ヘマドパントの場合、ババは彼に今すぐ立ち上がって、シャマ(マドハヴラオ・デシュパンド)のところへ行き、ダクシナとして15ルピーをもらってから、しばらくの間座って彼とお喋りをして戻ってくるようにと言った。ババの心に慈悲が現れたから、こうした指示を出したのだ。そして誰がババの命令に背くことができただろう?

 

  ヘマドパントはすぐにマスジッドを出て、シャマの家へやってきた。彼は沐浴を終えたばかりでドタールを着ていた。彼は出てきてヘマドパントに尋ねた。「どうしてここにいるんだい?マスジッドから来たようだけど、なぜそんなにそわそわして落ち込んでいるんだい?どうして一人なんだい?まあ座って休んでいてくれ。私は礼拝をしたら戻ってくるから。

 

その間に君はパーン・ビダ(キンマリーフの乾燥したものとナッツ)でも食べていてくれ。それから楽しくお喋りでもしようじゃないか」こう言い終わると彼は中へ入っていき、ヘマドパントは一人でベランダに座った。彼は窓の所にナト・バグワットという有名なマラティの本を見つけた。それは偉大なサンスクリットの作品、バグワットの第七章についての聖者エクナスによる解説書であった。

 

ババの提案や薦めで、バプサヘブ・ヨグとカカサヘブ・ディクシットは毎日バガヴァッド・ギータを読んでおり、同時にマラティの解説書、バヴァルタ・ディピカまたはドゥニィヤネシュワリ(クリシュナと彼の友人で帰依者のアルジュナの対話)、ナト・バグワット(クリシュナと彼の召使で帰依者のウッダヴとの対話)、またエクナスのその他の大作、バヴァルタ・ラーマーヤナなども読んでいた。

 

帰依者たちがババのところへ来てある質問をすると、ババは時々質問の一部だけに答えて、残りはバグワット・ダルマの主な論文である上述の作品の朗読を聴きに行くようにと言うことがあった。帰依者たちが聴きにいくと、彼らは自分たちの質問に充分に満足のいく答えを得るのだった。ヘマドパントもまたナト・バグワットのある部分を毎日読んでいた。

 

  その日彼は毎日読んでいる箇所を読み終わらなかったのだが、マスジッドに行く帰依者について行かねばならず、読み残したままにしていた。彼はシャマの部屋の窓から本を取り上げ、何気なく開いてみると、驚いたことにそれは彼が今日読み終えていない部分だった。彼は、ババは非常に親切なことに自分をシャマの家へよこし、日課の読書を終えられるようにしてくれたのだ、と思った。そこで彼は読み終えていない部分を最後まで読んだ。それが終わるとすぐにシャマが礼拝を終えて出てきて、次のような会話を交わした。

 

  ヘマドパント「私はババからの伝言があってやってきた。君から15ルピーのダクシナをもらって、それから君と座ってしばらくの間楽しく会話をして、それからマスジッドへ君と一緒に戻ってくるようにとね」

 

  シャマ(驚いて)「私には渡すお金がないよ。ババへのダクシナとして、ルピーの代わりに15ナマスカール(伏し拝むこと)にしてくれないだろうか」

 

  ヘマドパント「分かったよ、君のナマスカールを戴くよ。じゃあ少しお喋りをしようじゃないか。私たちの罪を打ち砕くようなババのリーラや何かの話をしてくれないか」

 

  シャマ「それならしばらくここにいるといいよ!ババのリーラは素晴らしい。君はもう知っているだろう。私は村の田舎者だが、君は啓発された市民だ。君がここへ来てからいくつものリーラを見てきただろう。なぜ私が君に話さなくちゃならないんだ?まあ、リーフとナッツでも食べていて。私はその間に着替えてくるから」

 

  数分でシャマが出てくると、座ってヘマドパントと話し始めた。彼は言った。「ババのリーラは不可解だ。彼のリーラには終わりがない。誰が理解できるだろう?彼はリーラと戯れながら、その向こうで平然としているんだ。私たち田舎者に何が分かるっていうんだい?なぜババは自ら種明かしをしないんだろう?なぜ彼は君のような博識な男を私のような愚人の元へよこしたりするのだろう?彼のやり方は想像もつかないよ。私に言えるのは彼は人間じゃないということだけさ」シャマはこれに更に付け加えて言った。「今、一つ話を思い出したよ。それを君に話してあげよう。これは僕が個人的に知っていることだ。帰依者が決然とした堅い決意を持っていると、ババの反応はすぐにやってくる。時々、ババは帰依者を厳しい試験にかけて、それからウパデシュ’(教え)を授けることがある」

 

  ヘマドパントがウパデシュという言葉を聴いた途端、彼の心の中で光が閃いた。彼はすぐにサテ氏がグル・チャリトラを読んでいるという話を思い出し、ババは彼の落ち着かない心に安らぎを与えるためにシャマのところへ彼を行かせたのではないか、と思った。だが彼はこの思いを抑えて、シャマの話に耳を傾け始めた。彼らはババがいかに帰依者たちに優しくて愛情深いかを語り合った。ヘマドパントはこうした話を聞いているうちに楽しくなり始めた。それからシャマは次のような話を語り始めたのである。

 

 


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シルディ・サイババ(前置き(第十八、第十九章)

2011-10-04 | シルディ・サイババ

サドグルは弟子の資質を最初に見抜き、それにふさわしい指示を与え、少しも心を乱すことなく、彼らを自己認識という終着点に導く、というのはよく知られた事実である。この点で、サドグルが教え指示する事柄は他人に漏らすべきではないと言う人がいる。

 

公にされてしまうと、彼らの教えは役に立たなくなってしまうと考えているのだ。この考え方は正しくない。サドグルはモンスーンの雲のようなものだ。彼は甘露のような教えを豊富に注ぎ、広く撒き散らすのだ。

 

私たちは心行くまでそうした教えを享受し吸収すればよいのであり、何ら制限を設けることなく他の人々にも分け与えればよいのだ。この習慣は私たちが起きている状態で学んだ教えに限らず、夢の中で与えられたヴィジョンにも当てはめられる。その例として、ブダカウシク・リシ1が夢で見た有名なラーマ・ラクシャ・ストートラ2を出版したことが挙げられる。

 

  愛深い母親が子供の身体の為に苦いけれども効能のある薬を無理をして飲ませるのと同じように、サイババは帰依者たちに霊的な教えを授けるのである。彼のやり方は秘密にされておらず、極めてオープンである。

 

彼の指示に従った帰依者は目的の物を得るのである。サイババのようなサドグルは私たちの知性の目を開き、自己の神性の美しさを見せて、私たちの壊れやすい信仰への渇望を満たすのである。これが為されると、私たちの感覚の対象への欲望は消え、ヴィヴェク(識別力)とヴァイラギヤ(平静と無執着)の双子の果実が実り、眠っている間にさえも知識が芽生えるのである。

 

こうした果実は私たちが聖者に触れるときに得られるものだから、彼らに仕えその愛を獲得しなさい。帰依者の望みを叶える主は私たちを守り、苦しみや困難を取り去り、私たちを幸せにするために来てくれる。だから私たちは常にサドグルの後を付いて行き、彼の話を聞き、足元にひれ伏し、彼に仕えていればよいのである。さて、この辺で主題となる話に入ることにしよう。

 

1.      賢人

2.      主ラーマの守護を祈り求める二行連句集

 


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