ほんの十数年ほどのあいだ、21世紀になったころから、世のなかの変化は以前に増していちだんと激しくなったように思う。ある方と話していて「わたしたちのまわりで、何がいちばん変わったのか?」。とりあえずの答えは、莫大に増え続ける情報量ではないかという実感になった。インターネットを通して、だれでもがほぼ公平にあふれるほどの情報の洪水に接することができる。
ところが困ったことに、集めれば集めるほど、知れば知るほど、何が正しくてどれが自分に必要な情報なのか? 大切なのはどれで、自分の限られた時間を消費しては限りなく消耗しそうな情報はどれか?
いくらたくさんの有益な情報なり知識を得ても、それらをどのように理解構築し、整理して自分の内に取り入れていくのか? あまりにも多すぎることはおおいなる悩みでもある。
またそれ以前に、わたしは自分自身そのものを理解できない。あきらかに異常であり、身近な生活の周辺を判断対処することにも難儀しているのが現状である。
しかし悩んで立ちすくんでいてばかりでも悔しい。そこでエイヤッ!とばかりに、世界のいまを「世界の潮流 見聞雑記」と名づけて書いてみた。複雑な世界を探求することから、ごく狭い自分の小さな世界が見えてくるかもしれない。そんな思いである。
雑文「世界の潮流 見聞雑記」は例によって、Eマガジン「Lapiz」(ラピス)秋号に掲載していただいた。アマゾンなどで購入できますが200ページほどの雑誌で、わずか300円。京都山麓では数回に分割しての掲載ですが、「Lapiz」では全文一括掲載。すてきな記事満載のおすすめマガジンです。
なお以下の文は、8月のお盆のころに書いたものです。
<リオ五輪>
ブラジルのリオデジャネイロ五輪で熱い日々が続いています。時差がちょうど12時間のようでLIVE放送でも寝不足にならず、また夏休み中で自由な日本人も多い。開会式の中継は、日本国内で半分近い国民がTVで観たという。ところが現地ブラジルでは、オリンピック開催国なのに、ほとんど盛り上がりがみられない。過半の国民は静かであるという。
その原因をみるとまずは政治の混乱だ。五輪開会式でテメル大統領代行が開幕を宣言すると、マラカナン競技場のなかはブーイングに包まれた。そして競技場の外では、五輪の開催に反対する市民のデモ隊が治安部隊と衝突していた。いまのブラジルは、世界大恐慌のとき以来、といわれるほど景気は低迷している。国営企業を軸とした汚職スキャンダルは底知れぬほどに広がり、ルセフ大統領は職務停止に追い込まれ、代行が五輪の開幕を宣言することになった。ルセフ大統領に対しては国家会計の不正操作問題でオリンピック終了直後、8月末にも弾劾裁判が開始されそうである。
かつてBRICsと賞され、新興国の代表格として将来の大発展が約束されていたはずのブラジル。しかし期待は裏切られ「最近のブラジル情勢には、政治家へのブーイングや五輪に反対するデモが当然とも思える面が、確かにある」(「日本経済新聞」春秋 16年8月7日)
ブラジル国民がオリンピックに沸かないもうひとつの理由は、一般国民の貧困である。サンパウロ在住のジャーナリスト、美代賢志氏はつぎのように報告しておられる。ブラジルではサッカー以外のスポーツは庶民のものではない。同国ではプールを備えた公立小中学校は数少ない。水泳をやれるのは経済的に裕福な国民だけで、スポーツクラブに加入する必要がある。どのスポーツをとっても同様で、所得格差の大きいブラジルでは同じ上位の社会階層に属する者同士が、一種の結社を構えている。一般庶民は、どのクラブにも入ることは困難だ。
例外はサッカー。ボールがひとつあれば、誰でも参加できる。運動具をそろえる余裕のない庶民には、国民スポーツのサッカーだけが唯一の競技である。いまのブラジルでは、競技場席どころか、テレビの前で観戦し、熱狂する多数派の一般国民は存在しない。
<2016年9月5日>
ところが困ったことに、集めれば集めるほど、知れば知るほど、何が正しくてどれが自分に必要な情報なのか? 大切なのはどれで、自分の限られた時間を消費しては限りなく消耗しそうな情報はどれか?
いくらたくさんの有益な情報なり知識を得ても、それらをどのように理解構築し、整理して自分の内に取り入れていくのか? あまりにも多すぎることはおおいなる悩みでもある。
またそれ以前に、わたしは自分自身そのものを理解できない。あきらかに異常であり、身近な生活の周辺を判断対処することにも難儀しているのが現状である。
しかし悩んで立ちすくんでいてばかりでも悔しい。そこでエイヤッ!とばかりに、世界のいまを「世界の潮流 見聞雑記」と名づけて書いてみた。複雑な世界を探求することから、ごく狭い自分の小さな世界が見えてくるかもしれない。そんな思いである。
雑文「世界の潮流 見聞雑記」は例によって、Eマガジン「Lapiz」(ラピス)秋号に掲載していただいた。アマゾンなどで購入できますが200ページほどの雑誌で、わずか300円。京都山麓では数回に分割しての掲載ですが、「Lapiz」では全文一括掲載。すてきな記事満載のおすすめマガジンです。
なお以下の文は、8月のお盆のころに書いたものです。
<リオ五輪>
ブラジルのリオデジャネイロ五輪で熱い日々が続いています。時差がちょうど12時間のようでLIVE放送でも寝不足にならず、また夏休み中で自由な日本人も多い。開会式の中継は、日本国内で半分近い国民がTVで観たという。ところが現地ブラジルでは、オリンピック開催国なのに、ほとんど盛り上がりがみられない。過半の国民は静かであるという。
その原因をみるとまずは政治の混乱だ。五輪開会式でテメル大統領代行が開幕を宣言すると、マラカナン競技場のなかはブーイングに包まれた。そして競技場の外では、五輪の開催に反対する市民のデモ隊が治安部隊と衝突していた。いまのブラジルは、世界大恐慌のとき以来、といわれるほど景気は低迷している。国営企業を軸とした汚職スキャンダルは底知れぬほどに広がり、ルセフ大統領は職務停止に追い込まれ、代行が五輪の開幕を宣言することになった。ルセフ大統領に対しては国家会計の不正操作問題でオリンピック終了直後、8月末にも弾劾裁判が開始されそうである。
かつてBRICsと賞され、新興国の代表格として将来の大発展が約束されていたはずのブラジル。しかし期待は裏切られ「最近のブラジル情勢には、政治家へのブーイングや五輪に反対するデモが当然とも思える面が、確かにある」(「日本経済新聞」春秋 16年8月7日)
ブラジル国民がオリンピックに沸かないもうひとつの理由は、一般国民の貧困である。サンパウロ在住のジャーナリスト、美代賢志氏はつぎのように報告しておられる。ブラジルではサッカー以外のスポーツは庶民のものではない。同国ではプールを備えた公立小中学校は数少ない。水泳をやれるのは経済的に裕福な国民だけで、スポーツクラブに加入する必要がある。どのスポーツをとっても同様で、所得格差の大きいブラジルでは同じ上位の社会階層に属する者同士が、一種の結社を構えている。一般庶民は、どのクラブにも入ることは困難だ。
例外はサッカー。ボールがひとつあれば、誰でも参加できる。運動具をそろえる余裕のない庶民には、国民スポーツのサッカーだけが唯一の競技である。いまのブラジルでは、競技場席どころか、テレビの前で観戦し、熱狂する多数派の一般国民は存在しない。
<2016年9月5日>
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