中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

薫陶

2011-08-04 11:35:59 | クァルテット
 帰省中です。新幹線を降りた時には、雑味のある「空気の粘り気」が不快に感じましたが、一日も経つと、すっかり気にならなくなってしまいます。


 さて昨日は朝から、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲「第4番」を、独りで練習しておりました。休みでも、やってることは結局同じ。楽器弾くか酒飲むか寝るか・・・進歩がございません。

 しかし「ベト4」を練習していたのにはワケがあります。

 昔からの友人がやっているカルテットの練習を見せてもらうからなのです。そして行くからには若干偉そうに指導などしてみようと・・・。

 週末のアマチュアオーケストラ活動に飽き足らない腕と情熱を持った4人が、水曜日の夜の仕事帰りに集まるカルテット・・・こういうマニアックで、ややアンダーグラウンド的な情熱こそ、カルテットの基本ですね。素晴らしい。そういうマニアに対して手抜きは通用しません。きちんと予習してから出かけました。


 会場は椎名町の商店街の外れにある貸しスタジオ・・・シチュエーションも完璧です。

 落書きだらけの壁が崩れかかった暗い階段を地下へと降りていくと・・・という想像(失礼)に反して、きれいなペンションのような3階建てのスタジオでした。

 そして恐る恐るドアを開けると、予想に反して(大変失礼)、綺麗な女性4人のカルテットでした。


 さっそく音を聴かせてもらうと、見た目に反して(これは多分失礼ではない)ずいぶんしっかり弾いています。やはり平日の夜に集まるだけのことはあります。本当に真剣にベートーヴェンに取り組んでいます。

 昔から感じていますが、音楽においての指導は、大学生が中学生に数学を教えるのとは全く違います。10年以上カルテットをやってきた私が自分で抱えている課題や目標は、目の前にいる結成2年に満たない4人にもまったく等しくあてはまることばかりなんです。私自身が今それを乗り越えようと四苦八苦しているまさにそのことについてアドバイスをするのは難しいことです。だから「指導」という言葉はあまり使いたくないんです。

 たとえば、すべての音符に対して誠実であろうとするあまりに音楽的な起伏がなくなってしまうとか、他のメンバーや、作品そのものに対する「遠慮」のようなものが、そのひと本来の自然な表現を妨げているとか・・・。

 
 もうちょっと偉そうにカッコよく「指導」できれば良かったのですが、そういう余裕はありませんでした。ただ同じように苦労しつつ、同じようにカルテットが好きな者同士として、楽しい時間を過ごしました。

 さあ、自分も飲んでばかりいないで頑張らないと。

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4 コメント

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ありがとうございました (hisa@Va)
2011-08-04 22:36:30
初コメントで失礼します。
実はいつも、楽しく面白く読ませて頂いています。

昨日は、貴重な休日にカルテットのご指導頂き、ありがとうございました。
すごくわかりやすかったです。
音の並びも、ただ音が同じように並んでいるだけじゃなくて、
そこにはちゃんと意味があって
弾き方や意識を変えること
だとか、
中爺さんがどう音楽を考えているのか…とか、出し惜しみせずに教えて下さって
そこに感激しました。
いろんな発見がありました。
面白かったです。
練習する中で自分たちが変わっていくのがわかって、
楽しかったです。
またこちらに帰ってくるときには、
都合が合えば、アドバイス頂きたいです。
それから山形Qも,現地でいつか
是非聞きにいきます~。
長文、失礼しました…
先越された↑(笑) (choba)
2011-08-05 08:26:02
貴重な夏休み時間を割いてもらってありがとうございました!
いろいろ勉強になりました!
あと、久しぶりに中爺さんの音を真近で聴けたのもうれしかったですー
「指導」をちゃんと自分のものにできるようがんばります(^▽^)
>hisa@Vaさん (中爺)
2011-08-05 13:20:34
 ありがとうございます。 
こちらこそ、楽しかったし勉強になりました。真剣なカルテットの練習の場に立ち合えるのは貴重な体験です。 
ムードメーカー的なhisaさん、これからも頑張って下さい。また会える機会を楽しみにしてます。
>chobaさん (中爺)
2011-08-05 13:24:14
 こちらこそありがとうございました。さすがはchobaさんがいれこんでいるカルテットですね。私の方からお願いして聴かせてもらった甲斐がありました。

 良いメンバーが集まって良かったですね。また是非、聴かせて下さい。

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