中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

公演中止

2020-02-28 23:12:19 | 山形交響楽団
 今朝、リハーサルのために文翔館に行き、いつものように楽器を置いてから喫煙所へ。…今夜は久しぶりの酒田泊。海の幸と銘酒が私を待ってる。

 などと思いつつ一服していると、専務理事が来て「緊急の知らせがあるから中へ入ってください」と。

 嫌な予感しかしない中で、すごすごとタバコを消して中へ。


 ということで、明日の遊佐町公演が中止になったことが告げられました。

 昨日、政府からああいう談話があった中では仕方ないことでしょう。

 同時に、翌週の「ストリングス」、そして「オーケストラの日」も中止が発表されました。

 全国のオーケストラも、この自粛ラッシュですでに大打撃を受けているようです。

 コンサートを楽しみにしてくださっていた方々には申し訳なく思いますが、我々も同じ気持ちです。またの機会に足を運んでくださればと思います。

 大震災以来の危機になりつつあります。自宅でおとなしくしながら、早くおさまってくれることを祈ることしかできません。
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不安の中で

2020-02-27 23:15:09 | 山形交響楽団
 今週の山響は、土曜日の遊佐町での公演。本当は、翌日の日曜に同じプログラムで福島の郡山市でのコンサートも予定されていたのですが、新型コロナウイルスの影響で中止。残念な限りです。

 時間の問題なのかもしれませんが、幸いにして今のところ、東北地方では感染が確認されていないので、あまり過敏になるのもどうかとは思います。遊佐町については、庄内の奥地という「地の利」を踏まえての、開催決行の判断は英断だと信じたい。


 さてプログラムは、ベートーヴェン「英雄」をメインに「コリオラン序曲」と、モーツァルト のヴァイオリン協奏曲「トルコ風」。ソリストは以前の仙台のコンクールで私たちが伴奏した荒井里桜さん。指揮は飯森監督です。


 あ〜忙しい。休みにならないかなぁ。

…などと思うこともありますが、それは忙しい日常が保証されている上での「たわごと」。実際に、こういう事態になるとつらいものだということがよくわかります。コンサートを企画し、売り込んで、準備して、宣伝して、チケットを売って…というのがどれほど大変なことかわかるので、せっかくこぎつけたコンサートが中止になるのは主催する側にとっては耐えがたいものです。

 さらに先ほど、新年度まで日本じゅうの学校の休校を検討するというニュースを見ました。恐ろしい事態です。


 被害がこれ以上広がらないことを願いつつ、はやく落ち着いて、平穏が戻りますように祈ります。そして、こんな中で開催してくれる関係者に感謝しつつ、土曜日は良い演奏会になるよう頑張ります。
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終息祈願

2020-02-25 23:39:40 | ヴァイオリン
 少しずつ花粉症が重くなってきています。今は朝晩に飲む薬の力で日中は忘れていますが、切れるとすぐにわかる。まだ2月なのに…。まあ、毎年のことですが。


 しかし、世の中は花粉症どころのさわぎではない。ニュースは新型ウイルス一色ですね。まだ東北地方には来ていませんが、安心していられません。

 3月に個人的に頼まれた、東京でのコンサートがあったのですが、キャンセルになってしまいました。大企業が主催の演奏会でした。…やはり企業は対応が早いですね。

 
 今後もイベント自粛の流れは加速するのでしょうか。

 密閉した空間に大勢の人を集めて、初めて成り立つ仕事の私たちとしては、脅威もひとしおです。

 少しでも早く終息してくれますように。
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秋田の幸

2020-02-24 22:31:13 | 旅の空
 昨日は秋田の「第九」。前日のリハーサルから秋田に一泊しましたが、雪がないのに驚きました。さすがに県境から雄勝・湯沢・横手のあたりでは、道の両側には雪がありましたが、冬のこの辺は本来、ホワイトアウト上等の、命がけで通るはずの所。…こんな冬もあるのかと、しみじみ思うほど楽々でした。

 楽だったとはいえ、せっかく遠路はるばる来てのリハーサルを終えた後は、やはり秋田の味覚を堪能しなければ。


 ということで、比内鶏の名店へ。焼き・タタキ・モツなどいろいろ食べましたが、やはりただの焼き鳥と違いますね。身は弾力がありつつジューシーで、モツは新鮮な柔らかさ。

 ところで秋田の酒といえば、私がお奨めするのは二つです。県南の由利本荘の「雪の茅舎」、そして県北の八峰町の「山本」。どちらも実に素晴らしい。この二つは山形の酒に引けを取らないと思います。今回は「雪の茅舎」をたっぷりと。

 秋田も、もう少しゆっくり泊まって、じっくり味わいたい。隣県なので、逆にそうもいかないのがつらいところです。


 さて演奏会の方は、合唱団が想像以上に素晴らしく、本当に良いコンサートになりました。特に、ヴィヴァルディのグローリア。個人的にもともと大好きな曲なのですが、児童合唱でやるとは思っていませんでした。それがびっくり。充分に出ている声が透明で、ヴィヴァルディにぴったり。レベルの高さに感動しました。


 おかげでホールも満席。ありがとうございました。せっかくの隣県ですから、もう少し頻繁にあればいいのに。またの秋田公演を楽しみにしています。
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2月の第九

2020-02-21 22:33:07 | 山形交響楽団
 今週の山響は、日曜日の秋田アトリオンホールでの「第九」。

 どうも第九を弾くと、「年末感」というか、「これが終われば」感が出てしまう。条件反射ですね。…おっと、まだ今年は始まったばかりだったと気を引き締めることしきり。

 指揮は垣内悠希氏。オーソドックスでスマートな第九になると思います。


 真冬の秋田…ということで、覚悟をしていましたが、リハーサルの始まった今日は、マフラーが場違いと思えるほどの暖かさ。

 明日から秋田入り。予報では明日から天気が崩れるようですが、無難な道中になりますように。
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楯野川「無我」クリアボトル

2020-02-19 23:10:51 | お酒の話し(山形県)
 透き通ってしまって、わけが分かりませんが、ラベルがはがれたわけではありません。写真が下手なだけで、これは、おしゃれなクリアボトルなのです。

 ご存じ、私イチ推しの山形の銘酒「楯野川」の、超フレッシュな生酒「無我」。かすかな発泡も感じさせるピチピチの新酒。いわば、ボジョレーのようなものです。

 その中でもこの「クリアボトル」は、兵庫県産の山田錦50%の純米大吟醸。これがまずいわけがない。


 ということで、味見を。

…その時の新酒にしかない、とびきり活き活きした甘み。山田錦が舌の上で跳ねまわります。喩えるなら、網ですくったばかりの小魚が暴れている感じ。

 こういうものがある日本で、日本酒の新酒を呑まずして、ボジョレーなどをありがたがるのが理解できない。この「無我」を飲めば、日本人に生まれたことの「有難い」幸運が身に染みるはずなのに。


 ウルウルしてしまいそうなほどに、この、日本酒の新酒の季節に感謝しつつ、堪能しました。
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疲れと夢

2020-02-18 22:15:54 | ヴァイオリン
 今朝は、整形外科へ。最近、首がどうにも痛くて、一昨日ぐらいから、寝返りを打つのにも苦労するほどに。

 もともと、ヴァイオリン は首に挟んでいますから、力んだり疲れたりするとすぐに首にきます。それが背中へと響いて、肩甲骨のあたりの痛みにつながる。

 しかし、ここまで首が痛いのは初めて。

 寝苦しいことこの上ない。こうなると、眠りが浅いこともあって、嫌な夢ばかり見ます。

…嫌な夢というとどんなものでしょうか?

 私は必ず、集団生活。それも、不衛生な収容所のような所の夢です。古くてひび割れたタイル張りの広くて汚い空間。そこはトイレとシャワー室を兼ねている。昔の学校の、プールの前に入る洗い場みたいな所です。そこで、おおぜいの人と一緒に、用を足したり体を洗ったりしなければいけない。

 体調や気分が悪い時にいつも出てくるので、「ああ、またここか」とうんざりする。よっぽど小学校のプールが嫌だったのか、前世が収容所で死んだ人なのか…変な話で申し訳ない。


 ということで、整形外科。首のレントゲンを撮られました。

 一箇所、首の椎間板が狭くなっているらしく、そこが原因かと。それほど大ごとではないようなので、ひと安心。それでも、疲れると弱い所に来るのは、加齢のせいでしょうね。

 これもまた、運動不足がいけないようなので、気をつけて過ごすようにします。
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春のおもてなし

2020-02-17 15:33:10 | 山形弦楽四重奏団
 遅くなりましたが、山形Qの次回、4/17定期演奏会の内容が正式に確定しました。

 ゲストは華やかに女性2人!

 1人はおなじみ山響ヴィオラの田中知子さん。

 そしてもう1人は、ホルンの根本めぐみさんです。現在、東京ニューシティー管弦楽団と神戸室内管弦楽団に籍を置く、若くて優秀なプレーヤーです。一時期、山響にも関わっていたので、ご存じの方も多いと思います。

 ゲストを入れてのプログラムは、モーツァルト「ホルン五重奏」です。編成は、ホルンとヴァイオリン 、ヴィオラが2人とチェロの5人です。

 
 …地味さを増すばかりの男3人だけでは、お客様が気の毒なので、今回は女性を2人も入れての「おもてなし」でございます。大盤振る舞いですね。お客様大感謝祭と言っても過言ではありますまい。

 まもなくチラシが完成予定。ぜひ、お楽しみにしていただきたいと思います。
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羽根屋「プリズム」純米吟醸

2020-02-14 23:39:11 | お酒の話(県外)
 バレンタインの頂き物です。「義理」であっても、いや、義理だからこそ、送る側の器量が出るものです。

…こういうものを贈るとは。グッとくることこの上ない。


 ということで、富山の銘酒「羽根屋」。それも、しぼりたての生酒です。

 「羽根屋」は、富山の演奏旅行の時に飲んだ記憶がありますが、あまりパッとしなかった印象。この「しぼりたて」はどうななのか?

 …押し返してくる感じ。

 肉でも魚でも、鮮度がいいものは、噛んだ時に一度、押し返されるような弾力があります。まさに、そういう舌触り。べつに発泡ではないのに、口の中にぶつかってくる感じがします。「おどり食い」みたいな、と言ったらいいでしょううか。

 それでいて、喉ごしはスッキリ。プリズムというネーミングも肯けます。光のように、輝きはあるが重さはない。印象を残して跡形もなく消えるのが、素晴らしい。


 フレッシュなバレンタインを堪能しました。…これほどの物を貰うと、お返しに気を遣いますね。
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ブルックナー 週間

2020-02-12 23:22:46 | 山形交響楽団
 今週の山響は、土日の定期演奏会。今日からリハーサルが始まりました。

 プログラムは、ブルックナー の「ミサ第3番」、モーツァルト「協奏交響曲」など。指揮は芸術総監督の飯森氏です。

 モーツァルトのソロは団員の平澤氏・山中氏。良い演奏になると思います。


 ところで、ブルックナーは本当にすごい作曲家ですね。

 今回の「ミサ曲」のように、もともと知らない曲でも、一部分を聴いただけですぐに「これブルックナーでしょ」とわかる。これほどの個性に対抗できるのは、ショスタコぐらいでしょうか。

 この「第3番」も、どこをとってもブルックナー 。そして1時間弱の大曲です。好きな人にはたまらないでしょうね。


 明日から歌合わせです。良い演奏会になるように頑張ります。
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財布の中身と場所について

2020-02-11 22:23:37 | 雑記
皆さんは、財布をどこに入れて歩きますか?セカンドバッグか、上着の内ポケットですか?

 私はズボンの前ポケットです。セカンドバッグは成金みたいだし、上着は夏場は着ないし、そもそも大して中身の入っていない財布を大事そうにしているのが恥ずかしい。

 なので、長いこと財布は持たずに現金を前ポケットに入れて歩くのが習慣でした。…金銭には、できるだけ無造作でありたいと思う性格のせいでもあります。これだから貧乏なのかもしれませんが。

 ところがある時、

「財布ぐらい持てよ」

と息子や家族に言われ、誕生日にプレゼントまでされてしまったので、持ち歩くようになりました。しかし、しばらく経つとGパンに財布の跡がついてしまう。私は気にならないのですが、妻からは叱られます。

 面倒なので、跡がつくたびににGパンを買い替えるのです。最近は安いのがどこでも買えますから、これも消耗品と思えば良いのです。


 しかし。人は、ある程度の年齢になると、あまりに安物は着られなくなる。若い頃はいいのですが、歳をとってからは、極端に安いものを身につけると貧相で、場合によっては下品になってしまう。…これは恐ろしいことで、目下の悩みです。

 …内面が豊かであれば、人目を気にする必要はない。むしろ、そういうことを気にする方が卑しいのだ。

 とは思いますが、歳をとると身につけている物が「生き方」を判断される材料になってしまうのは確かです。…いやですね。


 ということで、服を買いに、ユニクロではなくデパートへ。

 行こうとするわけですが、残念ながら山形ではこの間、唯一のデパートが倒産してしまいました。日本でただ一つの、県庁所在地にデパートが無い県になってしまったらしい。


 仕方なく、週末の休みを利用して、仙台のアウトレットに行きました。…情けない。

 せいぜい見栄をはって、LEVI’Sでお買い上げ。

 …これからは跡がつかないように、財布の入れ場所を考えます。
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自宅待機

2020-02-10 22:04:19 | 山形交響楽団
 先週末は、久しぶりに静かな土日になりました。考えてみれば、ここ数年の山響は、週末の休日は久しぶりのこと。ありがたいことではありますが。

 …いやいや、じつは昨日にも山響のコンサートはありました。サボったわけではありません。「ブラスフェスタ」。地域の吹奏楽部を集めて指導をして、協演するという企画です。


 素晴らしい。たいへん意義のあることですね。

 私達、弦楽器奏者が休んでいる間に、こんなに素敵な活動がなされているとは。

 わくわくして昼寝もできません。

…失礼しました。ストリングスなど、管楽器が休みなのはちょくちょくありますが、弦楽器がお休みというのは珍しので、調子にのりました。


 しかし、そういうことはさて置いても、世の中の少年少女では、管楽器・打楽器の人口が多いのは間違いないことですから、こういう機会はもっとあっても良いのではないかとは思います。

 若い世代の山響ファンが増えてくれますように。
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パラサイト

2020-02-08 22:54:21 | 映画・ドラマ
 話題の韓国映画です。先日、山響の公演が午前中で終わった帰りに観に行きました。

 昔たまたま観た作品が本当にひどかったので、それ以来、韓国のものは敬遠してきました。題名すら覚えてませんが、金属のお碗に入ったご飯を食べては、つまらないことで大げさに怒鳴り合っているだけの映画でした。

 しかし、この「パラサイト」は、日本における「カメラを止めるな」のように、評判が評判を呼んで賞を獲るまでになったとか。…そこまで言うなら観ておきますか。


 ということで、観賞。思いのほか混んでいました。

 まず先に感想を言うと…実に面白かった。社会問題と、コメディと、人間存在を問う重みの、それぞれのバランスが素晴らしい。ストーリーでも充分に惹きつけておきながら、映画でしかできない暗示的な表現もさすがで、観た後の余韻も充分。

 
 「半地下の家族」という副題がついていますが、半地下の劣悪な住居に暮らすしかない「貧困層」の家族の4人が主人公。それが、丘の上の豪邸に暮らす上流階級の家族に、うまく取り入って、浸食してゆく。経歴詐称もなんでもあり。「万引き家族」をはるかに凌ぐ詐欺家族ぶりが、むしろすがすがしい。

 しかし楽しいのは前半まで。やはり、どうにもならない「格差」の問題がはっきりして、さらにもっと深刻な「下には下が」いたことに、主人公たちも私たち観客も驚かされる。

 良い映画なので「ネタバレ」を避けるべく、これ以上は書きませんが、生活環境は体に染みつくし、心の奥にも染み付いてゆくのです。それこそが、社会問題のいちばん恐ろしい所でしょう。


 ところで。韓国の女性は、綺麗だとは思うのですが、加工された「プリクラ」の写真を見るようで、あまり好きだと思えずに来ました。しかし、この映画の「半地下家族」の娘は自然で、本当にかわいい。平気で嘘をつく上に、コンピューターを良く使って、書類の偽造なども上手にやる「悪い子」ではあるのですが、どうにも魅力的です。汚泥のなかで強く咲く花、とでもいう感じ。韓国美人のイメージが変わりました。


 とにかく良い映画でした。でも、日本はまだまだ平和です。それを守るためにも、これ以上「格差」が広がるような社会構造を作ってしまわないように気をつけなければと。
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陸奥八仙「吟醸あらばしり」

2020-02-07 23:10:12 | お酒の話(県外)
 たとえば、とれたての野菜。新鮮な甘さもそうですが、それよりも「さっきまで生えてた」らしい、青臭さみたいなものが、まずガツンと来る。

 たとえば、とれたての魚。プリプリの食感とかもあるでしょうが、やはり「さっきまで泳いでた」に違いない「海の臭い」でしょう。あと少しで、生臭さに変わってしまう前の一瞬の香り。

 肉もそうでしょう。もはや懐かしの味になってしまいましたが、「レバ刺し」の旨さは、はっきり言えば「生き血」の風味です。だからちょっと、本能的にテンションが上がるのです。

 つまり、新鮮なものの旨さは、死んでしまう直前の「命の味」なわけですね。まさに「生々しさ」そのもの。


 これは、新酒にもあてはまる。火入れしていない生の新酒は、まさに今も瓶の中で発酵が続いて、生きているわけです。米の風味もそれぞれで、酵母の違いによる香りも色々ありますが、それよりも何よりも、「まだ生きてる」ものだけが持つ、独特の生々しさこそが、新酒の生酒に共通の旨味です。

 
 ということで、青森は八戸の名酒「陸奥八仙」から、今年の新酒、シルバーラベルの「吟醸あらばしり」です。「あらばしり」とは、まだしぼる前、最初にあふれてきた新酒のこと。まさに、鮮血のような…と言うと悪趣味かもしれませんが、要するにそういうことです。

 強調したいのは、本当に新鮮なものには「あま〜い」とか、そういう表面的な味覚を超えた、「生き血」の臭気に近いような凄みがあるということです。

 この「八仙シルバー」は、まさにそれ。「いきれ」と言った方が良いぐらいの、むっとするような生々しい香り。これほどの「生」感がある酒も珍しい。…生酒好きには堪らないものがあります。


 まさに「生命感」。生きた命の、味と香りを堪能しました。
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冬には冬の

2020-02-06 22:05:32 | 山形
 甘く見ていたら、いきなり冬が来ました。

 今日の山響は、朝早くから新庄市にて「子育てコンサート」。新庄は山形県の北部にあり、平年は嫌になるほど雪深い。山形市から北上して向かうわけですが、途中には尾花沢市など、居並ぶ雪の難所を通過しなければならい。

 山形県民なら、誰しもが当然のように、熟知していることです。もちろん在住歴22年目の私は言うまでもなく。

…しかし、今年は体が慣れていない。

 久しぶりの、視界が悪い凍結路面の雪道に、思いがけずヒヤヒヤしました。


 ところで、長いトンネルを走っていると、不思議な、と言うより少し不快な気分になりませんか?進路を強制されている閉塞感と圧迫感。

 吹雪の雪道はまた、逆の不快感があります。進路を自分で見定めなければいけない緊張感と、走っていても景色が変わらないので、前に進んでいるのが実感できない不安。

 すっかり古い話になりましたが、映画「おくりびと」の冒頭が、雪道の運転シーンだったのは、しみじみ納得しました。主人公の心情そのまま。良いセンスだったと思います。


 雪が降らなくても心配になり、降ったら降ったで不安になる。人間とは困ったものです。


 それでも、ここ数日の眠気と頭の重さが解消されました。…やはり花粉のせいだったらしい。

 冬には冬の、春には春の、苦労もあれば良さもあり。味わっていきましょう。
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