昨日は山響の仕事の谷間。ということで朝から晩までゴロゴロと・・・というわけにはいかず、もちろん山形Qの練習でした。翌日からまた演奏旅行ですから、休んでいるヒマはありません。
そして、午後からの練習の前に、もう一つ用事がありました。娘の幼稚園の参観です。これもまた、演奏旅行の合間にきちんとやっておかないと。私はまだ今年度は行っていないので、「きてよ。いつくるの?」と娘から言われていたのでした。
娘の幼稚園では「参観」といっても、いわゆる「授業参観」のような一斉のものはなく、各自思い思いの都合が良い日に申し込んで、「普段の様子をそっと見に行く」というものです。なのでむしろ、多くの親がかちあわないように制限されます。昨日は私たち夫婦のみ。教室の反対の端と端に別々に置いてあるパイプ椅子に座って、静かに、まるで野生動物の生態を観察するように見ます。
ここの教育の特長は、それぞれの園児に一人ずつ別々の「お仕事」をさせることです。「お仕事」とは、学習や生活に関連した作業を、一人で黙々と集中してやることです。学習系では数字パズルや地図の色塗りなど、生活系ではお茶をいれたり、クッキーを焼いたり(!)します。昨日、娘は静かに世界地図の大陸を絵の具で色分けしていました。
見ていると横の方から、なにやら甘い香りが。なんと、ホットケーキを焼いている女の子がいました。小さなフライパンを小さな電気コンロにかけて、言われたとおりに、砂時計をじっと見つめています。一人一人にきちんと手順を教えて、最初から最後まで自分でやらせるのですから、先生は大変でしょうが、それがきちんと浸透しているのがすごい。焼きあがったホットケーキを黙々と包丁で切り分けて、はちみつをかけています。
さてそれをどうするのか?もちろん自分でムシャムシャ食べてはいけません。おやつの時間でもないし。
切り分けたそれぞれに楊枝を刺して、あちこちまわって「どうぞ」と食べさせるのです。感心していると、私のところにも来ました。「お客さん」には優先的にすすめることになっているのでしょう。以前は「お茶」をごちそうになりました。おもちゃのようなホットケーキの一部分を、おままごとのようにして頂きましたが、これが本物の、しかもきちんとした味だったので驚きました。
さらに驚いたのは、その後に別の男の子から、なんとホワイトシチューをごちそうになったこと。ちゃんとタマネギやジャガイモにも火が通ってる。なるほど、さっき泣いてたのはタマネギを切ってたからなのか。普通に美味しいシチューで、びっくり。もちろん片づけの洗い物もします。きっと良いダンナさんになれるよ。
ここはクラスが縦割り(年長・年中・年少が一緒になっている)だから、こういうことができるのでしょうね。先輩のやっていることを見て育つわけです。よくできてるし、雰囲気も良い。福島から越してきたという3兄弟が娘と同じクラスにいましたが、よくとけ込んでいました。兄弟一緒にいられるのも安心なのでしょう。
しかしどこの世界にも「おせっかい焼き」の女性はいるものですね。年中の男の子が一生懸命に数字パズルをやっているのに、まわりを取り囲んだ年長女が3人がかりで「そこじゃないよ」と口を出す。男の子は混乱し、かえって間違えてしまう。するとまた口出しが・・・。
まあ、それも男にとっては必要な勉強か・・・。じゃまをせずに、そっと教室を出て、山形Qの練習へと向かいました。