中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

修正

2010-04-30 21:28:37 | 音楽
「だが、何より困ったのは、ズボンのちょうど膝の上のところに、ばかでかい黄色いしみができていることだった。このしみひとつだけでも、ぼくの品位の十分の九は吹っ飛んでしまうことを、ぼくは予感した。だが、そんなふうに考えるのが実に下劣だということも、やはりぼくは承知していた。」 (ドストエフスキー 「地下室の手記」より)


 今年度は山響のスケジュールがいまだかつてない程にたてこんでいるために、まだ4月なのにもかかわらず、スクールコンサートのシーズンに突入しました。

 シーズン中は基本的に朝から晩まで黒服を着っぱなしです(夏場は上着はなくなりますが)。そしてほとんど車に乗りっぱなし。外回り営業の会社員のように、社内で昼食をとる事もあります。

 そんな時に気をつけなければならないのが、「食べ物のしみ」です。Yシャツの見える部分に、トマトソース系のしみがついてしまったりすると本当に最悪です。何気なく下を見た時に、赤い大きなしみを見つけた時の悲惨な気持ちは筆舌に尽くしがたい。
「何で、おにぎりかサンドイッチにしておかなかったんだろう…」
と地団駄ふんでもどうにもならない。午後の本番の時間も迫ってきてる。新しいYシャツを買いに行く時間はない…。

 我々にとって(特に男性は)「ステージ衣装」など「作業服」同然。晴れ着などではなく、汗まみれで働くためのものでしかない。多少の汚れやシワも付かないようになどできるものではありません。しかし…やはりステージに立つとなると、客席からわかりそうなほどのしみは、ちょっとまずい。また自分で気にすると、全観客にこのしみが目だってしまっているような気がどんどんしてくる。すると今度は自分の演奏までもが何だかみすぼらしく思えて…。

 「やはり何とかしなくては!」と、取り乱して水をつけてこすったりすると、目も当てられない。色の濃さはそのままに、どんどんサイズが拡大していく、悪夢のようなしみ…。


 ということで、私の車のダッシュボードの中には、その時危機を救ってくれた「修正ペン」が入っています。
コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

十四代(龍の落とし子)

2010-04-29 21:39:56 | お酒の話し(山形県)
 あまりふれたくないのですが、やはり「山形の酒レビュー」では「十四代」を避けて通るわけにはいきませんね。

 「山形の酒といえば十四代」みたいに言われることが多いですが、はっきり言って「十四代」は山形の酒の中では「中の上」ぐらいのレベルです。地元でもなかなか手に入らないし、プレミアがついて定価の五倍以上で取引されているという点では、確かに「すごい酒」なのかも知れません。

 今回、たまたま手に入った十四代は生酒で「龍の落とし子」という米を使った純米吟醸です。定価は1升ビンで3300円。しかしインターネットなんかの「取引価格」では2万円ぐらいです。

 本当にどうしてなんでしょう?本醸造で定価1980円の「本丸」も、世間では1万円ぐらい。「なんて悪どい蔵なんだろう」と思っていましたが、それは違うんです。

 せっかく造っても大都市の業者にあっという間に買い占められてしまう。蔵はもちろん定価で出しているんです。それなのに「幻の~」とか言って、どんどん値段をつりあげて売ってしまう業者に問題があるんです。メディアに踊らされて言い値で買ってしまう人が多いのも、もちろん一因ですが。


 この「龍の落とし子」は、本当に旨い酒です。3300円でこれだけのレベルの酒は、全国探してもなかなか無いと思います。すっきりしていながら芯がしっかりしていて、料理の味を邪魔しない。でももう一度言いますが、山形の酒の中では「中級」です。


 「あの十四代の火付け役となった」雑誌があるようですね。なんでも「知られざる日本酒」の特集をしたりしてる。それはべつに勝手にやってくれて構わないのですが、最近の号で私のお気に入りの新潟の銘酒「鶴齢」が、ランキング1位になっていたようです。

 …なんだか自分だけがひいきにしてる、ひっそりとした店に土足でしかも団体でドヤドヤと上がりこんで来られたみたいで、あまり面白くない。「十四代」みたいに荒らされてしまわないと良いんですが。


 本当にブームというものは「捏造される」ものだと思います。楯野川の方が絶対旨いんだけど…。でも荒らされるとイヤなので、楯の川さんには申し訳ないけど、このまま「火付け役」に目をつけられないでいてほしいなぁ。そういう意味で「十四代」は気の毒な蔵です。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

就任

2010-04-27 20:52:17 | 危機管理
 突然ですがわたくし、つい先ほど「理事長」に就任いたしました。理事会の場で満場一致の推薦を受けて、新理事長のイスを手中に収めたのです。


 …何のことはありません。マンションの管理組合の当番が回ってきたというだけのことでございます。これもマンション暮らしの面倒な部分の一つです。当マンションでは1年の任期で5世帯に理事の当番が回ってきます。ポストに入っていた「理事会のお知らせ」を見て「ついに来たか…」ということで、先ほど理事の一人として出席してきたわけです。

 理事長と副理事長と理事2人と監査…一番楽なのはどれなんだろう?やっぱりヒラの理事かなぁ。たぶん自分より年輩の人が多いはずだから静かにしてれば、毒にも薬にもならないような「ゆるい」ポジションに納まれるだろう。

 軽い気持ちで行ってみると、4人の主婦の方々が井戸ばた会議中。あれ?理事会は?たしかここって書いてあったはずだけど…。

 「新理事の方、すべてお揃いになりましたね」
横に立っていた管理会社の人が言いました。…ええっ!この雰囲気はヤバイ。

 「では理事会を始めさせて頂きます。本日は新理事会の初回ということで、理事長はじめ役職分担を決めて頂きます。これは私ども管理会社の方から指名するということはできませんので、5人様で話し合ってお決めいただくことになります。」

 「あら理事長なんて何すればいいのかわからないし、私ムリだわ。」
 「うちもそんなの勝手に引き受けたりしたら、お父さんに怒られるわ。」
 「やっぱりこういうのは男の方がいいんじゃないかしら。」

 私に集中する視線…だめだ、完全にハメられた。しかも私が最年少だし。とてもはねかえせるような視線たちじゃない。

 「はい…わかりました。僕が理事長をやらせていただきます…。」
対局が自分の負けに終わったことを知ってうつむき、静かに頭を下げる棋士のように。

 「あらぁ、助かるわ。」
 「何だか申し訳ないわぁ。」
 「よろしくお願いします。」

 「いや、驚きました。こんなにすんなりと決まったのは初めてです。例年、なかなか決まらなくてクジを作ったりしなければいけないことも多いんですが、今年は素晴らしいです。」と管理会社。


 …はいはい。何だか「諦めが良すぎる」という自分の欠点をなじられてるような気がする。
コメント (4)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

資源

2010-04-26 18:39:56 | お酒の話し(山形県)
 エレベータって、何となくちょっと気詰まりなものです。しかしマンションだと毎日、数回は乗らなければならないし、そうすると他の住民の方々と狭い空間で顔を合わせるわけです。お互い様ですが、寝起きの時もありますし、酔っ払って帰って来る時もあります。いつもパリッと爽やかにいられるわけではありませんから、気を使ってしまいます。

 特にゴミの日にゴミ袋を持ってエレベータに乗らなければいけない時は、抵抗を感じます。夏場の「もやせるゴミ」は、臭わないかとヒヤヒヤしたり、透明度が高い袋を用いるジャンル(プラスチックごみなど)の日は「あまり変なものが見えてしまわないように」配置を変えたり。


 「資源ごみ」も、やや気を使います。ビンやカンの日ですが、我が家のはお察しの通り、うす~い袋に酒ビンがゴロゴロガシャガシャ…「すみませんうるさくて、そしてこんなに飲んで」という気持ちを込めて、小さくなってエレベータに乗り込みます。

 今朝も一升ビンではち切れんばかりの「資源ごみ袋」を持って家を出ました。エレベータを待つ間「いつの間にこんなに飲んだかな…」と袋の中をしげしげと眺めておりました。

 しかし我ながら、素晴らしいラインナップ…こんなにハイレベルのビンカンごみは無いだろうな。居酒屋なら入り口に飾るだけで十分、イメージアップになる銘酒ぞろい。壮観極まりない…特にこれなんか……。


 ん…?ふと視線を感じて顔を上げると、エレベータのドアが開いていて、上の階からの先客の方々の冷ややかな眼差しが…。

 早朝に酒ビンの詰まった袋を満足げに見つめる男…一言でいえば不審者ですな。
コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

初物

2010-04-25 21:40:24 | クァルテット
 ついに買いました!バルトークの弦楽四重奏第1番のスコアです。

 …それがどうした?と思うかも知れませんが、私の人生で初めての出来事でございます。

 もちろんスコアを買うのが初めてなのではありません。我が生涯で初めて「インターネット」で買い物をしたのです!しかも携帯の。


 …あれっ?何も声を荒げるほどの事でもないみたいですね…。

 いやいや…今度の山形Qの定期で取り上げるバルトークは、ただパート譜を見てCDを聴いただけでは、仕組みがまったくわからない。近くの店で取り寄せると時間がかかるし、今度東京に行った時に買うか…とも思いましたが時間が無いスケジュールの中では、一刻も早く欲しいところ。

 どうしよう…と思っておりましたが、「そういえばこの間、暇にまかせて携帯電話をいじってたらショッピングのコーナーがあったな」。試しに恐る恐るポチッと。いくらなんでも、こんなマニアックなものがあるはずが…

 あった…!けど、どうすれば良いのやら。「カート」ってなに?押したらカートが送られて来ちゃうわけじゃないだろうな。


 こんな調子でおっかなびっくり。変な所を押しちゃって詐欺にあう話を、ついこの間もラジオで聞いたので「やっぱりやめて、今度渋谷のヤマハに買いに行こうかな…」などと弱気になったりもしましたがもはや、やめ方もよくわからないから後ろを振り返らずに初志貫徹。すごい時間がかかりました。しかし、こんなんで本当に買えてるのか?

 翌々日に本当に送られて来た時まで半信半疑でした。確かに便利だけど、何だかバーチャルな世の中だなあ。

 調子にのって全国の地酒を見てみましたが、危険危険。片っ端からカートに入れてみたくなってくる…。しっかりと封印。
コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いわきにて

2010-04-24 08:02:41 | 旅の空
 目光(めひかり)の唐揚げでございます。写真だとただの「ししゃも」みたいですけど、少し大きめで味が豊かです。ホクホクッと、旨い焼き魚の味が広がります。福島の、いわきの味覚です。ポン酢で食べるととにかく旨い。来て良かった…。

 山響の演奏会のため、いわきにやって来ました。いわきは草野心平記念館での山形Qの演奏会以来です。あのコンサートの終演後も海の幸で地酒を堪能しました。カツオが最高に旨かった…。

 
 今年度の山響は、例年にも増して演奏旅行が多く入っています。いろんな意味で気をつけないと…。自然体で「ほどほど」を攻められるよう精進します。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

わさび

2010-04-22 20:32:42 | 音楽
 今年が明けてから、山形Qの第34回定期から山形Q庄内演奏会vol.1やら、東京でのソロコンサートやらパストラーレ室内合奏団やら、そしてまた山形Qの第35回定期まで、オーケストラ以外にいろいろと充実した活動をしてこられたのは有難いことで、確実に自分の栄養になっているのですが、少々疲れました。

 自分に「お疲れ様」…ということで昨日は久しぶりに、私の一番のお気に入りの寿司屋へ家族を連れて行きました。昔から何か、お祝いムードの時に必ず行きます。山形に来てすぐの頃から通っているので、マスターもおかみさんも、家の子供達を生まれた時から知っているので、孫のように迎えてくれます。味も雰囲気も、山形で一番気に入っています。


 しかし…困ったことが1つ。我が家は、私以外の3人が「わさび」を食べられないのです。

 「それがどうした。さび抜きにしてもらえばいいじゃないか」と思うでしょう?もちろんそう言って注文してます。ところが、「にぎり」に関しては9割以上の確率で、わさびが入っているのです。何度言ってもそうなってしまう…。

 「なんて忘れっぽい人なんだろう…」と長いこと思っていましたが、最近になってどうも違うような気がしてきています。

 
 マスターは昔気質の腕の良い「職人」なんです。職人は「ただ上手にできる人」とは違います。その仕事の中に「人生観」や「美学」を持っています。だから、その手によってできたものは、その人の「生き方そのもの」なのです。その手の動きは、その職人の「心そのもの」なのです。彼が心を込めて寿司をにぎる時、彼の最高のバランスでシャリをかためて、彼の最高のポイントにわさびをつけてしまうのでしょう。

 「たっぷりと歌がこもった良い音を出したい」と思った時に、弦楽器奏者の左手が、無意識にヴィブラートをかけてしまうのと同じじゃないかと思うんです。

 ということは、心ある職人に対して「さび抜きで」と軽々しく注文をつけるのは、実はすごく失礼なんじゃないかと…。


 最近は、「さび抜き」とたのんでわさびが入ってても何も言いません。昨日も家族をなだめつつ、私が美味しく頂きました。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山形Q第35回定期終了

2010-04-21 13:06:29 | 山形弦楽四重奏団
 演奏をすべて終えて、出口でお客様方をお見送りしている時に
「二曲目の、日本人の曲が本当に素晴らしかったです。貴重な曲を聴けて良かったです。」
というような事を、何人かの方が言って下さいました。こういう反応は本当に嬉しく思います。

 チラシに、聞いたことも無い邦人作品が書いてあるのを見て
「これ聴きたい!」とすぐに思うようなマニアックな人は少ないはずです(特に山形では)。だとすれば、昨日来た人は「ついでに」とか「仕方なく」聴いたわけです。それが期せずして「良い出会い」になったのだとしたら、我々のお陰でしょう?自画自賛ですが、我々のこういう「地味きわまりない」活動にも少なからぬ意義があったとすれば、すごく嬉しいことです。尾崎宗吉さんも、喜んでくれたことと思います。


 さて、昨日は新年度の平日という忙しい中、文翔館に足を運んで下さった多くのお客様方、ありがとうございました。プレコンサートトークでも言いましたが、弦楽四重奏の定期演奏会という地味な催しを、こうして楽しみにして来てくださる方々のお陰で、わが山形弦楽四重奏団も第35回の定期演奏会を迎えることができました。ありがたいことです。

 ベートーヴェンの12番はさすがに難しい大曲でした。特に第二楽章は魂が吸い取られるような凄い曲です。そこまでは良かったのですが、第三楽章以降に少し疲れが出たのが悔いが残る部分ではありました。しかし、1曲目のハイドンから始まってアンコールのハイドンに終わるまで、個人的には本当に楽しい時間を過ごしました。もちろんヒヤッとして寿命が縮まりそうになる瞬間もありましたが、山形Qで鳴らす文翔館の響きが、最近すごく好きなんです。第1回からずっと同じホールでやってるわけですから当然かもしれませんが、気に入ってます。

 それと、ハイドンはもう(まだ?)37曲目ですが、ようやく打ち解けてきたような気がしています。やるべきことはまだまだあるとは思いますが、どんな時も明るい気持ちで弾けるようになってきました。

 長くやってみてようやくわかってくることが本当に多いです。何ごとも長い付き合いが必要ですね。

 
 ということで、昨日来て下さった方も、残念ながら来られなかった方も、これからも山形弦楽四重奏団と「長いお付き合い」をよろしくお願いします。次回はついにバルトーク。頑張ります。
コメント (4)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

人事を尽くして

2010-04-20 17:42:23 | 山形弦楽四重奏団
 文翔館に植えられている木々も、ようやく春らしくなりました。天気が良ければ、もうちょっと爽やかな写真になったんだろうけど…。まあ、山形Qの演奏会の日は、雨や雪や雷と決まっているので、何も降ってないだけで有り難く思わなくては。

 さて、ただ今本番直前です。こういう時間の過ごし方は、本当に人それぞれです。基礎的な練習(音階など)をひたすら続ける人もいれば、今日の曲の中の不安な箇所をとにかく繰り返している人もいます。そういうのは全てその人の精神統一の方法ですから、真面目・不真面目とは無関係です。


 こんなのを書いている位ですから、すでにお分かりかと思いますが、私は…ゲネプロが終わると本番まで、ほとんど音は出しません。余裕があるから。だと良いんですが、そうではなくて諦めが良いんです。結果はもう決まっているはずだ、という気がしてしまうのです。

 今晩はそれが吉と出ますか凶と出ますか…。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山形Q練習35-vol.14

2010-04-19 21:20:16 | 山形弦楽四重奏団
 さて、いよいよ明日が本番です。

 もうここまで来たら、後はひたすらイメージトレーニング。

 (お疲れ様でした!カンパーイ!
  …クーッ、気持ちよく演奏した後の生ビールは感動そのもの。
  「すみませーん!生もうひとつ下さーい!」)

 完了。

 
 …うそです。これから今日の録音を聴いて、きちんとチェックしてから寝ます。
しかしもはや何があっても前向きに。世界人類が平和でありますように。

 (写真は札幌の大通り公園にあった「希望」の像。わかりやすい前向きさが素敵です。) 
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山形スクリーム

2010-04-18 12:41:45 | 読書
 昨日は山響で鶴岡に行き、東北電力の「名曲の夕べ」。しかしいきなり冬に逆戻りしたのには驚きました。朝起きて窓を開けると雪景色…目を疑いました。

 ところで、昨日はゲネプロと本番の間の待ち時間が長かったので本を一冊読み切ってしまいました。軽い内容のものだったので、映画でも見る感覚で。読んだのは…「山形スクリーム」。少し前に公開された、山形を舞台にした映画ですね。その脚本を小説化したものです。

 筋は完全なホラーコメディ。漫画ですね。「山形」にちなんでなければ手にとることもなかったでしょう。とにかく下らない。でも、ここまで下らないと逆に結構面白い。平家の落武者がゾンビになって出てくるという非常にチープな題材がまさにB級。それを初めから割り切ってるところが、爽やかですがすがしい。映画で見たらかなり笑えるかも知れない。時間がたつのを忘れて一気に読んでしまいました。


 けど、やっぱり山形ってそういう秘境みたいなイメージなんですね…。つり橋一本落ちたら陸の孤島になる村なんか無いんだけど。
コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

そして次世代へ

2010-04-17 20:48:16 | 危機管理
 息子は、この4月にクラス替えがありました。そして新しいクラスでついに「なかじぃ」と呼ばれ始めたようです。

 ついにきたか…。やはり先祖代々伝わる宿命からは逃れられません。

 もちろん私の父も弟もみんな「なかじぃ」でございます。昔、みんな実家にいた頃は大変でした。正確に言うと、用があって家に電話をかけてくる友人達が大変だったようです。

 三人とも電話の声が非常に似ているらしく、聞き分けられないみたいなんです。

 「はい」と電話に出ると
 「あっ、なかじ?」
 
 …これが困るところ。「どちらのなかじにおかけですか?」と聞くのもおかしいし、実際に私もなかじなので、とりあえず肯定するわけです。するともう会話が始まってしまう。あだ名で呼びかけて通じると、完全に本人だと信じるんですね。

 「オレオレ。明日のことなんだけど、どうする?やっぱりオレ考えてみたんだけどさぁ、○○に行くんだったら一応△△と□□にも声かけた方が良いんじゃねぇ?でもそうなると◎◎がさぁ………」

 話の内容から言って「弟の友達か…」とかいうことはすぐにわかるのですが、人の話を途中で遮ってかぶせるようにしゃべる人が嫌いな私としては、自分も他人に対してそういうことはできるだけしたくない。適当な区切りがつくまで待ちます。しかし、たてつづけにしゃべり続けるようなタイプの人だと困ります。早く区切ってくれないと、用件を全部聞いてしまう。

 「……なんだけどさぁ、どう思う?」
 「あの…、弟は今出かけてます。」
 「………?」

 呆然とするような沈黙が流れます。そして何となく申し訳ないような気になってしまうんです。別に騙したわけじゃないんですよ。


 もう今は携帯電話の時代だからこういうことは無いんでしょうけど、「なかじぃ」は末代まで続くんでしょうかね?
コメント (4)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山形Q練習35-vol.13

2010-04-16 08:36:09 | 山形弦楽四重奏団
 登山をして、山の8合目あたりで景色がひらけた場所をみつけて一休み。水筒の麦茶を飲みながら、下に見える町なみを見下ろして
「よくもまあこんなところまで登ってきたもんだ…」


 これが、昨日の練習でのベートーヴェンの録音を聴いてみた感想です。やっぱり険しかった。幾度となく雰囲気が悪くなりながらも、四人五脚でなんとかここまでたどり着いた。
思えばいろんな苦労がありました。あの時なんか…


 休憩おわり。振り返るのはまだ早い。頂上はまだ先なんですから。まだまだこの先の崖を登らなくては、目ざしてきた山頂の美しい景色にありつけない。気を抜くと滑落します。四人五脚でつながれてるわけですから、一人落ちても全員助かりません。
なんとか20日には、お客さんと一緒に絶景を共有できますように。


 ファイト!一発!(頂上で飲むのは、栄養ドリンクじゃなくて冷えたビールがいいな…)
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

蟄居

2010-04-15 07:49:29 | クァルテット
 昨日と一昨日は、ほとんど自宅にこもりっきり。平日ですから息子も娘も学校やら幼稚園に行っているので、静かな時間がふんだんにあって、じっくり練習しました。

 朝「いってらっしゃ~い」
 夕「おかえり~」
…一昨日などは、寝巻きで送り出して、そのまんま寝巻きで出迎えました。今はまだ良いですけど、子供達がもう少し大きくなったら、さぞかしウザがられることでしょうな。


 ハイドンの品のある健康的な瑞々しい世界、尾崎宗吉の限られた時間のなかで燃焼しつくそうとするようなエネルギー、そしてベートーヴェンの奥深い内面世界のダンス…(Op.127はどの楽章も踊りのリズムでできているような気がします)


 それらの世界の中に、もがきつつ没入していると、一日があっという間です。

 外の桜はまだつぼみのようです。よしよし、ちょうど良い感じ。
 定期が終わったらのんびりと花見酒だな…これも目標としてインプットして、あと5日間頑張ります。
コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

尾崎宗吉3

2010-04-14 22:36:27 | クァルテット
 「1935年の9月頃だった。新作の練習のために諸井三郎邸へ集まった私達四人に、諸井氏が『私の生徒が良いクワルテットを書いたので、今度のオーディションでぜひ弾いて下さい』といって、詰めえり服に丸刈りの、まだ少年の面影を残した学生を紹介した。これが尾崎宗吉との初対面だった。」
 「尾崎の曲は、当時稀に見る大胆新鮮な発想で私達を驚かせ、喜ばせた。このオーディションでは、間近に迫った公開演奏会に向けて、約30曲の中から10曲を選ぶことになっていた。私達が演奏し終わった時、一瞬の深い沈黙があった。それを破って、山田耕筰が力強く『(公開演奏会に)出しましょう』と言った。」 (チェロ奏者、井上頼豊の文章より)


 尾崎宗吉の「小弦楽四重奏曲」が世に認められた瞬間です。こういう瞬間に立ち会えるのは、演奏家として幸せなことでしょうね。山田耕筰まで出てきて、なんだか「その時歴史が動いた!」みたいな感じがします。井上頼豊氏はこの後、尾崎宗吉と仲が良くなって新曲を献呈されたりします。

 しかし二人とも戦争へ。尾崎宗吉は還らぬ人となってしまいます。生還した井上氏は親しかった尾崎のために、失われた楽譜を発見して演奏することを使命と感じて実行します。特に遺作となったチェロのための小品「夜の歌」は、日本中で何十回と弾いているようですから凄いことです。

 先日頂いた「小弦楽四重奏曲」のCDに「夜の歌」が一緒に入っていました。二回目の召集を受けて出征する前に作曲された曲ですが、死を覚悟していたということが伝わってくる、静かで重い、美しい曲です。カザルスの「鳥の歌」を連想させるような雰囲気を持っています。不思議です。同じような気持ちで作曲されると、同じような雰囲気の曲になるんですね。人種や言葉の違いは関係ないんです。


 「夜の歌」についての柴田南雄の評論です。

「そのチェロ小曲は、一時内地に帰っていた昭和18年の作だが、前記の諸曲に比べ、単純な旋律美を前面に押し出し、清澄な諦念の表現に徹している。そのひたむきな純一さは、聴きようによっては鬼気迫る趣を持つ。もしも、師の諸井三郎がこの小曲の草稿に目を通していたら、尾崎自身が深く死を予感しているのを直感したに違いない。」

関連記事
尾崎宗吉
尾崎宗吉2
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする