中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

センセイの肝臓

2012-10-31 09:55:50 | 読書
 「食欲の秋」と聞いて「さあ食うぞ~」と意気込むのは間違い。ついこの間まで「夏バテに負けない!」という文句に踊らされて、しっかり食べていたのを忘れてはいけません。冬は冬で「忘・新年会」、春は春で「歓・送迎会」・・・結局、食べるのが好きな人は四季を通じて食べているし、酒飲みは年中、理由をつけては飲んでいるわけです。

 わかってはいますが、「読書の秋」というのは何となく語感が良い。ということで、読んだ本の話でも。


 川上弘美作「センセイの鞄」。え・・・今頃そんなの読んでんの?と、思われる方も多いでしょうね。2001年に出て、純文学ジャンルでは異例のベストセラーになって、ドラマ化もされたらしい。世情に疎い私でも、題名だけは知っていました。旅先で暇つぶしに入る本屋では、なるべくこういう話題になった新しいもの(自分にとっては)を買うようにしています。


 さて、お話を簡単に。主人公の女性(ツキコ)は、独りで居酒屋で飲むのが趣味の40歳前後の素敵な女性です。そこへ声をかけてきた常連の老紳士「センセイ(70代)」は、高校時代の恩師。飲み友達になった二人に次第に愛情が芽生え・・・。不倫とかではない、爽やかな「大人の純愛もの」です。

 ・・・あ、そういう小説が好きなの?

と訊かれれば、答えは「No」ですが、楽しく読みました。とにかく、何時にどこで会っても、いつも飲んでいるふたりが素晴らしい。とくにセンセイ。70代なのに2軒も3軒もハシゴして「ま、近くですからお寄りなさい。」と、最後は自宅で一升瓶と「鮭ほぐし」を出してくる。次に会った昼間でも、「生ビールをぐいっと飲み干し」、しかもデートでは健脚ぶりを見せて、夜はまた飲む・・・。

 やはりある種の「スーパーヒーロー」です。若い頃と変わらぬ清潔感のある情熱と、超人的な肝臓。新しいタイプの「王子様」かも知れません。

 夏は冷えたビール、秋はキノコ狩りのその場で焼いたキノコと日本酒、冬は鱈と春菊の入った湯豆腐で・・・二人はあきれるほど年中飲んでます。でも、それがまた「夢心地」ということでもあるのでしょう。「大人のファンタジー」に「酔い」は欠かせないということか。


 気持ちよく飲みたくなる一冊・・・でも年をとってからの健康も大切だと思わせる、「秋」にぴったりの本でした。
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フルコースで

2012-10-30 11:41:40 | 音楽
 昨日は仙台のホールで、高校生対象の山響スクールコンサート。 

 プログラムの中に、チャイコフスキーの「弦楽セレナーデ(第1楽章)」がありました。確かに、高校生でも聴いておくべき名曲です。曲の冒頭から、いきなり感動のクライマックスがくるような出だしは衝撃的で、一度聴けば誰でも心に残ります。聴きようによっては、何も始まってないうちから達成感があるという不思議な曲ですが、何度弾いても素晴らしい。しかし、何度弾いても難しい。

 
 この曲を初めて弾いたのは大学一年の時で、学内オーケストラのアンサンブル発表会(当然その後は飲み会になる)でした。きちんと楽譜を見て、出だし以外の所を知ったのは、私も初めてでした。

 コピーのパート譜を渡されて「さあ練習しよう」と始めて、ものの10分でイヤになったのを覚えています。
「何これ・・・こんなに難しい曲だったの?最初のところがやりたかっただけなんだけど・・・」

 その時も本番は第1楽章のみ。それでも苦労しました。そして結局、あまり好きになれなかった。


 でも、そうではないのです。やはりこういう、ストーリーの構成がしっかりしている曲は、全曲を知らないとその良さがわからない。第2楽章、第3楽章とすすんで、終楽章の盛り上がりに飲み込まれて最初のシーンをすっかり忘れた頃を見計らって、もう一度冒頭のテーマが出てきた時に「やられた!」となるわけなんです。


 「楽章だて」というものは、コース料理のようなものなのでしょう。切り離してもそれなりには旨いですが、それだとやはり「料理長を呼んでくれたまえ。素晴らしかったと伝えたい。」みたいな、ゴージャスな満足感は得られないんです。

 こんなことを言いつつ、コース料理の素晴らしさは、私もさっぱりわかってません。人の結婚式なんかでも、いつまでも前菜でダラダラ飲んで、ボーイさんに顰蹙を買う派ですので。しまいには、
「あの、デザートいらないんで、これ下げないでもらえませんか?」
・・・イラッとしてるでしょうね。


 話がそれましたが、スクールコンサートを聴いた子供たちの中にも、興味を持って自分で全曲を聴いてみる子がいてくれると嬉しいなと、いつも感じています。
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山形の休日

2012-10-28 13:15:47 | 山形
 昨日は、細かい予定はありつつも、おおむね休日。ということで家族で蕎麦屋と温泉。これが山形の休日の正しい過ごし方です。


 しかし息子がずいぶん食べるようになったこと・・・。この間までは私も張り合っていましたが、今ではすっかり降参。もはや同じ量を食べてしまうと身が持たない。後で後悔することになるということをようやく学習しました。

「これの大盛りふたつ・・・いや、やっぱり、ひとつは普通盛りにして下さい。」


 温泉から出ると、空気の冷たさが心地よい。そういう季節になってしまいました。色づいた葉が、高い空からの陽射しに光って見えます。

 さて忙しい「芸術の秋」は、まだまだ続きます。それが終わる頃には、もう年の瀬。追われてばかりで終わってしまわないように、心してかかります。
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父帰る

2012-10-27 11:51:47 | 危機管理
 さて、二週間ぶりの我が家です。


 ・・・途中の渋滞で、すっかり遅くなっちゃったな。

父「ただいま~」
母「あら、帰り今日だったっけ?もう夕飯終わっちゃったし、何も用意してないけど・・・」
父「言ったはずなのに・・・まあコンビーフでも食べるからいいや。
  (息子の部屋を覗いて)あれっ、まだ出かけてるのか?」
母「またどこかで飲んでるんでしょ。最近いつも朝帰りなのよ。まったく誰に似たんだか。」
父「・・・。
 (居間へ行き、娘に向かって)
  ただいま・・・」
娘「・・・。」
父「お父さんが帰ってきた時ぐらい、携帯いじるのやめなさい。」
娘「いいでしょ別に。急に帰ってきてごちゃごちゃ言うのやめてよね。」
父「だいたい何だその髪の色は!前よりもひどいじゃないか。」
娘(黙って自分の部屋へ行こうとする)
父「待ちなさい、お前いくらなんでも眉毛抜きすぎだろ。建春門院さまみたいになってるぞ。」
娘「・・・意味不だし。つーかマジうざいんだけど。」(バタンと乱暴にドアを閉める音)


 ・・・以上、「10年後はこうでないと良いな」という妄想でした。

 昨日は武蔵村山で公演の後、東北道の工事渋滞で、家に着いたのは夜9時過ぎ。疲れました。でも、家のドアを開けるとみんなでお出迎え。妻と息子は荷物を持ってくれ、眠いのをこらえて待っていた娘も走り出てきてくれました。

 いつまでもこうだと良いんだけど・・・。
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懐かしの多摩

2012-10-25 17:48:00 | 旅の空
 首都圏の旅の最後、昨日からの3日間は東京都です。しかし23区内ではありません。西の方です。今日は八王子市の南大沢の辺りでした。

 確かに、自分の記憶をたどっても、学校の体育館で音楽鑑賞教室があったことはありません。目黒区内の学校が集められて「目黒公会堂」でオーケストラを聴いたことはあります。23区内はそういうシステムなんでしょうね。


 ところで、近くの多摩市には思い入れがあります。結婚した時に住んでいたのが多摩センターでした。南大沢の隣です。その時に移したままなので、私の本籍地は今も多摩市のままです。

 職場は塾でしたから曜日毎に違いましたが、本校は橋本にあって、南大沢の辺りから通ってきている生徒もいました。

 その頃、少しずつ「少子化」が問題になり始めて、私の職場でも生徒数が減ってきました。黙ってて生徒が集まる時代は終わったのです。そこでかり出されるのが「若手」。橋本駅近くのスーパー周辺で、宣伝の入ったティッシュを配ったこともあります。スーパーに人が来る昼頃から、授業が始まる夕方まで。

 あれが慣れてないと、なかなか難しい。「なるべく小中学生の子供がいそうな女性に配るように」というお達しでした。しかし特売など、大切な用事に向かって急いでいる人の波から、そういう人を素早く見分けるのは至難の業です。やっと見つけて「あっ、これだ!」と意を決してティッシュを突き出すと、その気迫にギョッとするのか、受け取ってもらえません。しばらく何人にも立て続けに拒否されると弱気になり、気後れしてきます。すると今度は挙動不審になり、人の波が私を避けて流れるようになってしまいます。最後は疲れて「もう誰でもよかった・・・」みたいな無差別になり、人のよさそうなおじいさんに渡してしまう。

 そんな私のせいでもないとは思いますが、ティッシュが効果を上げないので、今度はポスティングに行きました。そのターゲットが、巨大な団地が立ち並ぶ南大沢でした。朝に集合をかけられた若手は、大量のチラシとともにワゴン車に乗せられます。そしてエリア毎に一人ずつ「投下」されて、次に迎えに来てくれるまでに、そのチラシを団地のポストに入れまくる。

 この時、もっとも恐ろしいのが「主婦だまり」。これに見とがめられると本当に怖い。「あら、ちょっと」手首のスナップとともに弾んでいた会話がピタッと止んで、警戒と威嚇のこもった目が一斉に注がれます。

 しかしここで逃げ出すことは許されない。変な評判でもたてられたら命取りです。しかも、そんな主婦層こそ、我々が顧客にすべきターゲットなのです。「こんにちわっ!」とむしろこちらから爽やかに声をかけて、営業トークをしてくるように命じられています。・・・非常に疲れるわりには、チラシは結局入れさせてもらえないことを覚悟しつつ。


 そびえ立つ団地群を眺めながら、そんなことを思い出して帰りました。ニュータウンは昔と同じようにきれいで良いところです。
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飛露喜(黒ラベル)

2012-10-23 10:03:20 | お酒の話(県外)
 実家近くの行きつけの酒屋にぶらっと寄り、とりあえず奥の方の冷蔵庫をチェック。このお店は、普通では滅多に手に入らないような人気酒を、定価で何の予告もなくいきなり陳列して、居合わせた運の良い人によって瞬く間に売り切れるのにまかせるという、独特の売り方をするお店です。ですので「奥の冷蔵庫」の、こまめなチェックが欠かせません。

 今回もありました。会津の銘酒「飛露喜」の黒ラベル。

 「飛露喜」は「十四代」の次に手に入りにくい酒になってしまいましたね。この「黒」も定価は3300円ほどですが、一万円ぐらいで取引されています。それでもなかなか手に入らない。たしかに独特の個性があって、旨いと思います。この奥の深い柔らかな甘みは、飛露喜でしか味わえない。

 ・・・でもそこまで皆が眼の色を変えてまで欲しがるほどなのか?私はもっと旨い酒がいくらでもあると思うのですが。みなさん、「希少価値」に踊らされるのはやめて、自分の舌で判断しましょうよ!

 と思いながらも、「あっ、飛露喜!」。奥の冷蔵庫に奇跡的に残っていた最後の一本を、ほとんど脊髄反射で手にとってしまいました。


 さてこの黒ラベル。純米吟醸です。普通のもの「白ラベル」よりも精米歩合が高い。

 ・・・確かに旨い。渋みと酸味と甘みのバランスが複雑ですが、他のどの酒にもない、はっきりした顔があります。「濃厚系」では、これほどきれいな作品は珍しいでしょう。でも、私はもう少し淡泊な「白」の方が好みです。


 こういう良い酒を飲むと、なんだか逆に、定番の「楯野川」が恋しくなってしまいました。・・・これがホームシックですかね。
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首都圏の旅

2012-10-22 17:31:34 | 旅の空
 さて今日からの後半戦は千葉から。まずは千葉市内。


 目黒から首都高速で、普通に混雑した道路をくねくねと。
「おお、これがレインボーブリッジだったか!」などと思っているうちに「ようこそ千葉へ」。あまり土地勘がありません。

 ・・・なんでみんな高速から出たがってるんだろう。
車列が、追いつめられた虫が小さい穴から逃げ出したがっているように詰まっています。見ると「葛西」「舞浜」。・・・なるほど、ディズニーランドのあたりか。本当に一年中混んでるんですね。

 車で移動すると、電車とはまた違った距離感があるものです。実は距離だけで考えると、首都圏はやっぱりすごく小さいですね。目黒から千葉までが、家から尾花沢ぐらいとは知らなかった。感覚的なものさしがまったく一致しないので、なんだか不思議な感じがします。


 今週は千葉と西東京ですが、無精して、毎日実家から車で出勤します。実はあまり馴染みがない、首都圏のドライブを楽しむことにします。
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旅の合間に

2012-10-21 12:21:10 | 旅の空
 二週間にわたる「関東の旅」。小休止のこの週末は、目黒の実家でのんびり過ごしております。さすがの東京も(失礼か?)、この季節は爽やかで気持ちが良いですね。

 
 午前中は、珍しく実家の掃除の手伝いなど。日頃しないので、ハタキや雑巾が手に馴染まなくて困りますね。多分、今すぐに楽器を弾いたら、弓がぷるぷるするはずです。


 その後は渋谷で買い物。タワーレコードで必要なCDを買ってから、本を見に「ジュンク堂」へ。

 週末の渋谷のこの2軒、田舎者にはちょっと遠いです。来る度に、自分の「人混みを泳ぐ能力」が低下してきているのを実感します。みんな自分の携帯やら前髪しか見てないのによくぶつからずに歩けるもんだ、と感心してしまうのが情けない。東急本店のあたりにたどり着いたときには、どっと疲れました。


 さすがジュンク堂、広大なワンフロアにあらゆる本が並んでます。これなら欲しいどんな本もあっという間に見つかり・・・ませんね。広すぎるわ多すぎるわで、どこをどう探したらいいのかちっともわからない。迷宮で途方に暮れた後、ふと見つけた「検索機」。

 なんだ・・・早く言ってほしかった。これなら一発検索。これだけは図書館で使いこなしていますので余裕。

「在庫ありません」・・・がっくり。もうちょっと早く言って欲しかった・・・。


 まあ、こうなってしまうともはやCDも本も、インターネットで検索して注文して買った方が、早いし楽だということに、さすがの私も気づいてきました。山形の自宅で「ポチッとな」で届くんですから。

 でも、もう昔の話ですが、本が幾フロアにもズラッと並んだ「大盛堂」や、クラシックのCDだけでぎっしりワンフロアある「WAVE」に、初めて入った時に感じたあの「わくわく感」が忘れられないのです。


 ダウンロード全盛の今、ここは寺山修司先生に言い直していただきたい。
「書を買いに、町へ出よう」
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千波湖

2012-10-19 09:06:11 | 旅の空
 ずいぶん大きなコクチョウです。私が近づいても全然逃げない。そればかりか、「エサくれるわけでもないのに何の用ですか?」とばかりの無関心さを見せる。この公園にはたくさんのハクチョウとコクチョウがいますが、市民に大事にされているんですね。


 というわけで、ここは水戸。水戸といえば・・・私が思いつくのは、黄門・納豆・偕楽園ぐらいでしょうか。そこで、今朝は早起きをして偕楽園に・・・行こうと思って出かけたのですが、水戸駅からは結構遠いんですね。隣接する、手前の公園「千波公園」が限度でした。

 千波公園は千波湖をとりかこんでいる公園で、美術館やら文化会館などが入っています。一回りして帰るかな・・・と思ったら、思ったよりかなり大きな湖でした。断念して、三分の一周で引き返すことに。

 都市の中にこれだけ大きな湖と公園があるのはすごい。さすが黄門様です。遠くて「光圀像」までたどり着けませんでした。

 すごくきれいに整備されている湖で、周囲はジョギングコース。イヤホンなんかつけて、たくさんの人が汗を流していました。そして広い湖の対岸には、立ち並ぶビルが背景として見えている。本当の意味で「都会的」な感じです。映画で見るセントラルパークみたいです。水戸ってこんなにおしゃれな所だったんですね。(でも納豆と日本酒の組み合わせはやっぱり好きになれない。昨晩の居酒屋で思いました)。

 
 さて、今日はここからさらに太平洋沿いを北上して関東の北端、北茨城に向かいます。
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茨城旅情

2012-10-18 10:49:50 | 旅の空
 味気無いと言いつつも、今も学園都市におります。「雨の学園都市」・・・「霧の学園都市」・・・。うーん、頭に何かつけてみても、別に何の情感も湧いてきませんね。「夜の学園都市」も、ただ暗いだけだし。とりあえず今朝は、雨が降って霧が出て、宿のすぐ前の巨大ショッピングモールが煙って見えます。


 昨日は西の坂東市で公演をしました。市に入ると「平将門のまち」と書いたモニュメント、というか看板が目に入りました。こちらとはうってかわって、ずいぶん歴史の古い「まち」なんですね。

 平将門といえば・・・「~の乱」ぐらいしか知らないので
、黙っておくことにします。「~の呪い」とか、京都に持っていった首が腐らなかったとか、しゃべったとか、東に向かって飛んでいったとか、ホラー的な話に取り入れられていることが多いように思いますが、地元ではやはりヒーローなのでしょうか?


 さて今日は、土浦を経由して、水戸へ向かいます。水戸へは大昔、オーケストラの手伝いで行ったことがあります。「懐かしの水戸」・・・というほどでもありませんが、楽しみにして行くことにします。
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学園都市

2012-10-17 10:33:25 | 旅の空
 山梨の上野原、千葉の松戸ときて、ただ今ここは茨城。「つくば学園都市」のあたりに宿をとっています。

 「学園都市」などというと、広大な土地に計画的に整備された区画、そこに立ち並ぶ研究施設・・・要するに「未来都市」のようなイメージを持っていましたが、だいたいその通りの街です。

 北海道みたいに、だだっ広い道路がまっすぐに伸びて、両側にはやたらと大きいチェーン店。どこまでも続くような並木があって、緑は豊かですが、人工的にデザインされている。「街」というような暮らしのまとまりではない、「エリア」です。

 まあ、悪く言うつもりはないんです。もともと、科学的な研究をするために造られたエリアなわけですから。私が好む、旅情あふれる香ばしい「街並み」を期待する方が間違っています。いろいろと見学できるような施設もあるらしいので、その方面に興味があれば、素人が観光しても面白いところのようです。


 今朝、まっすぐな道路を往復するだけの散歩を終えた後に、日本中どこにでもあるチェーンの食堂で出された、全国共通の味わいの朝定食を食べていると、若者たちの集団が入ってきました。

 仲間のようですが7~8人いるのに、すごく静かな集団でした。服装もすごく地味。
(朝だからテンション低いのかな・・・二日酔いか?)
と思って見ると、別にそんな様子はなく、会話は弾んでいました。ただ、非常に落ち着いたトーンで静かに話しているのです。ごくたまに「研究室のさあ・・・」などの単語だけが聞き取れました。

 ・・・なるほど。さすがは「学園都市」。たしかにみんな、すごく頭が良さそうで、どう見ても理系。研究のために造られたこの地で、日々、それぞれの研究にいそしんでいるのでしょう。

 (こんなところで毎日勉強ばかりして大変だね・・・まだ若いのに。)

 私のような、しがない旅芸人のおじさんから、的外れな同情をされる筋合いはないようです。彼らの目はとても澄んで、いきいきとしていました。ここにはここの、美しい青春があるんです。そして世界に名だたる発明をした研究者となった時に、懐かしくも素晴らしい、母なる町として、ここを思い出す日が来るのでしょう。


 さて、おじさんは木賃宿に戻って着替えてから、隣町に興行に出かけることにします。
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おかげさま

2012-10-16 09:46:24 | 音楽
 さて、山形Qの定期本番の翌日の日曜は、家族で早起きをして車に乗り込みました。家族サービスのため・・・ではありません。一路、東京へ。私は山梨に行く道すがらでもありますが、家族は?連休でもないのに。・・・と思うかも知れませんが、この日は夜、大切なイベントが東京であったのです。

 実家に着いて少しだけ仮眠をとってから電車で向かったのは、渋谷。新しくできた(そうでもないのかも知れませんが、私にとっては)ホール、「大和田伝承ホール」へ。渋谷駅の「裏手」の坂(昔は真っ暗でしたが、今はずいぶんいろんな店ができてますね)を上っていった所にあります。


 そのイベントとは・・・14日夜7時から催されたコンサート「男声合唱団『羅漢』第3回定期演奏会~中島はるの世界」を聴きに(見に)行くことでした。

 おわかりかと思いますが、私の母の作品集のコンサートです。この合唱団は以前から母の作品の初演などをしてくれている団体で、この日も一部、母がピアノ伴奏を務めました。

 あまり先の予定がたてられない病状でもある中で、こうして無事に演奏会が成功したのを見ることができて、私も安堵と感謝をもって、満員の客席の端からステージを眺めておりました。


 そして、このコンサートは、私たち家族にとってはさらにもう一つの価値がありました。母のピアノ独奏のための新曲を第二部で、ピアニストである私の義母が演奏したのです。うちの子供たちにとっては、東京の立派なホールで、「両方のおばあちゃん」がステージでピアノを弾いたわけですから、印象に残るイベントになったことと思います。(ちなみにこの作品は「ピアノのための二つの百人一首、~ながからむ、~あひみての」。楽譜も出版されてます。宣伝でした)。

 プログラムのメインは、この日のために作曲した「やさしい般若心経」。編成は、男声合唱・尺八四重奏・英語朗読。イメージできないと思いますが、般若心経を「オラトリオ」風にしたような曲です。母ではありますが、「作曲家というものは、常人には思いつかないことがひらめくものなのだ」ということを、つくづく感じさせられました。かなり独特の世界観ですが、合唱団はじめ、渾身の演奏でした。こんなに一生懸命に取り組んでもらえることは、作曲家にとって幸せな事だと思います。

 母にとっては、病気のこともあり、いろいろな覚悟も無理もあったようですが、こうしてその作品が熱意のある支持者・理解者によって演奏されて、それがまたたくさんの聴衆に親しまれることは、何より活力を与えられたことでしょう。「般若心経」のテーマでもありましたが、すべての「縁」に感謝します。


 ということで、家族は昨日の新幹線で山形へ帰りました。そして私は、ただ今、千葉の松戸駅前のホテルでこれを書いています。そう、また山響の演奏旅行が始まっているのです。昨日は山梨で公演をしてきました。

 忙しい「芸術の秋」は、まだまだ続きます。でもそれは、ありがたいことなのだと思います。
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山形弦楽四重奏団 第45回定期演奏会終了

2012-10-14 16:47:22 | 山形弦楽四重奏団
 ようやく無事に終わりました「第45回」。

 東京から幸松肇氏ご夫妻もお見えになりました。暑くもなく寒くもなく、そして雨も降らずに良かった。まあしかし、集客力の無さは相変わらず。県民会館でやっていた「ポルノグラフィティ」に客をとられたかな・・・(ライバル視しようにも正体を知りませんが)。

 しかし、来ていただいたお客様には、本当に感謝しています。精一杯のおもてなしをする気持ちで演奏しましたが、いかがだったでしょうか?声をかけて下さった方々からは、おおむね好評を頂いて、嬉しく思っています。


 終演後は幸松ご夫妻を囲んで、もちろんビール。こうして山形の我々の演奏会に足を運んで頂くのは3回目になりました。今回は特に「最上川舟歌」の演奏に満足して下さって、一安心。3年前の初演の時から、各地で数え切れないほど弾いてきていますから、あらためて作曲者の「お墨付き」をもらえたのは嬉しいですね。


 さて、次回は・・・もう来年か。2013年1月14日(月曜祝日)。ベートーヴェンのOp.132(大曲です)をメインに、ハイドンOp.64、そして山形県白鷹町出身で戦没した作曲家の紺野陽吉の「弦楽三重奏」。

 ・・・地味?

なのは毎度のこと。楽しみに来て下さるお客様と、偉大な作品のために頑張ります。
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山形Q練習45-vol.17

2012-10-13 17:07:44 | 山形弦楽四重奏団
 いよいよラスト。

 急に寒くなったせいか、山響でも風邪が流行っています。かく言う私は…全然大丈夫です。少々、酒量が増えてしまっているのが問題か。

 ということで2nd今井嬢が風邪のため、前日の練習は軽め。ささっとおわりました。


 さて、ただ今ゲネプロ終了。後はお客さまをお迎えするばかり。どどっと来てくれると嬉しいのですが。

 さあ終演後のビールまで、もうひと頑張り。
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前日

2012-10-12 13:20:50 | 山形弦楽四重奏団
 さあ、山形Q第45回定期がいよいよ明日です。

 毎年、年4回の定期は、だいたい1月・4月・7月・10月に開いています。1月は雪、4月は花粉、7月は猛暑に悩まされますから、10月がベストなコンディションになります。その辺がやはり「芸術の秋」ということなのでしょう。

 しかし、それだけにスケジュール的には10月の定期が一番厳しい。しかしこればかりは仕方がない・・・宿命ですね。


 今日は午前・午後のスクールコンサートの後、最後のリハーサルです。疲れを残さないようにして、終演後のビールめがけて頑張ります。
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