中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

弔電

2024-03-11 21:34:00 | 山形交響楽団
 年齢を重ねてくると、有名人の訃報が、だんだん重みを増すものですね。

 ドラゴンクエストの絵を描いた漫画家とか、ちびまる子ちゃんの声優とか…特別興味が無くても昔から日常の一部として当然知っている人が亡くなったと聞くのは、自分と関係が無くても、やはり喪失感を覚えるものです。

 私の知っている世界が、次第に過去の一部分になってゆく、ということでしょうか。

 ところで、初めて「弔電」の文章を書きました。鳥山明さんにではありません。でも、決して引けを取らない有名人です。誰だと思いますか?

 …大女優の中村メイコさんです。暮れに89歳でお亡くなりになりましたね。ご葬儀はもちろん終わっていますが、お別れの会が近々あるということで、弔電を出そうと。

 ご主人の神津善行さんが、長年にわたって、山響を指揮して、自身の曲を中心とした誰にでも親しみやすいコンサートを担当してくださったご縁です。

 そのコンサートのプログラムの目玉が神津さん自作の「音楽物語」。「ピーターと狼」のような感じではなく、ラジオドラマをライヴでやるのに近いでしょうか。その出演者として、中村メイコさんをはじめ、ファミリーの方々、神津カンナさん神津はづきさんに登場いただいて、毎年、東北各地をまわったものです。

 毎年見ていても、そのたびに「大女優とはこういうものか」と、感心させられました。セリフが上手いとか、そういうことにとどまらない。お客の集中力の「引きつけ方」が、すごいのです。セリフを言う前に、場の空気を完全につかんでいるので、声を発する前に、さらに言えば発しなくても「名台詞」になってしまう。この感じは、言葉では表現できません。

 山響として長年に渡り、たいへんお世話になったので、楽団員一同として弔電を送らせて頂こうと。そして、形式的な定型文よりは、手作りの方が良いだろうということになり、簡単ですが、私が作文させて頂いたのでした。(…こういう役目は自動的に私にまわってくる。)

 長いこと、お世話になりました。協演できたことは、本当に良い思い出です。ありがとうございました。ご冥福をお祈りします。
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