中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

若かりし

2012-07-21 21:38:38 | 音楽
 二日間にわたる、マーラー「復活」の公演が終わりました。昨日は、震災で受けた損傷から「復活」した、宮城県民会館での演奏会でした。終演後は、仙台フィルのスタイルに従って、ロビーに出て「お見送り」をしましたが、良い表情で帰られたお客さんが多かったように思います。

 80分ほどの大曲(しかも休憩なし)ですが、やはりよくできた名曲です。冗長な曲では演奏している最中、楽譜をめくる時に、「まだこんなにあんのか・・・」とか「よしっ、もう少しだ!」などの雑念が走ることがままありますが(申し訳ない)、この二日間はそれがありませんでした。もともと、わりと好きだった曲だったからかも知れません。


 実は高校生の頃、一時期かなりハマっていました。その頃、世の中でもマーラーが結構流行っていたように思います。「大地の歌」なんかもCMで使われたりしてましたよね(たしかウイスキーだったような)。

 マーラーの何が気に入ったかと訊かれれば、もちろん「ガンガン鳴るところ」・・・(さすがの私も高校生の頃は多少若かった)。そして、わかりやすい「巨人」と「復活」が特にお気に入りでした。


 高校生ぐらいのガキは、自分の部屋にこもって、窓ガラスが振動するような大音量で音楽を聴きたくなる時期があります。これはきっと「習性」なんじゃないかと思います。音楽のジャンルを問いませんから。

 ということで、我が家にも隣の家から苦情が来ました。・・・仕方ないですね。でも、私はイヤホンやヘッドホンがどうしても嫌いでした。くすぐったくて集中できない。これは今もそうです。

 しかしこういう曲は大きな音で聴かないと意味がない。それで初めて、自分の意志で、コンサートを聴きに行くようになったのです。


 「復活」も、高校の帰りに詰め襟のまま、東京文化会館に行って聴きました。「俺、今日ちょっと用事あるから」と言って、いつも一緒に新宿へ出る友人達と別れて、反対回りの山手線に乗りました。酒を飲んだり麻雀をしたりする仲間はいましたが、クラシックを聴くような知り合いは学校にいませんでしたから、「上野まで復活に行ってくる」と言っても、ヘンな所に行くのだとしか思われなかったでしょう。ちなみに、読響の定期で、指揮はマゼールでした。

 その時の感動はいまだに忘れることができません・・・と書きたいのはやまやまなのですが、正直よく覚えていません。ただ言えることは、その時の東京文化の「学生席」はあまりに上の方でステージから遠すぎて、高校生が求めるような迫力を感じることはできなかったということです。自分達の方がバンダみたいな・・・悲。


 昨日、仙台からの帰り道にふと、忘れていたそんなことを思い出しました。
コメント
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