ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

読書ノート 目で見る科学1 藤田恒夫・牛木辰夫著 「細胞紳士録」 (岩波新書カラー版 2004年3月 )

2014年03月26日 | 書評
さまざまな形態と機能を持つ57の細胞の顔  第50回 -腸センサー細胞ー

発見者・研究者 :E・ソルチア(1967)
存在する組織 :胃腸
細胞の構造と機能 :食物や胃酸を検知してホルモンを生産する細胞の総称。基底顆粒細胞が腺となったもので、センサー兼分泌細胞である。胃幽門ガストリン細胞、セクレチン細胞、CCK細胞、消化液分泌細胞などがある。EC細胞は毒物を検知しセロトニンを分泌して下痢を引き起こす。察知した神経は嘔吐を催す。

(つづく)

読書ノート 目で見る科学1 藤田恒夫・牛木辰夫著 「細胞紳士録」 (岩波新書カラー版 2004年3月 )

2014年03月25日 | 書評
さまざまな形態と機能を持つ57の細胞の顔 第49回 -膵島B細胞ー

存在する組織 :膵臓ランゲルハルス島
細胞の構造と機能 :内分泌細胞集団が膵臓ランゲルハルス島に住む。A細胞はグルカゴンを分泌し、B細胞はインスリンを分泌し、D細胞はソマスタチンを分泌する。膵島は神経の支配をうけないし、下垂体から刺激ホルモンの分泌を必要としない。B細胞がインスリンを分泌しないとⅠ型糖尿病で、分泌量が少ないくらいであれば成人Ⅱ型糖尿病といわれ運動や食事療法で治る。上の図は板状の顆粒を出すB細胞の電顕写真である。B細胞はシュワン細胞に覆われている点ではニューロンと近いのだろう。発生学的には腸の上皮からできた味見細胞であるので、グルコース検知役がインスリン生産を行うようになった。

(つづく)

読書ノート 目で見る科学1 藤田恒夫・牛木辰夫著 「細胞紳士録」 (岩波新書カラー版 2004年3月 )

2014年03月24日 | 書評
さまざまな形態と機能を持つ57の細胞の顔 第48回 ー下垂体前葉細胞ー

発見者・研究者 :大黒成夫(1982)
存在する組織 :間脳の下垂体
細胞の構造と機能 :下垂体は発生学的には、口腔上皮の窪み「ラトケ嚢」に神経線維が集まったものである。下垂体前葉は内分泌生産工場である。成長ホルモン、甲状腺、副腎皮質、卵巣、乳腺に刺激ホルモンを伝達する。組織学的には間脳のニューロンに似ている。星状の突起を持つアストロサイトと共通の性質を持つ。神経細胞が分泌細胞になったという。

(つづく)

読書ノート 目で見る科学1 藤田恒夫・牛木辰夫著 「細胞紳士録」 (岩波新書カラー版 2004年3月 )

2014年03月23日 | 書評
さまざまな形態と機能を持つ57の細胞の顔 第47回 -副腎髄質細胞ー

発見者・研究者 :高峰譲吉・上中啓三(1901)
存在する組織 :副腎髄質
細胞の構造と機能 :副腎髄質にはアミン系の物質アドレナリンを生産するA細胞とノルアドレナリンを生産するNA細胞とがある。またペプチド系のホルモン「エンケファリン」を生産する。エンケファリンはアドレナリンと同時に分泌される麻酔性ペプチドである。攻撃性のアドレナリンと癒し系のエンケファリンの相乗作用で人はストレスに頑張れるのである。副腎髄質細胞は発生学的には交感神経ニューロンと仲間である。上の図にはNGF神経成長因子によってニューロンになった副腎髄質細胞を示す。

(つづく)

読書ノート 目で見る科学1 藤田恒夫・牛木辰夫著 「細胞紳士録」 (岩波新書カラー版 2004年3月 )

2014年03月22日 | 書評
さまざまな形態と機能を持つ57の細胞の顔  第46回 -神経分泌細胞ー

発見者・研究者 :W・バルクマン(1948)
存在する組織 :間脳の視床下部
細胞の構造と機能 :ニューロンが腺(分泌器官)として働く神経分泌をおこなう。視床下部の神経細胞が顆粒を生産し長い神経突起をたどって下垂体後葉に達し、下垂体がペプチドホルモンを分泌する役割である。ヴァソプッレッシン(高血圧)やオキシトシン(子宮収縮)というホルモンである。

(つづく)