転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



先日、以下のtweetに出会って、しばし楽しませて貰った。
『清水文化@Kindle版気象精霊記発売中@Fumika_Shimizu:単純だけど、よく考えられた問題だ。面積を答えられた人は思慮不足で洗脳されやすい人。と書いたから警戒するだろうけど、それでも違和感に気づかず答えが出ないだけだったら、やっぱりあなたは洗脳されやすい人。』
その問題というのが、次の通り。

『斜辺10㎝、高さ6㎝の直角三角形の面積を求めよ。』
(問題には下の図もついている。↓クリックで拡大します)
        

私は、今では人の名前など覚えられず、昨日の夕食もすぐ忘れるが、
義務教育で習ったことは案外、記憶のどこかに残っている。
おおかた忘れたようでも、ちょっとつつけば思い出せるものが多い。
十代の記憶力とは、大したものだったと思う。
学校を卒業して以来、ほぼ一度も使用したことがないであろう、
「三角形の面積の求め方」だって、50過ぎても問題なく思い出せる。
小学校でやった筈だ、底辺×高さ÷2。

更に、直角三角形には、三平方の定理というのがあったではないか。中学校で習った。
「斜辺の長さの二乗=底辺の長さの二乗+高さの二乗」
これに当てはめるなら、問題文にある、斜辺10㎝、高さ6㎝の直角三角形の底辺は8㎝だ。
ゆえに、底辺×高さ÷2で、8×6÷2=24、面積は24㎠!できた!

……と思ったのだが、図のほうをよく見ると、全然違うものが書いてある。
この図は、10×6÷2=30、面積30㎠と誤答させるためのものだろうが、
「斜辺10㎝、高さ6㎝の直角三角形」の「高さ」は、そこじゃないだろう???

スレッドを読んでみると、これはマイクロソフトの入社試験の問題なのだそうで、
図の三角形がそもそも存在不可能なものであることを証明する必要がある、と。
『顧客の要望が矛盾してるとか、そもそも科学的に不可能なのかに気づき、
かつ明確に指摘できる人材を欲してるのでしょうね。』というtweetがある。

10㎝の斜辺から相対する頂点に向かって引いた垂線が6㎝になる直角三角形、
という図形は、確かに、(普通の平面図形としては)存在しない。
そのことは、たとえばこの直角三角形の外接円を書いてみるならば、
外心が斜辺の中心にあるのだから半径5㎝の円になり、
この垂線の部分が半径より大きい6㎝になるなど、あり得ない、
ということから証明できるだろう。これも中学校で習った範囲だ。

そういうことに気がつき、丁寧に証明できる能力が試されている、らしい。
私のように、
「図が間違うてんねん。直角三角形でそこが斜辺やったら、
『高さ』いうのは、その垂線じゃなくて、こっちの辺のことやん!」
と頭ごなしに自分の考えに引っ張って行って終わる、
……のは、顧客の発想への想像力を欠き、対応としてダメなんですね(^_^;。
名称が何であれ、この直角三角形でその垂線が6㎝というのはあり得ないので、
10×6÷2として考えることはそもそも不可能なのだと、先に説明すべきなのだ。
自分の知っている「正しいこと」を一旦、脇に置いて、
相手の話の筋道を辿り、何がどういう前提になっているのかを理解する、
その上で、それのどこが矛盾したものであるかを、先方に説明できる、
というのは実に高度なことだ。

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