ジグザグ山歩き

山歩き、散歩、映画など日々、見たこと、聴いたこと、感じたことなどつれづれに。

127時間

2011-06-18 18:45:11 | 映画
府中の映画館で、「華麗なる賭け」と「127時間」と続けてみた。
「127時間」は誰一人周りにいない断崖で右腕を挟まれ、身動きができない状態から生還した実在の登山家アーロン・ラルストンの実話を基にした映画である。『スラムドッグ$ミリオネア』のダニー・ボイル監督が映画化した。山中で断崖に腕を挟まれた状態のまま、生と死のはざまで127時間を過ごした登山家を襲う絶望と希望を描いている。ジェームズ・フランコが、迫真の演技でアーロンを熱演。主人公が見せる生命力の強さに胸を打たれる。
目的地はブルー・ジョン・キャニオン。途中で、断崖で右腕を挟まれ、どうあがいても身動きができなくなってしまったアーロンは、そのうち持っていたビデオカメラで、現場の様子や家族をはじめとする親しい人々への別れのメッセージを収録する。本物の映像を見せてもらったという主演のジェームズは、「言葉では言い表せない」とコメントし、死の覚悟を受け入れた人間の映像は、よっぽど強烈だったようである。また、このカメラの存在が、アーロンと外の世界をつなぎ、彼に生きることをあきらめさせなかった、原動力ともなっていると語る。いわく「誰にも発見されず、死ぬかもしれないという本物の恐怖」と共に、1人ぼっちの絶望の状況で、人間は自分だけでは生きていけないことに思いに至っている。
アーロンはクライマーとして何でも一人で出来てしまう。それがある意味、致命傷になってしまった。つまり、行き先を誰にも告げていなかった。しかし、結果的には、アーロンを支えたのは、仲間や恋人、家族のつながりでもある。物語としては登場人物も少なく、単純ではあるはずなのだが、内容的には深みがあって、生きることへのあくなき追求が感じられ、ドラマチックである。まさしく、言葉では上手く言い表すことができないが、見応えのある映像であり、引込まれた。