オリヴィエ・ダアン監督の「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」を見た。エディット・ピアフの「愛の讃歌」「ばら色の人生」「水に流して」などの名曲は今日でも歌いつがれている。この映画は彼女の47年の迫力ある生涯を迫力のある歌とともに一気に駆け抜けて描いている。晩年が出てきたと思ったら、子ども時代が描かれたりして、時代を交錯させていて、わかりにくいところもある。監督は、「何かを思い出したときのように、考えやイメージを、ある時代から別の時代へと移動させたかった。・・・」と述べている。ピアフの恋人とのシーンで、幸福に浸る朝と恋人を飛行機事故で恋人を失った夜とを交錯もさせている。幸福に浸るシーンは夢をみていたのかとも思った。マリオン・コティヤールがこのピアフの20代ぐらいから47歳で死に至るまでを演じきっている。演技のすさまじさを感じた。歌が認められ、名声を経ていく過程と、恋人の死や本人も事故にあったりしながら、晩年は孤独を恐れ、破壊的になり、酒と薬に体を蝕まれた姿も交互に描いている。絶頂期は一瞬でジェットコースター的人生であったが、エディットピアフの人生はドラマチックであり、歌と名前は残り、引き継がれている。人生が歌と愛と情熱で燃え尽きたかのようである。凡人である私はすでにエディットピアフの生きた年を越えている。私の場合はある意味で、日々を淡々と生きて、永らえているのかもしれない。