おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

プロデューサーズ

2024-07-09 08:01:44 | 映画
「プロデューサーズ」 2005年 アメリカ 

 
監督 スーザン・ストローマン
出演 ネイサン・レイン マシュー・ブロデリック
   ユマ・サーマン  ゲイリー・ビーチ
   ウィル・フェレル ロジャー・バート

ストーリー
1959年、ニューヨーク。
かつてはブロードウェイで栄光を極めたものの今やすっかり落ち目のプロデューサー、マックス・ビアリストック。
製作費を集めるため、今日も有閑老婦人のご機嫌とりに悪戦苦闘。
そんな彼のもとに異常に神経質な小心者の会計士レオ・ブルームが訪れた。
さっそく帳簿の整理を始めた彼は、ショウが失敗したほうがプロデューサーは儲かる場合もあるという不思議なカラクリを発見する。
それを聞いたマックスは、大コケ確実のミュージカルを作り200万ドルの出資金を丸ごといただいてしまおうとレオに協力を持ちかける。
一度は拒否したレオだったが、小さい頃からの夢だったブロードウェイのプロデューサーになるチャンスと思い直し、マックスのもとへと舞い戻る。
かくしてレオとマックスは史上最低のミュージカルを作るべく、まずは史上最低の脚本選びに取り掛かると、またとない最低の脚本「春の日のヒトラー」が見つかるのだが…。


寸評
話自体は単純で、特別な盛り上がりが有るわけでも無いのに間延びしない演出はスゴイ。
導入部などはイマイチ乗り切れないのに、134分の長丁場を時間を気にすることなく引っ張っていく。
気がついてみたらエンディングロールが流れていたのだ。
これは個々の役者の奮闘以外の何者でもない。
マックス・ビアリストック役のネイサン・レインのミュージカルならではのオーバー演技に引き込まれてしまう。
ナチス信奉者を演じるウィル・フェレルやユマ・サーマンの演技はともかくとして、レオ・ブルーム役のマシュー・ブロデリックが毛布の切れ端を使って神経質な面を演じるのも、本来なら鼻についていた筈なのに、これもまた二人のやり取りの間と相まっていつの間にかその世界に溶け込んでしまっている。
これはミュージカル映画だからと暗黙の了解の下で納得させられ、いつの間にかスクリーンに引き込まれていて、そしてエンディングを迎えてしまっていた。
この力量というか、底力と言うか、裾野の広さというか、アメリカが抱えているショービジネスの懐の深さを感じてしまうのだ。

ビアリストックのパトロンであるばあさん達のダンスは印象的だったし、スウェーデン娘のウラを演じたユマ・サーマンは「キル・ビル」なんかより、ずっと可愛くってよかった。
「我が闘争」を薦め、アマゾンを紹介するのはシャレなんだろうけれど、最後の最後になって劇場ミュージカルを見終わった気分にさせてくれるサービスにニヤリとさせられてしまう。