「グレートレース」 1965年 アメリカ
監督 ブレイク・エドワーズ
出演 ナタリー・ウッド
トニー・カーティス
ジャック・レモン
ピーター・フォーク
ドロシー・プロヴァイン
キーナン・ウィン
ストーリー
20世紀初頭。ニューヨーク・パリ間の自動車大レースを思いたった男たちがいた。
対抗意識の強いレスレー とフェイトで、いつもみじめな思いをするフェイトは、こんどこそ、と悪知恵をかけて大ハリキリ。
マギ という、ある新聞の取材記者を買って出た男まさりの女性が参加者に加わった。
抜け目のないフェイトがレスリー以外の参加者を原因不明の爆発事故でフッ飛ばした。
マギは同僚のヘゼカイア とレスリーの車に同乗することになった。
レースはスタートし、一行が着いた西部のある町では、フェイトのヤリ口も悪辣になり、レスリーをリリー とその恋人との三角関係にまき込ませ、ひと思いに放火した。
その後もガソリンをなくして馬に引かせるレスリー、河を渡ろうと、水浸しになるフェイト、……
坂の多いサンフランシスコ、零下40度の猛吹雪の中で珍レースを展開しロシアに着いた。
キュスター将軍に迎えられたレスリーとフェイトとヘゼガイアは皇太子を紹介されたが、皇太子がフェイトと瓜二つなのに驚いた。
フェイトは国を乗っとろうという悪男爵のために偽皇太子にされそうになるが、マギらの助力で事件を解決し、2台の車はパリへ向かってフランスを走る。
しかし、恋仲になったレスリーとマギが痴話ゲンカを始め、ゴール寸前で仲直りしたものの、フェイトの車が追い抜いた。
ワザと勝たせたんだ、インチキだと今度はフェイトが承知しない・・・。
寸評
他愛のないドタバタ喜劇で、人情喜劇が好きな者にとってはこのドタバタは受け入れられないかもしれない。
しかし僕にとっては忘れることが出来ない映画の一つである。
それはこの映画を封切時にさる女性と見に行ったからだ。
Ⅰさんというその女性は小学校の同級生で、勉強が出来てスポーツも万能、おまけに美人と来ていたから当時の少年たちのマドンナ的存在だった。
僕も例外でなく、思えば彼女へのあこがれが初恋だったのかもしれない。
僕が引っ越したこともあって文通が始まり、その後何回かデートもしたこともあったのだがお互いの結婚を機に音信不通となってしまった。
「グレートレース」が封切られた頃はまだ交際が続いていて、今はなくなってしまったシネラマ専門館のOS劇場で見た記憶は鮮明だ。
「グレートレース」というタイトルから、カーレース映画と思っていた彼女が、「こんなに面白い映画と思っていなかった」と言ったのを思い出すが、僕も面白いと思った本作を再見するとこのドタバタ劇は僕の感性に合わない。
思い返せば、彼女が横にいたことがこの作品の価値を高めていたことが判りホロ苦い。
さて、映画は見事なドタバタ劇の連続で、古いサイレント映画を見ているような展開である。
説明などいらない馬鹿げた話の連続で、単純なストーリーと描き方で分かりやすいのはこの手の作品の特徴。
善玉のトニー・カーチスは白の衣装で車も白、敵役のジャック・レモンが黒い衣装に黒い車と明確化されている。
ヒロインのナタリー・ウッドはおおむねピンクの衣装である。
トニー・カーチスは歯がピカッと光ったり、瞳がピカッと光ったりして二枚目主人公を強調している。
ジャック・レモンは何かというと「マックス!」と助手の名を叫ぶオーバーアクションを繰り返す。
気球を落とす対空砲「マストドン」とか、レーダー装置を付けた魚雷の「死神エイト号」とか怪しげな武器でトニー・カーチスをやっつけようとするが、逆に自分が痛い目に合うというギャグが繰り返される。
その他にも空中飛行自転車「ダブル・スチール号」、特殊潜航艇「ドクロ号」、超高速ロケット「火の玉号」など訳の分からない大道具が登場する。
ジャック・レモンが乗るスーパーカー「ハンニバル8号」は、上に2.5m盛り上がる六輪車で、前方の敵を撃つ大砲を内蔵しており、後ろからは真っ黒な煙を吐き出して敵を惑わす仕掛けがある。
バカバカしい装置でバカバカしい出来事を真面目に撮っていく根性に感服してしまう。
女性人権運動が盛んになった頃の作品で、その雰囲気もチャッカリとコメディーのなかに織り交ぜている。
圧巻はカルパニア王国で繰り広げられるパイ投げシーンだ。
パイ投げもサイレント映画の定番的シーンの一つだが、ここでのパイ投げは半端でない。
何より、ヒロインのナタリー・ウッドがピンクのコルセットを見せながらパイだらけになってしまうのである。
巨大なケーキや、投げつけられるパイの数も半端な数ではなく、出演者も誰が誰だか分からなくなってしまう。
シーン撮影が終了した時に、もう一度出演者がパイ投げをやって、今度は仕返しに監督に皆でパイを投げつけたというエピソードが残っている。
ナタリー・ウッドが「The Sweetheart Tree」を歌うシーンでは、画面の下に歌詞の英語字幕が現れて、今歌っている個所が分かるようになっているが、カラオケの原型のような気もする。
監督 ブレイク・エドワーズ
出演 ナタリー・ウッド
トニー・カーティス
ジャック・レモン
ピーター・フォーク
ドロシー・プロヴァイン
キーナン・ウィン
ストーリー
20世紀初頭。ニューヨーク・パリ間の自動車大レースを思いたった男たちがいた。
対抗意識の強いレスレー とフェイトで、いつもみじめな思いをするフェイトは、こんどこそ、と悪知恵をかけて大ハリキリ。
マギ という、ある新聞の取材記者を買って出た男まさりの女性が参加者に加わった。
抜け目のないフェイトがレスリー以外の参加者を原因不明の爆発事故でフッ飛ばした。
マギは同僚のヘゼカイア とレスリーの車に同乗することになった。
レースはスタートし、一行が着いた西部のある町では、フェイトのヤリ口も悪辣になり、レスリーをリリー とその恋人との三角関係にまき込ませ、ひと思いに放火した。
その後もガソリンをなくして馬に引かせるレスリー、河を渡ろうと、水浸しになるフェイト、……
坂の多いサンフランシスコ、零下40度の猛吹雪の中で珍レースを展開しロシアに着いた。
キュスター将軍に迎えられたレスリーとフェイトとヘゼガイアは皇太子を紹介されたが、皇太子がフェイトと瓜二つなのに驚いた。
フェイトは国を乗っとろうという悪男爵のために偽皇太子にされそうになるが、マギらの助力で事件を解決し、2台の車はパリへ向かってフランスを走る。
しかし、恋仲になったレスリーとマギが痴話ゲンカを始め、ゴール寸前で仲直りしたものの、フェイトの車が追い抜いた。
ワザと勝たせたんだ、インチキだと今度はフェイトが承知しない・・・。
寸評
他愛のないドタバタ喜劇で、人情喜劇が好きな者にとってはこのドタバタは受け入れられないかもしれない。
しかし僕にとっては忘れることが出来ない映画の一つである。
それはこの映画を封切時にさる女性と見に行ったからだ。
Ⅰさんというその女性は小学校の同級生で、勉強が出来てスポーツも万能、おまけに美人と来ていたから当時の少年たちのマドンナ的存在だった。
僕も例外でなく、思えば彼女へのあこがれが初恋だったのかもしれない。
僕が引っ越したこともあって文通が始まり、その後何回かデートもしたこともあったのだがお互いの結婚を機に音信不通となってしまった。
「グレートレース」が封切られた頃はまだ交際が続いていて、今はなくなってしまったシネラマ専門館のOS劇場で見た記憶は鮮明だ。
「グレートレース」というタイトルから、カーレース映画と思っていた彼女が、「こんなに面白い映画と思っていなかった」と言ったのを思い出すが、僕も面白いと思った本作を再見するとこのドタバタ劇は僕の感性に合わない。
思い返せば、彼女が横にいたことがこの作品の価値を高めていたことが判りホロ苦い。
さて、映画は見事なドタバタ劇の連続で、古いサイレント映画を見ているような展開である。
説明などいらない馬鹿げた話の連続で、単純なストーリーと描き方で分かりやすいのはこの手の作品の特徴。
善玉のトニー・カーチスは白の衣装で車も白、敵役のジャック・レモンが黒い衣装に黒い車と明確化されている。
ヒロインのナタリー・ウッドはおおむねピンクの衣装である。
トニー・カーチスは歯がピカッと光ったり、瞳がピカッと光ったりして二枚目主人公を強調している。
ジャック・レモンは何かというと「マックス!」と助手の名を叫ぶオーバーアクションを繰り返す。
気球を落とす対空砲「マストドン」とか、レーダー装置を付けた魚雷の「死神エイト号」とか怪しげな武器でトニー・カーチスをやっつけようとするが、逆に自分が痛い目に合うというギャグが繰り返される。
その他にも空中飛行自転車「ダブル・スチール号」、特殊潜航艇「ドクロ号」、超高速ロケット「火の玉号」など訳の分からない大道具が登場する。
ジャック・レモンが乗るスーパーカー「ハンニバル8号」は、上に2.5m盛り上がる六輪車で、前方の敵を撃つ大砲を内蔵しており、後ろからは真っ黒な煙を吐き出して敵を惑わす仕掛けがある。
バカバカしい装置でバカバカしい出来事を真面目に撮っていく根性に感服してしまう。
女性人権運動が盛んになった頃の作品で、その雰囲気もチャッカリとコメディーのなかに織り交ぜている。
圧巻はカルパニア王国で繰り広げられるパイ投げシーンだ。
パイ投げもサイレント映画の定番的シーンの一つだが、ここでのパイ投げは半端でない。
何より、ヒロインのナタリー・ウッドがピンクのコルセットを見せながらパイだらけになってしまうのである。
巨大なケーキや、投げつけられるパイの数も半端な数ではなく、出演者も誰が誰だか分からなくなってしまう。
シーン撮影が終了した時に、もう一度出演者がパイ投げをやって、今度は仕返しに監督に皆でパイを投げつけたというエピソードが残っている。
ナタリー・ウッドが「The Sweetheart Tree」を歌うシーンでは、画面の下に歌詞の英語字幕が現れて、今歌っている個所が分かるようになっているが、カラオケの原型のような気もする。