自我のコントロールに挑戦しています

ゆうやは幼い頃から「あれ買って～。」「これ買って～。」と無理を言ったことがありません。
おもちゃにしても、食べ物にしても、何一つ文句を言いませんでした。

最近になってようやく、その時期がやってきたようです。

ゆうやの場合は、欲しいものをねだるというパターンではなく、「会いたいと思ったたらすぐに会いたい」というパターンです。

「お母さん、今日はお会いできるの？」
「お忙しいから今日は会えないよ。」
「じゃあ、いつになったら会えるの？」
「そうねえ～。また今度ね。」

このようなやりとりができる間はいいのですが、会いたくて会いたくてたまらなくなってくると、無理を言い出します。

「ゆうや～。朝ですよ～。」
「お母さん、今日会えるの？いつ会えるの？僕、起きないよ。」
「さあ、起きないと。学校へ行くのよ。」
「僕は、起きません！学校なんか行かない！」

会いたい人に会えないと、無理難題を言います。
ゆうやに抵抗されると、起こそうと思ってもゆうやの体を起こすことができません。
「学校行かないよ～！」
手足をバタバタ動かしてベッドの上で暴れています。
うっかり近づくと、脇腹に膝蹴りを受けます。
やれやれ～。
これは困りました。

そこで、ゆうやが会いたいと願っている方から、ゆうやにじっくり話をして頂きました。
「暴れたら会えないよ。いい子にしていたらまた会えるからね。」と。

その日からゆうやは変わりました。
「暴れたらだめだよ。お母さんに協力するんだよ。ちゃんと朝起きて、学校へ行くよ。」
自分で自分に言い聞かせています。

ゆうやは、朝、さっと起きて協力し、学校へ行く仕度をするようになりました。
「お母さん、僕、無理言ってませんか？協力できてる？」
「無理言ってないよ。協力できていますよ～。」

そうして数日過ごしているうちに、ふと見るとゆうやの目がとても澄んでいることに気づきました。
ベッドで暴れているときのゆうやの目は、少々濁っていたのです。

目は心の窓と言いますが、自分を律するうちに心が澄んできたのかもしれません。
ゆうやは目をキラキラさせて尋ねてきます。
「お母さん、ぼく頑張ってる？」

ゆうやは今、生まれて初めて自我を制することに取り組んでいます。
なんだかとても楽しそうなゆうやです。


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