猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

切ってつないで引っこぬいて。

2008年06月05日 03時03分44秒 | ガーデニング

バラの挿し芽をしている鉢から、
正体不明の芽が出たのはいつのことだったか。

 

こちら先日撮影の神代植物公園のバラ。

 

鳥が落し物をしていったのか、
うまく土の表面が見えている部分に頭を出したそれは、
思いのほかものすごい勢いで生長し.....

また、思った以上に葉や丈を伸ばしたので、
私はそれを引き抜くことによりも、
その正体が何なのかのほうに気をとられてしまい、
そのまま、『放置』という名の、消極的な栽培を続けてしまった。

 

こちら温室で見た睡蓮。
美しい。

 

やがて、それは小さな蕾をつけ、
気づけば非常に愛らしい、白い花を複数咲かせた。

私も、さすがにここまでくれば、その正体もわかるだろうと、
雑草図鑑にネットにと、思い当たる特徴と照らし合わせ、
そいつの名前を調べ始めたのだった。

.......と。

あっさり見つかったその植物の名は、『イヌホオズキ』だというのがわかり、
それは非常に一般的な雑草であることが判明した。

まあ、雑草であることは、その生長の途中で半ばわかっていたし、
私は雑草と呼ばれるそれらの花が結構好きだから、それは問題ないのだが、
さらに詳しい情報を追ってゆくと、イヌホオズキは全草に毒を持つ事がわかり.....

私は焦って「これはちゃあこに万が一のことでもあったら大変!」と、
すぐにそれを引き抜き、厳重に袋に入れ、廃棄せざるを得なくなった。

 

さて、こちらがそのイヌホオズキ。
白い可愛い花を咲かせますが、
全草にアトロピン、ソラニン、サポニンを含む毒草です。

 

なんでも、イヌホオズキは秋に小さな実をつけるのだそうだが、
鳥はそれが毒を持っているのを知っているので決して一度にたくさんは食べず、
それゆえ、こうして遠い場所まで確実にタネが届くらしいのだ。

なるほど......
いつのときにも、植物はしたたかで賢い。

自分の毒への耐性が、どれほどのものか知っている鳥も。

それに、そういえば毒というのは、うんと薄めれば薬になるものが多いし、
実際このイヌホオズキにも含まれている毒、『アトロピン』だって、
多く医療に用いられているという。

 

こちら再び神代植物公園の温室に戻って.....
これはベゴニアの一種かな?

 

アトロピンの名の由来は、ギリシャ神話に登場する、運命の糸を切る女神
『アトロポス』だというが。

そのアトロピンがときに薬となって人の命をつなぎ、
ときに鳥の腹におさまって、意外な場所に花を咲かせて、
また命をつなぐと思うと面白い。

自然も人間も、奥が深いなぁ。


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6 コメント

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治ったのね (いなひこ)
2008-06-05 09:23:40
もうお風邪のほうは、いいのですか? 無理なさらないでね。ここの所ちょっと肌寒いから 今日も変な天気です。

毒草って分かってよかったですね。この間もネットニュースで、毒をもった花だかなんだかを犬とか猫とかが、食べて死んだって書いてあった。

鳥は毒草をちょっと食べるんですね。薬にもなるって知ってるんだ。

以前 長野でトリカブトを見たけど、紫のきれいな花でした。 

きれいな花には、毒がある・・・。
綺麗じゃないけど、毒もってる女ひとり。

余談だけど、主人が公の文書に「妻」って書くのに「毒」って書いたの。
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いやァだ!! (まきまき)
2008-06-05 14:11:24
いなひこさんのご主人、それは奇をてらって!?(笑)
お役所には書き直したものを提出されたんですよね?

アトロピンって自分では意識して服用したことないけど、胃にポリープ出来た時に飲んだ薬には入ってたのかもしれない。
ドラマ『ER』でも良く「アトロピンを投与」とか言ってるしね。
現代の医学用語の語源がギリシャ神話に由来するなんて面白いなー。案外と神話などが語源の言葉って多いんだよね。

それにしても、ちゃあこちゃんに何事もなくて良かった。見た目の可愛さにそのまま放置してたりしたら、万が一ってこともあり得たかもしれないしね。

風邪、もう大丈夫?私も月曜の晩から喉が痛くて、翌日にはすっかり風邪ひきに。
すっきりしない天気が続くようだし、お互いに長引かせないようにしたいね。
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イヌホオズキは (nyaopoo)
2008-06-06 01:14:24
イヌホオズキは、映画のナイトメア・ビフォア・クリスマスに毒がある植物として出てきますよ。

≫自然も人間も、奥が深いなぁ
本当にそうですね
色々考えさせられます。
返信する
褒め言葉。 (erima)
2008-06-06 04:20:03
いなひこ様

小説や映画でも、「毒のある女」といえば『最高にいい女』を指す褒め言葉ですから、ご主人様が思わず『毒』と書いてしまったのも、きっと愛ゆえ、ですね(笑)

毒の多くは、反面よく効く薬となりますが、男性にとっての女性も同じかも(笑)

トリカブトの花、私は小学校の林間学校で見かけた記憶があるんです。
美しい花と、それが毒を持っているという話の印象の強さに、今もあの光景が忘れられません。
本当に美しい紫ですよね。

ここのところ関東では寒暖の差も激しく、本当に変な気候ですよね。
私の風邪も、なにやら悪化の一途を辿り、先ほどまで熱を出しておりましたが、病院へも早めに行き、薬を飲んでいるので、じきによくなると思います。

いなひこ様、いつも優しいお心遣いをありがとうございます。
いなひこ様もお風邪など召されませんよう、どうかお気をつけ下さい。
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今日も雨 (erima)
2008-06-06 04:38:27
まきまき様

アトロピンは点眼薬に使われてたりとか、その効用が副交感神経の興奮を押さえ、拍動促進や血圧上昇を引き起こすことから、本当に多岐に渡って医薬品に使われているようです。
医学が発展する前から人は、身近にある植物の効用をよく理解し、よくも悪くも利用してきたんだと思う。

使いようによって、『植物が毒にも薬にもなる』ということと『人間が悪にも善にもなれる』ということはよく似ていて、神話などを語源とする言葉も、その神話中に含まれた戒めや伝承をそこに反映させ、忘れないようにさせるためなのかも。
どちらにしろ、使う者によりその用途が変わる植物の扱いには注意が必要なので、まあ、ちゃあこの手の届かない場所にあったとはいえ、早めに始末できてよかった...。

ちなみに私の風邪は悪化の一途を辿り、今は鼻が詰まっているわけでもないのに、まったく嗅覚が効きません。
お互い大事にして早く治さねばね~。
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見てないなぁ。 (erima)
2008-06-06 04:48:19
nyaopoo様

『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』
そういえば私は見てませんが、大昔から毒薬として使われてきた植物は、ちょっとしたモンスターやキャラクターのように描かれることが多いので、映画やファンタジーに登場しやすいのかも。
名前の響きもおどろおどろしいものが多いし。
『ヒヨス』とか『ダツラ』(チョウセンアサガオ)とか『マンドレイク』(マンドラゴラ)とかね。
あと、このアトロピンを多く含むのでは『ベラドンナ』。
(イヌホオズキは響きもちょっとまぬけだけど・笑)

恐ろしいものにユーモラスな味付けをするというのも、人間の奥の深いところですね。
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