ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

小池都知事は安倍政権にケンカを売ったのか

2020-07-13 11:39:59 | 日記
東京のコロナ感染者数は9日が224人、10日が243人、11日が206人と、驚くべき高止まりの推移を示している。「第2波が来たのかも」と考えるのが自然な見方だが、東京都も日本政府も、そんなことにはお構いなしで、「経済を回す」ことしか眼中にない有り様である。ーーきのうの本ブログで、私はこのように書いた。書いた後で次の記事を見て、びっくりした。

この記事によれば、「菅長官、西村大臣は、政府と真逆の見解を示す小池知事を苦々しく思っている」というのである。どういうことか。

この記事は「官邸事情通」の次の言葉を紹介している。
「政府は今月10日にイベント開催制限や県をまたぐ移動についても緩和する方針です。予定通りに制限を緩和し、看板政策の国内消費喚起事業『GoToキャンペーン』を滞りなく実施していきたいと考えている。『県境またぐな』という小池知事の発言は政府の考えと逆行している。官邸周辺は『小池知事が余計なことを言っている』『騒いで足並みを乱す気か』とカンカンになっています。」
(日刊ゲンダイDIGITAL 7月8日配信《小池知事が安倍政権にケンカ売る「Go To」狙い撃ちの計算》)

つまり、政府は「県をまたぐ移動」の制限を緩和することにより、「経済を回す」方向に舵を切った。これに対して小池知事は、都外への移動の自粛を呼び掛けたが、これは政府の方針にケンカを売るようなものだというのである。

この記事を読んで、私はかなりの違和感をおぼえた。たしかに小池都知事は、他の県への不要不急の移動を控えるよう呼びかけた。都知事のこの呼びかけは、「県をまたぐ移動」の制限を緩和しようとする政府の方針には反している。だが、この呼びかけが政府の経済活性化の方針に反しているとは、私には思えないのである。

「だって、そうじゃないですか。地方の観光業者は、東京からお客さんがたくさん訪れて、たくさんおカネを落としてくれることを期待しているのですよ。東京からの観光客は、経済復興の確実な一歩になるのです。それなのに、東京都民は東京から一歩も外に出るな、なんて。この人は、東京都民が『諸悪の根源だ』などと非難を受けなければ、それで良いと考えている。地方の経済のことはちっとも考えていないのです。」こう主張する人もいることだろう。

これに対して、私は次のように言いたいのである。
「東京都民は観光地に出かけて、カネだけをばら撒くのではない。コロナウイルスも一緒にばら撒く恐れが大きいのです。どこそこの観光地がコロナウイルスに汚染されたと知れたら、その観光地はこれまで以上に客足が遠のくでしょう。それでもその観光地は経済復興が実現できると、そんなふうに期待できるのでしょうか」

私のような意見に対して、西村コロナ大臣は「感染が広がっていることについては注意をしながら進めていかなければなりません」と答えているようだが、いくら注意を払っても、そんな注意など物ともせずに広がり続けるのが、この妖怪の不気味な特性である。

事実、こんなニュースがある。
「東京都は10日、新宿シアターモリエール(新宿区)で6月30日~7月5日に上演された舞台で、出演者や観客ら少なくとも14人が新型コロナウイルスに感染したと明らかにした。都は、クラスター(感染者集団)が発生したとみている。
都によると、出演者らの感染がわかったのは、『THE★JINRO―イケメン人狼アイドルは誰だ!!―』。8日に出演者1人の感染が都に報告され、9日に3人、10日には20~50代の男女10人の感染が確認された。劇場では公演時、マスクの着用や検温などの対応をとっていたという。」
(朝日新聞DIGITAL 7月10日配信)

断っておくが、私は小池都知事の発言をべつに擁護しようとしているわけではない。他の県への不要不急の移動を控えるよう呼びかけるだけなら、これはいわば「臭いものに蓋」のやり方に等しい。今求められているのは、そういうお座なりのやり方ではなく、臭いものの「根源」を根絶する方策でなのある。コロナの発生源を「元から絶つ」には、(きのう本ブログで書いたように)「Danger ゾーン」のロックダウンが有効だと私は思うのだが、いかがだろうか。
コメント
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