ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

自民党総裁選 候補者たちによる地方遊説

2024-09-16 14:14:58 | 日記
きのうの夕刻、いつものように食卓でNHKテレビの「ニュース7」を見た。
「自民党総裁選の候補者たちによる地方遊説」、それがトップニュースだった。全員がそろって「復興」、「復興」と叫んでいる。
はじめ私は、これは能登半島震災の復興のことかと思い、この地方遊説は石川県で行われたのかと思ったが、そうではなかった。
会場はなんと福島県。候補者たちがこぞって「復興」と叫んでいたのは、あの東日本大震災の復興のことだった。

そうと判ると、候補者たちの「復興」演説に、私は強い違和感を覚えずにはいられなかった。当選が有力とされる候補者の演説は、こんな具合だった。

石破元幹事長は地震や台風など自然災害への備えをめぐり『遊びや冗談で「防災庁」をつくると言っているのではない。避難所で被災者が雑魚寝するのは先進国では日本だけだ。自分や家族が被災してどうなるかも分からない中で町の職員に復旧復興の事務をやらせることがあってはならない』と述べました。

小泉進次郎氏は『決着をさせたいと思っている1つが風評被害だ。世界に少しでも安全性をPRして、福島の食を生産する皆さんの気持ちに応えたい。処理水の影響で中国に輸出ができない問題もあるが、課題に果敢に取り組みたい』と述べました。
(NHK NEWS WEB 9月15日配信)

私が違和感を禁じ得なかったのは、候補者のだれ一人として原発問題に触れなかったからである。
言うまでもなく東日本大震災は、大地震に伴う大津波によって原発事故が引き起こされ、この事故が引き金となってもたらされた大規模な人災であり、これは東北各地に広範かつ深刻な被災を引き起こした。
大地震があったとしても、原発がなければ原発事故は起こらず、大災害も起こらなかっただろう。
元凶の原発問題に触れようとしない候補者たちの「復興」演説は、あたかも猛犬に噛まれて大怪我をした住民を相手に、「怪我が治るまで、しっかり支援します。まずはこの塗り薬を。それからこの痛み止めの飲み薬もお出ししましょう」と言い、猛犬の野放しを見過ごす「上辺だけ」の対症療法とちっとも変わらない。

これまで岸田自民党政権は、経産省の言いなりになり、原発推進路線を突っ走ってきた。次期自民党総裁をめざす後続の候補者たちは、旧来のそんな自民党のしがらみに目をつぶったまま、その古い殻をぶち壊そうとはしないのである。これでは「お役所の言いなりになり、原発推進路線を突っ走る我が自民党の従来の方針は変えません」と言っているようなものである。

きょうの朝日新聞に、こんなことが書かれていた。

岸田文雄首相の地元・広島に、総裁候補を抱える隣接県の党関係者が相次いで訪問している。お目当ては『あるじ』を失うことになる広島の党員・党友票。広島側は、首相の地元のお墨付きを錦の御旗に、支持拡大に弾みをつけるためと推測する。
(朝日新聞9月16日)

ははあ、なるほどなあ。これを読んで、私は、候補者たちの「原発問題スルー」の意味がわかった気がした。虎の尾を踏んでしまっては「広島の党員・党友票」を失いかねない。支持拡大をねらう候補者たちはそう考えて、あえて「君子危うきに近寄らず」の安全策をとったのだろう。
しかしである。危うきに近寄ろうとしない「事なかれ主義」の候補者たち、虎穴に入ろうとしない慎重居士の候補者たちが、自民党の旧弊をぶち壊せるとは思えないのだけれど・・・。

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