ささやんの週刊X曜日

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

ペンの力は

2021-09-13 11:18:35 | 日記
ペンは剣よりも強し、という言葉がある。でも、言葉って、それほど強くないのでは?と思わされる出来事があった。

一つは、テレビを見てのことである。9月11日の夜、つまり、おとといの夜、NHKスペシャル「9.11 閉ざされた真相〜遺族と国家の20年〜」を見てそう思ったのである。

この番組、内容といえば、
「20年前、アメリカの中枢に旅客機が突っ込み、2977人が犠牲となった同時多発テロ事件。その実行犯の大部分がサウジアラビア国籍だった。『この国の何者かが背後で関与していたのではないか』。疑念を抱く遺族たちは捜査に関わる情報の開示を求めてきたが、歴代の政権によって拒まれてきた。取材から見えてきたのは、経済と安全保障で深く結びつく両国の特殊な関係。国益を優先し、遺族に背を向けてきたアメリカの姿を伝える。」
(NHKの番組HPより)

ただそれだけのことである。言葉で表せばただそれだけのことに過ぎないのだが、映像が持つ迫力は圧倒的で、フレデリック・フォーサイスのスパイ小説などよりも強くグイグイと私の心に迫ってきた。映像が持つ迫真力、訴求力は言葉のそれをはるかに凌ぐのだなあ・・・私はそう思わないわけにはいかなかった。

もう一つは、体調である。おとといから胃痛が始まり、その耐えがたさに私はすっかり参ってしまった。ただ座っているだけでも辛く、一日中ベッドに横になり、スマホでアマゾンの動画を見て過ごした。

当然、キーボードに向かう気にもなれず、ブログを更新することもできなかった。ブログの更新が言葉を紡ぐ生産的な営みであるとすれば、今や私の生きがいになっているこの生産の営みは、どうしようもない身体の痛みに敗けたことになる。我ながら情けない。

最後の一つは、北の一発である。これまでにも北朝鮮は、何発もミサイルをぶっ放してきたが、そのタイミングは、いつもアベ政権が窮地に陥ったときだった。平和的な外交交渉よりも、軍事的圧力による対決を好むアベ首相のタカ派的主張を、日本国民が「うむ、やっぱりそれしかないよな」と受け入れるように仕向ける、援護射撃の効果を狙ったのだろう。

アベが退陣してから、北はしばらく鳴りをひそめていた。それが今になって久々に一発とは、なぜなのか。思うに、自民党の総裁選を意識してのことではないか。総裁選には、極右で超タカ派の高市早苗が立候補し、アベは彼女を本格的に支援している。北がミサイルをぶっ放せば、国民は久々に「北の脅威」を思い出し、軍備の必要性に思い至るだろう。

北の一発に刺激を受け、国民世論がタカ派的姿勢に傾けば、国民世論に敏感な自民党の党内世論も、一挙にタカ派的な姿勢へと傾き、高市候補も支持を拡大するに違いない、ーー北の豚魔大王はたぶんそう踏んだのだろう。いずれにしても、「ペンの力」を「剣の力」でねじ伏せようとする意図が、ここには働いている。

なんだかなあ。
コメント
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