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一人の髪の毛の長い、背の高い細身の女性が机に座り、ノートパソコンを叩いています。
彼女の名はレイカ(31)・・・とある雑誌の取材記者です。
「えー、それでは、タケルさん、夜の日本学「対決、山本七平編」・・・お願いします。今日はどんな内容について語ってくれるんですか?」
と、レイカはノートパソコンを叩きながら、赤縁のメガネを手で直し、こちらを見つめます。
「うん。そうだな・・・」
と、タケルはテキストとしている「谷沢永一著 山本七平の知恵」という本をパラパラとめくります。
この本自体は、1996年12月に出版されています。
ただし、正しい「知恵」は時代を越えると僕は考えているので、その時代性の評価も一緒に話していくことになりそうです。
「んじゃ、この内容について話すか・・・「日本の大学は刺し身のツマ」だそうだ。ま、相変わらず笑かしてくれそうだ」
と、タケルは笑顔になりながら、話し始めます。
今日の「夜の日本学」はじまり、はじまりー・・・・。
「まずは、山本七平氏の主張するところを抜書きしてみようか。それが無いとちょっと説明が出来ないからね」
と、タケルは笑うと彼の用意した紙の資料をレイカに渡す。
「えーと、これね。僕が相当意訳してるけど・・・」
と、タケルが説明すると、レイカはタケルの資料をゆっくり読み始める。
「ある時、私は日本の財界の要人とイスラエル共和国の要人とパワーランチを共にした。ランチ終了後、日本の要人達は席を立ったがその皿すべてにパセリが」
「残されていた。その風景を見たイスラエルの要人は、「日本人は宗教上の理由により、パセリを食べるのを禁じられているのか?」と自分に質問した」
「わたしは「そんな事は無い」と即座に否定したが、イスラエルの要人達は、その言葉に不服そうな態度だった。なので、私は」
「「日本ではサシミにツマがあり、ハナにはソエがある。従って、あのパセリは日本人達にツマと判断されたので残されたのだ」と説明した」
「ではツマとは何なのか?刺し身のツマは栄養学的に意味があるという人もいるが、栄養学的に必要だからツマがついているわけではない」
「これが日本人と西欧人との根本的な違いの一つなのだ。マグロのトロが美味しいなら、それを純粋な形で(つまり切り身を銀の皿にでも載せて)供すればいい」
「他のモノがあってはかえってその真の味が味わえないとするのがユダヤ人の考えだ。文学でも思想でも同じだが日本では外来の思想や文学が紹介される時」
「必ず紹介者によってツマがつけられている。ツマは食べられずにゴミ箱へ直行してもいいのであるが、不必要なモノではない」
「ということは外来の思想を巧みに身にまとうとなれば、思想の方を主体と見れば身にまとった人間はツマとなるのだから、こうしない限り日本人が外来の思想を」
「身にまとえないのであれば、本質的に無視されても、これまた必要な存在である。こう考えてくると日本の社会にはすべてツマがある」
「お嬢さんが大学の英文科に行って教養を身につける、というのもお嫁入りの為のツマであろうから、教えられた事が役に立つとか立たないとかは始めから論外のはずだ」
「だから、ツマを自慢すれば鼻をつままれるのも当然だ。だがツマは不必要とは言えない。大学自体が人にツマをつけることによって、自らが社会のツマになっていくのも」
「不思議ではない。とすれば駅弁のツマに大学があってもよい。だからと言って大学が軽視されてもよいとは少なくとも日本では言えない」
「ではツマとは何か?難しい定義だが「食欲の触発物」と言えるだろう」
「随分長く意訳しちゃったけど、どうも文章を書きながら、この作者は自分の文章に酔ってるようなところがありますね」
と、タケルは説明する。
「もう少し簡潔に書けるような内容だけど、要は刺し身のツマの発想を大学の存在意義につなげた自分に酔ってる・・・そういう感じがしますね」
と、レイカも言葉にする。
「それに全体的に何を言いたいのか、絞りきれていない感じですね。論点がボケてる」
と、レイカは感想を述べている。
「まあ、女性が大学に行って英文学を勉強することは、嫁入りのツマだ・・・この内容に気づいた山本七平がその自分のすごさに酔いながらデッチ上げた文章って感じかな」
と、タケルは涼しい顔して話している。
「まあ、まず、この文章を初っ端から否定するけど、日本人はどこまでも血の性能を重要視する、ということなんだよね。大学は結婚のツマなんかじゃ絶対にない」
と、タケルは言葉にします。
「女性が大学に進み英文学を勉強するのは、自分の血の可能性を試しているに過ぎないんだ。というか、自分の輝ける経歴を作り、その後のキャリアを輝かせるためだよ」
と、タケルは言葉にします。
「まあ、もちろん、この山本七平の書いた文章の時代と今はだいぶ時代が違うが・・・それでも、女性はその血の経歴を輝かせる為に大学に行っていたはずだ」
と、タケルは言葉にします。
「たとえ、卒業して後、家事手伝いをしながら、結婚を夢見ていたとしても、大学を卒業したという経歴が、その彼女の血の履歴書になったはずだ」
と、タケルは言葉にします。
「レイカちゃん。お見合いセッティングのプロが一番大事にしていることは、何か知っているかな?」
と、タケルがレイカに質問します。
「さあ・・・なんでしょう?」
と、レイカはチンプンカンプン。
「自分が今まで何人のお見合いをまとめたか・・・その血の輝かしい経歴を守ることだよ・・・まあ、言わば血の信頼性だな」
と、タケルは笑顔で言葉にします。
「100回のお見合いをセッティングして、100組の結婚ペアを作ったプロが最も信頼されるだろ?1組の結婚ペアしかまとめられなかったプロよりは」
と、タケルは言葉にします。
「ま、日本人はどこまでも、自分の仕事への信頼を求めるということだよ。それが日本人にとって、最も大事な価値だからね」
と、タケルは言葉にします。
「まあ、それに、お見合いセッティングのプロは、何を見るかと言えば・・・女性と男性の血の経歴のバランスが取れること・・・そこが最も大事なんだ」
と、タケルは言葉にします。
「まあ、だから、家のバランスなんかも大事だよね。貴族は貴族とお見合いするし、一般庶民の場合、大学卒なら、同じように優秀な大学卒の女性が紹介されることになる」
と、タケルは言葉にします。
「つまり、血の優秀さが同じであれば、結婚が出来る・・・そういう社会であるのが、この日本であるからこそ、自分の血の優秀さをプレゼンするために女性は大学へ行く」
と、タケルは言葉にします。
「まあ、理系の大学であれば、少しでも条件面のいい就職が出来るためであるから、それこそ、大学に進むのは自分の華やかなキャリアをつくり上げる為の努力の結果であり」
「それを刺し身のツマなんて言われたら、その女性は激怒するよね、普通・・・まあ、相変わらず上から目線で女性を見下す「俺偉い病」の「知識者」のドヤ顔満載だね」
と、タケルは言葉にします。
「ほんと・・・それを考えると「知識者」って、女性の敵ですね。まったく」
と、レイカも怒っています。
「まあ、女性の結婚についての話はそれくらいにして・・・日本人論としては「ユダヤ人は本物なら本物そのものだけで勝負するが、日本人は生け花であれば、添え花を」」
「「添えることで、お互いを強調する方法を使う。刺し身にはツマをつけることによって、生臭い匂いを消したり、見た目を美しくして食欲を増進させたり」」
「「ワサビのように抗菌作用を効かせたり、様々な創意工夫によって、食事をするお客を楽しませる「おもてなしの心」に行き着いているのが日本料理」」
「ということを指摘したいね」
と、タケルは言う。
「山本七平氏は、刺し身にツマを加えることを「難しい定義だが「食欲の触発物」と言えるだろう」としか書いていない。明らかに浅いモノの見方だ」
と、タケルは言う。
「日本料理は食べる側の気持ちまで意識した、食のエンターテイメントだよ。そこまで各種の「知恵」が昇華されている」
と、タケルは指摘する。
「それに比べてユダヤ人の食の供し方は素材をそのまま置くだけなのであれば、原始時代のままだ。何の創意工夫もない。そこに「知恵」が存在しない」
と、タケルは指摘する。
「であれば・・・たくさんの知恵によって、創意工夫をし、食のエンターテイメントまで高めている日本料理と、何の知恵もなく素材をそのまま供するユダヤ料理・・・」
「まあ、僕が言えるのは、日本人で良かったってことですかね」
と、タケルは言葉にする。
「例えば、「外来の思想なり文学も日本人が紹介する時にツマとなる」的な指摘もあるけど、要は「換骨奪胎」してるってことでしょ?日本人がわかりやすい様に」
「解説するのは、当たり前じゃないかな。それをツマと言うのは、いささか強引だし「換骨奪胎」であることを指摘する方がより本質の議論に近いと思うけどね」
と、タケルは言葉にする。
「これ、要は女性が大学に行くのは結婚のツマだ・・・ということに気づきそれを記事にしたかった山本七平がやや強引に具体例をデッチ上げた記事って感じですね」
と、レイカが言葉にする。
「そういうことだね。大学が駅弁のツマだとか・・・無理があるにも程があるよ。だいたい刺し身にツマがあるのは、必要性があるからで、それすら理解していないからね」
と、タケルも言葉にする。
「ま、駄文だ、これは・・・アホなおっさんの寝言レベル・・・そう言い切れるね、ほんとに」
と、タケルは言葉にする。
「そういえば・・・この文章にも日本最強の評論家、谷沢永一さんの解説がついてるのでは?」
と、レイカ。
「それも読んでみる?ひどいもんだよ、これも・・・」
と、タケルは言葉にしてから、紙の資料をレイカに渡す。
「ここでペンタザンの最も痛烈なのは日本の大学は全部刺し身のツマであるということでこれは名言である。私は大学教員を35年もやってきたが全く同感である」
「お嬢さんがいいお嫁さんになることがいいことで、それが英文科でコンラッドをやっていい卒業論文を書いて、先生が褒めてくれたと言ったら嫌味の極みになる」
「日本人の場合、結果として、その人間が優秀であったらしいということが伝聞で伝わることは妨げないが、それを本人が鼻にかけた瞬間にこれほど嫌らしいものはない」
「その点日本人は偉い。つまり、大学を信用していないのである。大学で受けた教養はツマであって、刺し身そのものである、その人間本体は別にあるのだ」
「という考え方であるから、これは教育万能思想を実は日本人は持っていないという証明であろう」
レイカはその資料を読み終わると静かにタケルを見る。
「この人はチラッチラッと自分を偉ぶりますよね?要は、大学教員を35年もやっている自分は偉いと言いたいんでしょう、この人」
と、レイカはその赤縁のメガネを直しながら、ため息をつく。
「だいたいこの文章も奢りそのものの文章だろ?日本人は偉いとか言っちゃってさー。大学を信用していないなんて、当たり前だろー」
と、タケルは言葉にする。
「要はこのアホなおっさんは、「大学の教員を35年やってる俺に向かって、大学を信用していないとは偉い度胸だ。おう、やるか?」って言ってるわけよ」
と、タケルは言葉にする。
「そういう文章でしょ、これ。でも、日本人は誰も大学なんて信用していない。だいたいこのおっさん、大学には理系の大学もあるんだという基本的な知恵さえ、ないらしい」
と、タケルは言葉にする。
「まず、日本人の普通の感覚なら、大学は「社会に出る以前の人間の場所だ」という考えになるはずだよ。そうじゃなあい?」
と、タケルはレイカに聞く。
「そうですね。社会に出て仕事が出来るようになって、初めて日本人は一人前になりますからね」
と、レイカ。
「でしょ?まず、それがわかっていない。このアホなおっさんは・・・あと、教育万能思想なんて、戦後の欧州で言われた言葉だけど、そんなのあり得ないでしょ?」
と、タケルは言葉にする。
「人は社会に出てもまれて初めて一角の人物になっていくんだから、まず、社会に出れないと意味がないと日本人は思っているもの・・・教育は万能ではない」
と、タケル。
「だいたい、卒論なんて、まあ、社会に出るパスポート程度のモノだから、そんなのへっぽこでも全然いいわけよ。大切なのは社会に出ていい許可が出ることなんだから」
と、タケル。
「だから、卒論がよく書けて教授に褒められたとしても、そんなの鼻にかける程のモノでもない。だから、誰も鼻にかけないんだよ。それすらわかってないからな・・・」
と、タケル。
「もうすべて全否定出来るよ・・・大学なんて、社会に出る為のパスポートをくれる場所に過ぎないよ」
と、タケル。
「まあ、もっとも僕は僕の大学に行けた事は感謝してるし、へっぽこな僕にゼロからコンピューターの知識を教えこんでくれたし、僕も死ぬほど勉強させられた」
と、タケル。
「マスターまで行って研究生活を3年も経験出来たことは、今の生活に直結しているからね。ありがたいことだったと今でも感謝してる。それは本当だ」
と、タケル。
「だから、大学へ行っていてそれは人生の為になってるよ・・・ま、僕の場合、理系の大学だ、ということが大きいとは思うけどね」
と、タケルは言葉にした。
「まあ、いずれにしろ、こんなアホなおっさんが教鞭を取ってるんだから、日本の文系大学は質が低いんだよ。もう、「知識者」の「俺偉い病」臭ぷんぷんだもの」
と、タケル。
「わたしも、このお爺さん嫌いですね。いっつも自分を誇るだけで、なにひとつ偉くないどころか、解説もデタラメばかり、勘違い野郎ですよ。女性の敵です」
と、レイカは言葉にした。
「しかし、まあ・・・どうして「知識者」って、こんなにアホなんだろうねー。軽く言い負かせちゃうじゃーん。っていうか、何もわかっていないよ、こいつら」
と、タケルは言う。
「ま、こんな感じで、今後もやっていこう。言ったろ、全勝で勝つって」
と、タケルは笑う。
「まあ、とにかく、頭の悪い、ださいオヤジは見たものの事しかしゃべれないけど、「知恵者」は現象の元になった「原因」をしっかりと説明出来るのさ」
と、タケルは笑った。
「さ、飲みにでも行こうや、レイカちゃん」
と、机の上を片付けだすタケルでした。
(おしまい)
という感じになりました。
山本七平氏も谷沢永一氏も、何もわかっていませんね。
これが日本学の祖?最強の評論家?
笑っちゃいますねー。
やはり、「知識者」は頭が悪くて、だっさいよねー。
それが結論です。
ではでは。