昨日、庭の隅に動物の糞?と思われる塊が目に入り、一瞬クマ?を想像しましたが、よく見ると筒状の固まりのコケのようです。
家人に話すと、「パイプを使おうとしたら、中が詰まっていたのでパイプの中のものを突っついて押し出したもの」とのこと、目を凝らすと、アルマンモモアカアナバチがパイプの中に作った育室でした。
コケの塊を板の上に移動し、広げてみると繭に包まれた蛹の姿がありました。しかし突っつかれた衝撃で繭が破けたのでしょうか。そこから蛹の体の一部が見えていました。
繭から、体を引き出してみると、明らかに越冬中の蛹でした。
入口と出口をふさいでいた、コケの塊は硬くしっかりしていて、育室はしっとりと、湿度も温度も保たれている構造です。コケの量も半端ではなく、クマの糞と見まごうほどのコケを集めて作った労力と技に驚かされます。
コケの中には、食べ残した寄生昆虫の足や羽などが混じっていて、アルマンモモアカアナバチがキリギリス類に産卵し、卵から孵った幼虫が寄生昆虫を餌に成長し、蛹になったと思われます。
9月12日のブログで紹介しました”アルマンモモアカアナバチの不思議な行動”の謎が解明できそうです。
http://blog.goo.ne.jp/yukitixyann/d/20130912
私が、アルマンモモアカアナバチの蛹と思っていたものは、実はヤドリバエの蛹であって、アナバチは、ヤドリバエにすでに寄生された昆虫を捕まえてきてしまったことに気づき、巣の中で孵ったヤドリバエの蛹を掻き出している様子ではないかと推測しました。
ウジ虫の形に似た小さな蛹であることや数の多さ、そして今回であった本物のアルマンモモアナバチの繭に包まれた蛹からも、アナバチの不思議な行動を裏付けられるような気がします。あくまでも推測の域を出ない素人の考えですが・・。
それにしても、ヤドリバエはどのようにして寄生昆虫に卵を産んだのでしょう?
ヤドリバエの成虫が産んだ卵を寄生昆虫が食べ、その寄生昆虫をアルマンアナバチが巣穴に運び、その中で孵化したヤドリバエが蛹になったのでは・・・?。必死にコケを掻き出していたアルマンモモアカアナバチの姿が目に浮かびます。
ヤドリバエは、バッタ類に直接産卵し、孵化した幼虫がバッタ類の体内に侵入して成長し、成熟して体外に出て蛹化したものでしょう。
ヤドリバエのほか、ヒメバチ類、コマユバチ類など内部寄生性の昆虫の幼虫は、自分が成熟するまでは決して宿主を殺さないという性質を持っています。
松類の害虫調査で観察しましたが、成熟した幼虫が、「生きている」宿主の表皮を破って続々と出てくる様子は、エイリアンの映画さながらに凄まじい光景ですよ。ぺちゃんこになった宿主が4、5日は生きているのも・・・・。これも自然ですね。
アルマンモモアカアナバチは、寄生昆虫に産卵し、産みっぱなしではなくその後も順調に成長することを見守り続けていたことになりますね。
懸命に育室作りに励んでいたアナバチの姿と、ヤドリバエに犯され危険を排除しようと、必死になってコケを掻き出していたアナバチの姿を目にし、感動しました。
”内部寄生性の昆虫の幼虫は、自分が成熟するまでは決して宿主を殺さないという性質を持っています。” ”幼虫が、生きている宿主の表皮を破って続々と出てくる様子は、エイリアンの映画さながら・・”
寄生昆虫の神秘性や残虐性など、自然界の営みは奥深いですね。