裏庭にやってきたカワラヒワの中の群れに、一羽だけ違う色をした鳥が混じっていることに気づきました。
アトリ(アトリ科)です。
翼は褐色と黒色が混じり、 胸から脇にかけては赤褐色、腹部は白色で雪の白さにひときわ目だっていました。
アトリは、カワラヒワの一群と自分が違うことを意識しているかのように、周りに気づかいながら行動しているようです。
正面上から見た顔は、頭巾をかぶったようなユーモラスな表情です。冬羽は頭と背の黒が薄くこげ茶色になるそうですが、まだ夏鳥のような濃い色合いです。
カワラヒワと一緒になって、雪に顔をうずめて草の実を探していました。
大群で渡ってくる冬鳥のアトリは、古くには、ツグミと並んでカスミ網でとらえられ、食用鳥として焼き鳥などで食べられていた時期があったそうです。
越冬のためにはるばる海を渡ってきたアトリが、同じアトリ科の仲間と行動をともにしながら、雪原で草の実を探し出し、厳しい冬を乗り越えて生きようとする姿に声援をおくりたいと思います。
「キリリリ キリキリ コロロ」と冬空に響く高い鳴き声に目をやると、カワラヒワの群れが裏庭にやってきました。雪解けポケットに顔を出した草の実を食べに来たようです。
カワラヒワ(アトリ科)
地味な色合いの鳥ですが、翼を広げると黄色の斑が目立ち、くちばしは太くピンク色をしています。
雪をかき分け、雑草の種を探し当てては、ついばんでいます。
枯草の中では保護色になり草に融けあって見分けが付きにくい体色です。
木の枝に止まったカワラヒワ
胸から腹にかけては、黄色味のある褐色、下腹部の一部と尾の一部は黄色で尾の形はエビの尻尾のようです。これは雌のカワラヒワですが、正面からの表情は少しきつい顔に見えますね。
昨夏、ソバの種を撒いた後に、何処からともなくカワラヒワが数十羽の群れでやってきてそばの種を食べ、秋には、いち早く実ったもち稲に大群でやってきて、お米を食べていたカワラヒワ、農家にとっては何と厄介な鳥だろうと思いましたが、凍てつく冬に、体一つで飢えと寒さに立ち向かって生きている姿は、愛おしく思います。
昨日は、午前9時ごろから雪が降りはじめ、昼近くには一面が銀世界、柿の木の梢には数羽のカシラダカが留まっていました。
カシラダカ(ホオジロ科)
頭の冠羽が立っているのが名前の由来。
胸は白く、胸の脇腹には茶色の縦斑があり、頭と頬は黒みがかっています。
正面の顔は、眉斑と顎線が目立ち、ひげを生やしたおじさんの顔のようですね。
雪が降りしきる中、柿の木に留まっていたカシラダカは、見る間に数羽から数十羽に増え、しばらくして群れを成して飛んでいきました。
柿の梢で冷たい雪をまともに受けながら、太くて低い声でチッと鳴くだけで、ジッとしているカシラダカに不思議を感じていましたら、はぐれ仲間を待っていたようです。集団行動は、厳しい冬を、乗り切るための生きる知恵なのでしょうか。
ヤマガラ(シジュウカラ科)
凍てつく朝、「ツィツィ ニーニー」と鳴きながら庭先のビャクシンの木にシジュウカラのつがいがやってきました。頭と喉は黒く、背と腹はレンガ色で翼は青灰色,中々おしゃれな野鳥です。
逆さになってビャクシンの種をついばんでいます。柿の実などの果実よりも、堅果の木の実が好きなようで、このところよく食餌に来ていました。
くちばしにビャクシンの種子を挟み、隣接しているイチイの木に飛び移りました。
イチイの木では「コッコッコッ」とキツツキが枯れ枝をつついているような音がし、キツツキ類も来ているのかと見渡しても、ヤマガラ以外は姿が見えません。ヤマガラには、木の実を樹皮のすき間などに隠して貯蔵する習性があり、ビャクシンの実をイチイの木に保存していたようです。
このヤマガラは、脳震とうをおこすのではと心配するほど盛んに頭を振りながら枝を突ついていました。昆虫をとっていたのでしょうか?
ひとしきり木の実を食べた後、切り株で一休止、パートナーを気遣っているようです。
ヤマガラのお腹も満たされたようで、ビャクシンの木の窪みにすっぽりと入ってしばしくつろいでいます。
その後、ビャクシンの木から飛び立ったヤマガラは、一旦数メートル離れたカエデの木の枝に止まって、「ごちそうさまでした」と深く頭を下げて林の中に去っていきました。
”親しい仲にも礼儀あり”とでもいうように、人なつっこいヤマガラのしぐさにより一層の親しみを覚えました。