息子の友人の久保井氏が、大小迫川の本流の綾里川から、イワナやヤマメ、ヨシノボリの仲間の淡水魚を釣ってきて、大小迫川に放流してくれました。かつて、大小迫川にもサケやウナギが遡上してきたそうですが、綾里川の護岸工事や大小迫川の堰堤・護岸工事などで、魚の遡上や生育ができなくなり、川魚のいない川となっていました。
10年前に、本流の綾里川に高さ50mのダムが建設され、ますます川魚が生育しにくい環境になっていたと思っていましたが、ダム下流(といっても、上流域)の水溜り場に、こんなに多くのイワナやヤマメが生息しているのに驚き、この川魚たちを、ぜひ大小迫川にも生き返らせ、この清流を、生き物で賑わう川にしたいという、かつてからの私の思いに、久保井さんが応えてくれたものです。
昨冬、里山の川沿いの整備により、中流域が明るくなり、サワガニやヤゴ、カワゲラやトビケラなどの水生昆虫が再生しつつありました。
さっそく、清流の水溜り場に久保井さんが、イワナとヤマメを静かに放流してくれました。
放流した翌日、魚たちの様子を見に行って水溜り場を覗くと、イワナが元気に泳いでいます。
針を呑み込んでしまった魚や腹を上にして弱っている魚は、残念ながら生きていけないので、小川の傍らで調理することにしました。久保井さんは、丁寧にはらわたをだし、清流の水で洗ってくれました。夕食にから揚げにして頭ごと頂き、天然イワナのおいしさを味わいました。
魚たちは2か所に分けて放流し、もう一箇所の堰堤下の苔むした倒木の陰にはヤマメが元気に泳いでいました。ヨシノボリは、岩陰や砂地に潜っているのか、姿を見せませんでしたが、倒木をゆすると、一瞬砂煙と共に姿を現しましたが、すぐに隠れてしまいます。
この魚たちが定着し、次世代に引き継がれていくのには、まだまだ時間がかかると思いますが、数年後の大小迫川では、魚と戯れる子どもたちの歓声が響き渡ることを願っています。そしてひそかにつむぎの家の来客に、イワナの塩焼きを振る舞える日を夢見ています。