ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

今の日本でこれくらいのことができないか

2014-09-05 07:51:54 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「改善点」8月31日
 『日本のエジソン育てたい』という見出しの記事が掲載されました。『突出した才能持ちながら学校になじめない子供支援』を目的とした『異才発掘プロジェクト』について報じる記事です。『全国から約10人を公募で選び、一流の講師による授業を実施』するのだそうです。
 『日本の特別支援教育には「できる」子に配慮したものがないのが実情』という指摘はそのとおりですし、興味ある試みだと思います。ただ、現在想定されている「仕組み」については疑問です。
 まず、『原則小学3年~中学3年が対象』とされていることについてです。突出した能力をもつために学校に適応できない子供のほとんどは、小学校入学直後から適応しにくさを感じているはずだからです。それにもかかわらず、小3からとしたのでは、多くの突出児は、2年間の間につぶれてしまうことが予想されます。自信を無くし、自己評価を低下させた後に特別な場を用意しても遅いのです。
 次に、『書類と面接で選抜する』という点です。これでは、適応できない突出児を発見できません。適応できていないことについて、小中学校に在籍している子供の場合は、学校の意見をきちんと収集することが必要です。そうでないと、単にエリートを目指す子供が多数集まってきてしまうことになってしまいます。
 私が都教委に勤務しているとき、不登校生徒を対象にした高校の入試面接官を務めたことがありました。そのときは、面接でまともに受け答えできない生徒を優先して取るという方針でした。初対面の大人と会話が成り立つようなコミュニケーション能力があるのであれば、特別な配慮はいらないという発想でした。だからこそ、本当に居場所を必要としている生徒を選ぶことができたのです。しかし、それも初年度だけでした。すぐに「傾向と対策」が練り上げられてしまうからです。本プロジェクトも同じです。改善策としては、担任教員の面接を実施することが有効だと思います。
 さらに、『カリキュラムは月1、2回ずつ』という点も問題です。これでは異能を伸ばすこともできませんし、学校における不適応という突出児にとって不幸な状況を解消することもできません。突出児にとって必要なのは、自分のペースで使うことができる時間と場とアドバイザーなのです。具体的には、広い理科室や美術室・音楽室とコンピューター室、テレビ電話とネットでいつでも問い合わせることができる専門家が控えているというイメージで、週4日は本プロジェクトに参加し、学校に戻るのは週1日という形です。
 今の日本でこの程度のことができないのでしょうか。

 

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