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ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

因果関係か、相関関係か

2014-08-23 07:22:33 | Weblog

「因果関係か、相関関係か」8月19日
 『推進校 学テ好結果 総合学習で成績向上』という見出しの記事が掲載されました。1面トップです。記事によると、『積極的に総合学習で探究活動に取り組む学校ほど全国学力テストの結果が良く、学習意欲も高かった』というのです。しかし、記事を何回読み直しても、どのようにしてこうした結論が導き出されたのかが分かりませんでした。
 確かに、アンケートで「探究的な学習に取り組んでいる」と回答した子供とそうでない子供の学テの結果を比較したデータは示されています。そこでは、「取り組んでいる」に当てはまると回答した子供の方が、当てはまらないと回答した子供よりテストの結果が良いことが示されてはいます。でも、だから何だというのでしょう。私には、この結果は誰でも予想できた相関関係を証明したものとしか思えないのです。
 つまり、元々勉強がよくできる子供がいる、そうした子供が多い学校では探究活動を取り入れた学習を構想しやすい、だからその学校や教員は「総合的な学習の時間」において探究活動を取り入れた計画を立て実施する、保護者に対しても我が校では探究活動を積極的に取り入れていると広報する、子供たちも「自分たちは探究活動をしている」と自覚する、探究活動はうまくいけば学ぶ楽しさや充実感をえることができるので子供の自己肯定感は強くなる、成功体験を積み重ねることによって自信が付き意欲も高まる、意欲的に学ぶ習慣がつくので学力が向上する、という図式が存在するのです。
 一方、元々勉強ができない子供がいる、そうした子供が多い学校では探究活動は成立しにくい、だから仕方なく教員主導型の授業が多くなってしまう、子供たちは探究活動をしているという自覚はない、教員主導型の学習では達成感を味わうことは少なく学習への意欲も高まらない、従って学力も低迷してしまう、という図式が考えられます。
 または、探究活動が成立しにくい状況にもかかわらず教員や学校が教委等に迫られ探究活動を強引に導入してしまう、探究活動に必要な能力・脂質を備えていない子供たちは学習が空回りしてしまい探求が途中で挫折してしまう、挫折を繰り返した子供は自己肯定感が低下し学習への意欲も低下してしまう、その結果基礎的な知識さえ身に着けられないままの状態に陥るということもあり得ます。
 もちろん、すべて仮説ですが、私自身社会科の授業を中心に問題解決学習(探究活動と親戚のような関係にある)を追い求めてきた経験から、また教委に指導主事として勤務し「総合的な学習の時間」の定着のための指導をしてきた経験から、学校の実情に即した仮説であると考えます。分析を担当した方には、探究活動の実施と学テ結果は、因果関係なのか相関関係なのか、を明らかにしてほしいと思います。そのためには、ある時点で学テの結果がほぼ同じであった学校を数百校抽出し、その後の探究活動の実施度の推移と学テ結果の推移を比較するという作業が必要です。さほど困難ではないと思うのですが。

 

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