ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

ひどい話

2016-03-02 07:45:42 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「病巣を剔る」2月24日
 『いじめ骨折「転んだことに」』という見出しの記事が掲載されました。いじめについては、このブログで30回以上取り上げてきたので、もういいかという思いもあったのですが、このケースはあまりに多くの問題を含んでいるので取り上げることにしました。
 記事によると、『中1の男子生徒が部活動の上級生からいじめを受け、胸を骨折したのに、同僚教諭に対し「階段から転んだことにしておけ」と病院に虚偽の説明をするよう指示した』ということです。そして、『病院に付き添った同僚の副顧問は指示に従い、医師に嘘の説明をした』というのです。さらに、『校長は3年男子を同年8月の近畿大会に出場させないように指示したが、顧問は無視して出場させ、チームは優勝した。3年男子は主力選手だった』とも書かれていました。
 ひどい話です。まず、顧問教員のいじめ隠蔽行為です。顧問教員は『医師が警察に通報すると大問題になると思った。隠すつもりはなかった』と語っているそうですが、理解不能です。骨折するほどの「いじめ」は暴行傷害という犯罪です。警察には隠し、学校の中だけで処理するという発想は、それ自体犯罪行為に等しいと言わざるを得ません。そうした認識を欠いている人間が教員であってはなりません。
 また、副顧問は、顧問の奴隷なのかという疑問も浮かびます。隠蔽に加担することは、被害生徒を踏みにじる行為であり、学校教育の信用を傷つけ、自分も重い処分を受けるということについて、頭の片隅にも浮かばなかったのでしょうか。自分で考え判断し行動することができない人間が、自ら考える子供を育てることなどできるはずはありません。
 さらに、顧問は、校長の指示を無視しています。校長と自分の関係をどのように考えているのでしょうか。学校は校長を唯一の意志決定機関とする組織体です。校長に指示の反する教育活動は、それが明確に法に反する場合を除き、行えないのです。この顧問は、地方公務員法を読んだこともないのでしょうか。
 そして、顧問の行動、隠蔽指示、校長の指示無視を見ていると、この教員が校内で「特別な立場」を得ていたことが想像できます。つまり、ボスです。校長や副校長、主幹といった正式なリーダーとは異なる裏番長的な存在であったのでしょう。その背景には、部活で近畿大会優勝を勝ち取るレベルの実績を重ねてきたということへの遠慮があるはずです。こうした組織は必ず問題を起こすものです。こうした状況を放置してきた校長や教委も、この点については責任を問われるべきです。兵庫県教委は、県内の学校の風土調査を徹底しなければなりません。その際、顧問教員をここまで増長させた背景についてもメスを入れなければなりません。保護者や地域、OBなどの間に、部活の強豪校を求める余り他のことについては軽視するという雰囲気が蔓延していたはずです。部活保護者の無言の支持を感じていたからこそ、顧問は堂々と違法行為に手を染めることができたのです。
 最後に、顧問は停職6カ月の懲戒処分を受けていますが、あまりにも甘すぎる処分です。顧問教員は今後退職するでしょうが、退職金は支払われるのです。それも3000万円近い額が、市民の税金から。姫路市市民は納得しているのでしょうか。

 

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