ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

体罰をするときの「言葉」

2015-03-19 08:03:32 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「お前っ!」3月15日
 読者投稿欄に、調布市在住の精神保健福祉士勝佳澄氏の『優しく名前で呼び合おう』という表題の投書が掲載されました。その中で勝氏は、『「この野郎、ぶん殴るぞ」とは言うが、「○○さん、ぶん殴るぞ」とはおそらく言わない。言えないだろう。とすると、○○さんと呼びかけることを日常の習慣にすれば、乱暴な行動を抑止できると思う』と書かれています。
 勝氏は、この提言を介護現場に当てはめておっしゃっていますが、私は教員と子供、体罰と言葉ということについて考えてしまいました。学校においても、勝氏の指摘は有効ですが、実際の状況は、さらに厳しいものです。
 私は教委勤務中に体罰を行った教員の聞き取り、指導を担当してきました。調書を作成するための聞き取りでは、体罰発生時の状況について細かく突っ込んだ質問をします。ここでは、体罰直前の「言葉」に絞って述べてみます。
 一番多かったのは、「無言」です。何も言わずに近づいてビンタする、腕をつかんで引き寄せて叩く、又は突き飛ばすということです。怒鳴り声であっても、それはコミュニケーションの一種であるという捉え方が可能ですが、「無言」というのは、子供を人として認めていないかのような冷たさを感じてしまいます。ロボットが機械的に叩くというような異常さを感じてしまったものです。
 次に多いのが、「○○!」と名前を怒鳴るというものです。これは、体罰の対象となる子供と教員が物理的に少し距離があるケースに多いのです。怒鳴ってからツカツカと歩み寄って叩くという感じです。初めから手の届く位置にいるときには、「○○!」と「お前っ!」が半々くらいです。
 そして、複数の子供を叩くというケースでは、名前を呼ぶことはほとんどなく、「お前らは!」というような呼びかけになります。
 教委では、新しく教職に就く新卒者を対象にした研修では、「児童生徒は、呼び捨てではなく○○さんと呼ぶように」という指導をします。それは、上下関係ではなく、一人の人間として尊重するという人権尊重の考え方からなのですが、もちろん、体罰防止の面からも大切なことです。「○○さん~」という声掛けからは体罰は生まれません。徹底することは意外に難しいのですが、これほど効果的な体罰防止策もありません。

 

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