「職務と任期」4月22日
『情報監視審査会 活動手探り状態』という見出しの特集記事が掲載されました。同審査会が十分に機能していないことを指摘する内容ですが、その中に『15年の審査会発足当初から務めた委員は全て退任した。政府の情報保全諮問会議メンバーの清水勉弁護士は「短期間で入れ替わると、チェックの観点など感覚が身につかないし、知見が蓄積しない」と指摘し、委員を一定程度固定するように求めた』という記述がありました。
要するに、一つの職を一人の人物が長期間務めることのメリットを指摘する発言です。ここまで読んで、確か最近関連のある記事を目にしたという気がして、前日の新聞を引っ張り出しました。そして、21日付の朝刊に『「役員10年」に競技団体異論』という記事を発見しました。『スポーツ界で相次ぐ不祥事の再発防止に向け、国が競技団体の運営指針「ガバナンスコード」の作成に乗り出している』ことを報じる記事です。
その中に、『権力の集中が閉鎖性を生み、不祥事の温床となっているとの指摘があることから、役員の任期制限を設ける案が目玉だ』という記述がありました。つまり、こちらの記事は、一つの職に一人の人物が長期間留まることのデメリットを強調する内容なのです。職と任期について、相反する見解が示されているのです。
しかし、少し慎重に読み進めると、両者が矛盾するものではないことが分かります。えは、権力を行使する立場の職においては、「権力は腐敗する」という俚諺にあるように、長期固定を避け、権力をチェックする側のポストにおいては、十分な知見を積み重ねることができるように任期を長めに確保する、というように理解すればよいということです。
東京都の区市教委の指導室課長というポストは原則3年で交代となっています。れは、指導室課長が、教員の人事考課や異動、昇進や処分などについて大きな権力をもっているからです。これらはいずれも制度上は学校教育部長や教育長の権限なのですが、実際上は指導室課長が原案を作り、部長や教育長の承認を得るという形で、よほどのことがない限り部長や教育長が承認しないということはないのです。なぜなら、指導室課長は学校管理職や指導主事経験者で学校教育に通暁しているのに対し、部長や教育長の多くは、一般行政畑出身で、学校のことも教員のこともあまりよく知らないからです。
私も指導室長をしていたとき、教育部長から、「校長会では俺の話なんて誰も聞いていない。でも室長の話になると真剣にメモを取る。嫌になるよ」と言われたことがあります。そうした実態だからこそ、指導室課長はその職に長くとどまってはいけないのです。誰が考えたのかは分かりませんが、実によくできたシステムです。
一方で、うまく機能していないものもあります。いじめ調査第三者委員会がその最たるものです。同調査会は、権力の行使をチェックする側の組織です。教育行政経験の豊富な指導室課長以下の「専門家」に対抗するのですから、経験を積みチェックの観点の勘所をつかみ、多くの知見を有していなければなりません。しかし、こちらは、その都度任命されるという形です。これでは無駄やミスが多くなる可能性が高いのは仕方がありません。
そこで、教育行政とは一定の距離を置く、つまり文科省管轄ではない検察組織的な組織を行政内の設け、常に数十人規模の専門スタッフを抱え、全国で同時に発生したいじめ事案について、調査チームを派遣できるような体制が望まれるのです。
私は以前、このブログで近隣教委で調査チームを作るという提案をしました。これは次善の現実的な案であり、その根本にあるのは、経験豊富なスタッフによるチェックという考えです。つまり清水弁護士と同じ考え方です。
『情報監視審査会 活動手探り状態』という見出しの特集記事が掲載されました。同審査会が十分に機能していないことを指摘する内容ですが、その中に『15年の審査会発足当初から務めた委員は全て退任した。政府の情報保全諮問会議メンバーの清水勉弁護士は「短期間で入れ替わると、チェックの観点など感覚が身につかないし、知見が蓄積しない」と指摘し、委員を一定程度固定するように求めた』という記述がありました。
要するに、一つの職を一人の人物が長期間務めることのメリットを指摘する発言です。ここまで読んで、確か最近関連のある記事を目にしたという気がして、前日の新聞を引っ張り出しました。そして、21日付の朝刊に『「役員10年」に競技団体異論』という記事を発見しました。『スポーツ界で相次ぐ不祥事の再発防止に向け、国が競技団体の運営指針「ガバナンスコード」の作成に乗り出している』ことを報じる記事です。
その中に、『権力の集中が閉鎖性を生み、不祥事の温床となっているとの指摘があることから、役員の任期制限を設ける案が目玉だ』という記述がありました。つまり、こちらの記事は、一つの職に一人の人物が長期間留まることのデメリットを強調する内容なのです。職と任期について、相反する見解が示されているのです。
しかし、少し慎重に読み進めると、両者が矛盾するものではないことが分かります。えは、権力を行使する立場の職においては、「権力は腐敗する」という俚諺にあるように、長期固定を避け、権力をチェックする側のポストにおいては、十分な知見を積み重ねることができるように任期を長めに確保する、というように理解すればよいということです。
東京都の区市教委の指導室課長というポストは原則3年で交代となっています。れは、指導室課長が、教員の人事考課や異動、昇進や処分などについて大きな権力をもっているからです。これらはいずれも制度上は学校教育部長や教育長の権限なのですが、実際上は指導室課長が原案を作り、部長や教育長の承認を得るという形で、よほどのことがない限り部長や教育長が承認しないということはないのです。なぜなら、指導室課長は学校管理職や指導主事経験者で学校教育に通暁しているのに対し、部長や教育長の多くは、一般行政畑出身で、学校のことも教員のこともあまりよく知らないからです。
私も指導室長をしていたとき、教育部長から、「校長会では俺の話なんて誰も聞いていない。でも室長の話になると真剣にメモを取る。嫌になるよ」と言われたことがあります。そうした実態だからこそ、指導室課長はその職に長くとどまってはいけないのです。誰が考えたのかは分かりませんが、実によくできたシステムです。
一方で、うまく機能していないものもあります。いじめ調査第三者委員会がその最たるものです。同調査会は、権力の行使をチェックする側の組織です。教育行政経験の豊富な指導室課長以下の「専門家」に対抗するのですから、経験を積みチェックの観点の勘所をつかみ、多くの知見を有していなければなりません。しかし、こちらは、その都度任命されるという形です。これでは無駄やミスが多くなる可能性が高いのは仕方がありません。
そこで、教育行政とは一定の距離を置く、つまり文科省管轄ではない検察組織的な組織を行政内の設け、常に数十人規模の専門スタッフを抱え、全国で同時に発生したいじめ事案について、調査チームを派遣できるような体制が望まれるのです。
私は以前、このブログで近隣教委で調査チームを作るという提案をしました。これは次善の現実的な案であり、その根本にあるのは、経験豊富なスタッフによるチェックという考えです。つまり清水弁護士と同じ考え方です。
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