ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

異端を貫け

2018-12-12 07:37:35 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「異端を貫いて」12月3日
 『PTA「異分子」な父親たち』という見出しの特集記事が掲載されました。PTAに参加する「イクメン」たちが直面する課題や悩みを紹介する記事です。記事には、『効率を求めすぎない、正論を押し通そうとしない、まずは相手の意見に同意してから話をする、男性中心の企業社会の常識が通用しない』という極意が述べられ、『PTAでは「新入社員」ということをまずは認識すべき』とも書かれていました。
 確かに、順応し、母親たちに好かれ、日々の活動を円滑に行うためにはその方が賢明でしょう。しかし、それでは何かと問題点が多い現在のPTAが、旧態依然のまま続いていくだけです。私は、PTA活動に違和感を感じる父親たちが、その違和感を飲み込んでしまわずに、軋轢を恐れずに大いに波風を起こしてもらいたいと考えています。
 企業には定款があります。企業の目的と活動が示され企業の憲法であり、原点です。何か問題が起こったときには、この原点に立ち返り、判断の基盤とするのです。今、PTAに最も欠けているのは、PTAという存在と活動の原点についての理解不足なのです。PTAは社会教育団体です。学校の教育活動の補助や下請け機関ではありません。学校とは全く別の独立した組織であり、多くのPTAで役員でも会員でもない校長の指示や影響を受けることなどあり得ないのです。また、社会教育団体なのですから、会員たちに対してある種の「教育」を行うことが活動の中心になるべきでもあります。
 こうした、定款的なものに基づいて考えることは、企業社会では常識です。だからこそ、父親たちには、PTAの常識と慣例に対する異端者として、異議申し立てと新しい提案をする存在となれるはずなのです。効率的な運営は大事ですが、所詮枝葉末節にすぎません。もっと根本からの改革を進める力となってほしいのです。
 まずは、学校の下請けとお手伝を軽減し、会員たちの学習をメインに据えた活動計画を立てるべきです。それこそ社会教育団体の役割なのですから。学習テーマは、学校教育改革における諸政策の背景と狙い、及び副作用といったところが適当でしょう。学校理事会制度、学校選択制、学校チケット制度、小中(中高)一貫校といった制度にかかわる事項、プログラミング教育、道徳教科化、小学校における英語教育などの学習内容にかかわる事項、部活や時間外労働など教員にかかわる事項、学ぶべきことはたくさんあります。保護者がこうした問題について知見を深め、必要な要望や提言を行えるようになれば、学校教育を巡る議論はその厚みを増すことになります。
 父親パワーに期待大です。

 

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