わくわく活動日記

山本ゆきこ~子どもこそ未来

ミシンを踏む母

2013-01-27 16:24:15 | 教育
 今年の正月、録画してあった「三丁目の夕日」「続・三丁目の夕日」を見て思わず涙してしまいました。時代設定が昭和33年頃ということで、昭和30年代に子ども時代を送った私としては、ノスタルジアを感じながら見入ってしまいました。その中で、薬師丸ひろ子扮するお母さんがミシンで洋服を仕立てる場面がありました。

 そういえば、私の母も農作業や家事をする以外はいつもミシンを踏んでいたなあと思い出しました。母は洋裁学校に通い、洋裁店に勤めていた経験があります。家族で青柏祭のために七尾の町へ出かけるときは、徹夜で古着をリフォームして私たち兄弟3人分の子ども服を用意してくれました。(写真:昭和41年)私が大学生になったときは、母に教えてもらって型紙からワンピースやスカートを作りました。

 でも、母がミシンに向かっていた大半の時間は、室内履き作りの内職のためでした。母がミシンを踏み、祖父と祖母、そして納期が迫ってくると、私たち子どもも糊付けなどの作業に駆り出されました。内職は私が子どもの頃から私たち兄弟3人が大学を卒業するまで続いたでしょうか。家計を助け、子どもたちの学費のためにと寸暇を惜しんでミシンに向かっていたようでした。

 わが国において、ようやく月1万円の高校授業料無償化は実現しましたが、高校生・大学生の奨学金は大半が返済を条件としています。卒業しても正規の職に就くことが難しく、奨学金の返済に困難をきたしているケースが増加しつつあります。
 OECD加盟国の半数は大学の学費が無料なのに対し、日本の高等教育に対する教育費支出の対GDP比は、加盟国の中で最低の0.5%にすぎません。昨年末の政権交代により、子育て・教育を「家庭の自己責任」へと回帰することには、何としても歯止めをかけなければなりません。

 週刊金曜日1/18号のコラムに竹信三恵子さんが次のように書いていました。
「アベノミクスは高度成長期の張りぼて 一皮むけば『お友達』への大盤振る舞い」

 …緊急対策には、「孫の教育資金を一括贈与した場合の非課税枠」もある。だが、教育は金持ちの祖父母に依存するものではない。少子化と成熟化で縮小する経済に対応するには、少ない人口でも食べていける付加価値の高い産業が必要だ。それには、低所得層の子どもたちを含め、若い世代を知的水準の高い労働力へと育て上げることが不可欠で、返済なしの奨学金を増やすなど、出身家庭の貧富にかかわりなく保障することが必要なのに、これでは格差社会は乗り切れない。
 つまり、アベノミクスの本質とは、円安と株高の張りぼて装置によって参院選までのつかの間、年配層に高度成長の夢を見させることであり、一皮むけば、景気浮揚に名を借りた「お友達」への大盤振る舞いに過ぎない。残るのは膨大な借金の山となり、社会保障や働き手への職業訓練の充実などの産業構造の転換に備えた施策は、遅れに遅れる。その次に起きるのは、そんな現実を指摘する率直な声を抑え込むための参院選後の憲法改正だ。

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