ゆいツールブログ:NPO法人ゆいツール開発工房(ラボ)

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2月のツアー参加者の感想

2018年04月10日 | 6. エコツアー参加者の声

2月のツアー、一般参加のYさんの感想です。

インドネシアは新興国と呼ばれる国の一つだという。世界最大の島嶼国家であるインドネシアの人口は日本の約2倍程だが、その平均年齢は日本のそれより遥かに若い。少子高齢化に悩む日本を初老の国に喩えるなら、インドネシアは今まさに躍進中の青年国家なのだろう。と、ここまではネットでも簡単に検索できるインドネシアに関する情報だが、実際にインドネシアという国を訪れた時は、肌で感じたインドネシアという国の活気や発展の様子に驚くばかりだった。ジャカルタ空港は開放的で観光客への配慮も行き届いており、もしかしたら羽田空港より先進的なのではないかと感じた程だし、飛行機内からみたジャカルタ市街地には高層ビル群が立ち並び街の繁栄ぶりが伺えた。

一方で、今回ツアーで訪れたロンボク島は東南アジアの新興国と聞いて多くの人が思い浮かべるような、乱雑さと長閑さが入り乱れた場所だった。空港から出ると、常夏の国らしい温く湿った空気が体に纏わりつき、何かが熟れたような臭いがした。耳慣れない言葉が飛び交う人混みの中で、裸足の子供がはしゃいでいた。私は、東南アジアの観光はこれが初めてだった。見るもの全てが新鮮で、五感を介して押し寄せる情報の波に溺れそうだった。必死に今までの経験や日本の事例と照らし合わせて情報の波の衝撃を緩和しようとしたけれど、うまくいっていたのかは未だに疑問だ。

そんなわけで、7泊8日間のインドネシア・ロンボク島スタディーツアーでは、ともかく見るもの聞くもの全てが分からない事だらけだった。ツアー主催者のゆいツールから多少の事前知識を教えて貰ってはいたものの、インドネシアという国がいまどのように発展していて、それが地方にどういった影響を与えているのかとか、一つの地域に異なるアイデンティティーや宗教を持った民族が暮らしているという事がどういうことなのかとか、そうしたインドネシアの経済状況や価値観がゴミ処理問題を含めた環境問題にどういった影響を与えているのかだとか、実際にロンボク島で過ごすと数々の疑問が湧いてきた。なのに、そうして湧きてきた疑問の数々をロンボク島で出会った人に上手く尋ねられない事に苛立ちもした。結局「ともかく分からない事が沢山あるという事」が、この8日間のツアーを通して何よりもよくわかった事だった。

ところで、これまで色々な報告者が既に報告しているように、このインドネシア・ロンボク島でのスタディーツアーは、ランタン村でのホームステイ体験から現地の方々をとても近しく感じる事ができるのがとても面白い点だと思う。そんな風に距離が近いと感じる事が出来るのは、インドネシアでの暮らしが長いかおりさんや、日本語喋れる現地ガイドのサポートのおかげで見知らぬ土地でも安心感を得られたり、ランタン村での手厚いオモテナシによって時に私たちが異国の相手に感じてしまいがちな警戒心を解いてくれたりしたからかもしれない。日本の歌を歌い日本のアニメの登場キャラクターの話をしてモテナシてくれたランタン村の皆や日本のサッカーユニフォームを着てきてくれた現地ガイドのオモテナシは、見た目も言葉も異なる異国の相手と私達との共通点を見つける事を意図も容易くしてくれた。だから、私達は殆ど努力をせず、日本のそれとは全く異なる共同体の一員に加えてもらったような感覚さえ覚える事ができ、それによって言語も宗教も異なる相手でもその本質は同じ人間だと再認識できた。そうした心遣いはとても嬉しいものだったが、事前にインドネシアについて全く調べてこなかった自分に対する恥じらいを少し感じた。

私は、言語や宗教や価値観、見た目や育ってきた環境が違う相手であろうとも同じ人間である、というのはとても正しい考え方だと思う。でも、だから同じような考えを持ち得るというのは思い込みだとも思う。喜怒哀楽の基準も善悪の基準ですら個々人によって違いがあるし、その違いは両者の距離が空間や時間的に隔たっているほど大きいかもしれない。相手と自分はどれくらい同じで、どれくらい違うのか。それが分からないという事が、恐怖心と好奇心を生む。インドネシアで出会った多くの人は、私と彼らとの違いに対して、好奇心でもって接してくれたように思う。私がインドネシアという異国に身を置いた時により強く感じたのはどちらだったのだろう。ただ、今はっきりしている事は、出会った多くの人が私達や私達日本の文化に関心を寄せていたインドネシアを、私は前よりもずっと好きになったという事だ。「好き」は、別の言葉で言い換えると「興味をもった」という事だ。何事も、知れば知るほど負の面が見えてくるものだから「素敵な旅の思い出になった」という事にして終わりにした方が良いのかもしれない。けれど、折角のスタディーツアー、この好奇心が覚めないうちにインドネシアやイスラム教について書籍でも読んで少し調べてみたいと思っている。若いエネルギーに溢れ急速に姿を変えていく新興国、日本とは全く異なるけれどもしかした昔日本にも少しあったかもしれないものがある東南の島国、そんなインドネシアについて「何も知らないという事」という事がこのスタディーツアーで得た一番の学びで、知らない事を知ってみたいという気持ちが冷めるまで私のスタディーツアーは継続中だ。

Yさんが参加したツアーの報告 ⇒ 報告①報告②報告③報告④報告⑤報告⑥報告⑦報告⑧

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