このブログは当院の患者さんも読まれているので、あまり患者さんに関することは書かないのですが、古い話ということと、面白いということと、多少でもためになるということで書くことにしました。
文中の「○○○・・・」は患者さん、「○○○・・・」は僕、そして(○○○・・・)は僕の独白です。
まずは膝を患っておられた患者さんの話です。
「先生、膝がだいぶ良くはなってきたけど、正座をすると痛いんで、正座ができんのじゃけど、できるようになるじゃろうか?」
「Aさんの膝は膝のお皿が普通に動くから、正座はできると思いますよ。ただ練習をせんにゃあいけません。まずはお風呂の湯船の中で正座ができるようにならないと、畳の上では絶対にできませんから、まずはお風呂の湯船の中で正座の練習をしてください」
「わかりました、今日から早速やってみます」
そしてAさんは翌日も治療におみえになりました。そしていきなりこのように尋ねられたのです。
「先生、湯船の中で正座をするというのは、お湯の入った湯船の中でやるんじゃろうか?」
(やべぇ、お湯の入っていない湯船の中でやっちゃったのかよ・・・(汗)!)
「そうですよ、お湯の中でやれば体が少しでも浮きますし、温まっていますから膝も曲げやすいのですよ」
「そうですか・・・。そうですよね。普通はお湯の入った湯船でやりますよね・・・」
(あ~あ、落ち込んじゃったよ。もうちょっと明るく言ってくれればいいのに・・・)
「いや、私が空の湯船の中で座っていたら、息子がやってきて、何をしよるかと言うんで、ワケを話したら、そりゃあ、お湯が入った状態でやるんじゃろうがって言うんですよ。それで私が薄暗い風呂場で空の湯船に入っちょるものじゃから、とうとうボケがきたと思うたそうです」
(そりゃそうだよな、俺が息子でもボケたと思うよなぁ、でも普通、お湯が入った状態でやるよなぁ)
「すみませんねぇ、僕の説明が悪かったですね。今日からお湯の中でやってくださいね」
「そのあと、息子が大笑いして、私のことをバカにするものだから、悔しくて、悔しくて・・・」
(そりゃあ、笑うよなぁ)
「でも、ボケていないことを息子さんがわかったんだから良かったじゃないですか・・・」
(全然、慰めになっていないなぁ)
「大体、うちの息子は物の言い方がキツいんよ。もっと言い方ってものがあると思うんじゃけど・・・」
(どうしよう、愚痴になっちゃったよ)
こんなこともあるのです。さすがに笑いたくても笑えませんでしたが、笑える話ですよね。




























続きまして、おばあちゃんが数人治療室の中で並んで座っていました。その中のおばあちゃんの一人が話し始めました。
「先生、Bさんていう人が肩が痛くてやれんから、治療に来たいと言いよるんじゃけど、電気をかけるんじゃろうか?」
「そうですね、普通はかけますがお嫌いでしたら無理にやったりはしませんよ」
「本当?、Bさんは心臓にヘルスメーターが入っちょるんよ」
(「そんな大きなものが心臓の中に入るわけねぇだろ」、っていう突っ込みをしたら話が余計にややこしくなるから放っておこう)
「心臓にヘルスメーターが入っちょる人は電気はかけられんのよね?」
(誰か、「それを言うならペースメーカーでしょ」って突っ込めよ、他のばあちゃんたちもフンフンって頷いているんじゃねえよ)
「そうですね、ペースメーカーの入っている人は電気はかけられませんから、他の治療法で治療しますよ」
「ほらね、ヘルスメーターが入ってたら電気はかけられんのよ」
(「ほらね」じゃないって、だからペースメーカーだって・・・。でもここで訂正しても絶対に話がややこしくなるから放っておこう)
こういう場合、「心臓に入れるのはヘルスメーターじゃなくてペースメーカーですよ」などと言ってしまうと、「ギャハハハッ・・・」という大笑いが巻き起こり、「私もボケた」だの、「私もヘルスメーターと思っちょった」だのと談論風発、大騒ぎになってしまい、肝心のBさんの話が遠くに飛んでしまうので、知らんふりしているほうがいいのです。