競輪の60周年に関連する記事を書いていて思ったことだが、昭和20~40年代の公営競技といえば、それこそ、ほっといても客が入り、また売れていた。加えて「公営」の名の通り、地方自治体が主催だから、売り上げはそっくりそのままその自治体の懐に入ることになり、そのカネは、国直轄では難しい公共事業に使われてきた。そして公営競技が何よりも魅力なのは、即現金を手にすることができることであった。
その当時といえば、モノが高くて買えない時代でもあった。すると、多少所得が増えても、食料品などの日用品以外のモノは高くても買えない上に、株といったって、当時は今と違って1000株単位の売買が基本だったから、こちらも、「相場師」でもない限りは手を出せない代物だった。また、パチンコも今とは違って、「健全な遊戯」の時代だった。
ところが昭和40年代に3C時代が訪れたことを契機としてモノが手軽に買えるようになり、さらに昭和50年代に入るとレジャーブームとなり、「金持ち」しかできなかったようなレジャーを誰もが楽しめるようになった。そしてパチンコは「フィーバー」の時代を迎えるわけか。
基本的に現場へ行かないことには買うことすらできない公営競技は、昭和50年代に入ると失速。平成に入ると、バブル絶頂期を除けばどん底状態で、もはや将来性はないという見方もできるわけか・・・
ところで、こんな面白い記事があった。
http://news.goo.ne.jp/article/ft/business/ft-20081120-01.html
日独中のどの国でも、カギを握るのは政府だ。財政拡大が必要になる。ただ、各国の経済には大きな違いがあるため、対策の内容も異なるはずだ。
一番難しい立場にあるのは日本かもしれない。政策金利はすでに0.3%まで引き下げられ、もはや金融政策は大した助けにならない。政府債務残高の対GDP比が約170%と、先進国中で最も高い借金大国では、財政政策にも限度がある。政府は先月、財政支出額5兆円の経済対策を発表した。正しい方向へ一歩を踏み出したといえる。ただし肝心なのは消費者への説得力、つまり、財政拡張が今後何年間も続くという確信を消費者に与えることだ。今は、消費税を引き上げたり、医療費や年金の給付を削減したりする時期ではない。
ところで、今の日本といえば、明らかに消費意欲が減退している。それは、消費税という間接税が導入されてから一層顕著なものとなってしまったが、逆にいえば、食料品などの商品を除けば、まだまだ「デフレ」状態は続いている。
つまり、いくらでもモノを買える状況ではあるんだが、日常不可欠な食料品以外のモノについては、よほど値段を下げないことには売れない状態がまだまだ続いていることだ。
以前、8月だったか、イオン大日で、ショートパンツを500円で買ったとき、店員が開口一番、
「えらく安いなぁ・・・」
といったことを書いたけど、ついこの間も、イズミヤで、カジュアルパンツが2本よりどり3000円だとか、中には1本1000円という(しかも消費税込み)、つい数年前だとおよそ考えられない値段で売っていたことから、一気に5本買ったけど、それだけ買って、なおかつすそ直ししてもらっても1万円で釣りが来る。これが10年前だったら、たとえスーパーであっても、5本も買おうものならば、4万円とか5万円とかしたものだ。
そんな状況だから、政府はモノよりもカネを動かす方針へと転換し、とりわけ株式を中心とした投資優遇税制を打ち出したが、今株価は急激な安値状態。にもかかわらず、所得が一向に増えない上に、今度は2005年頃の株式ブームに乗じて、会社をやめてまで専業となった人までいる、「投資家」にも投資マインドの減退が急激に起こっていることから、結局いまだ日本の株式市場は外国人投資家頼み。というわけで、しばらく株式ブームが来る可能性もない。
いわゆる、「トヨタショック」が各業界へと早くも飛び火し、もはや輸出依存経済では立ち行かなくなってきている今、やるべきことは何と言っても、国内消費をいかに喚起するかということだが・・・
だからといって、公明党が考えた、「定額バラマキ」ではとてもじゃないが、消費喚起には繋がるまい。ま、以前書いたが、12000円レベルならば、せいぜい公営ギャンブルで1日楽しめる程度の額。
とはいっても、今やモノが満ち溢れている時代。食料品以外は差し迫って必要ではない時代だ。にもかかわらず、アナログならば、3万~4万円程度で買えるテレビを、2011年7月25日以降はもうデジタルでなければ見れませんよ!と「脅し」をかけて、いまだン十万円もするようなデジタルテレビを強制的に買わせるようなことをしていたんでは、とてもじゃないが消費意欲など沸き立つはずがない。
となれば、消費意欲を沸き立たせるための原点とは何か?ということを考えた場合、逆に言えば、公営競技は今、絶好のチャンスだと思うんだけどねぇ。
パチンコ、パチスロは減退基調だし、宝くじやtotoは「くじ」だから、所詮は「当たらぬも八卦」。儲かるチャンスは10回に1回しかなくとも、1回あたり100円で買うことができる公営競技っていうのは、最も身近に消費喚起できるものだといえるし、戦後まもない頃といえば、消費喚起に最も貢献したのは公営競技だった。
もっといえば、これも前から言っているけど、ブックメーカー方式が日本でも導入されれば、あらゆる事象がギャンブルの対象になる。これを導入すれば、まさしく消費喚起にはもってこいなんだが、アングラマネーを横行させることに繋がったり、はたまた縦割りが続く今の官僚制度下では問題点が多すぎるから、なかなか日本では実現は困難だろうな。
とはいっても、例えば今は競輪だけだが、通常のスタイルとは別に、くじ型タイプの投票券も誕生し、そういった意味においては、敷居そのものは広くなりつつある公営競技。売り上げが増えれば地方自治体も潤うし、それが実現できれば、都市と地方の格差も多少は縮小することだろう。また医療崩壊が叫ばれる今だが、公営競技がウハウハの時代は全く逆で、逆に市民病院などがどんどん建った時代だった。
今の日本経済のどん詰まり状態は、要は公営競技の不振に直結しているということだっていえるかも。公営競技の復権こそが、国内経済建て直しに一役買うことは間違いないだろう!?
とはいっても、今はそんな時代ではないのもまた、重々承知の上での話だが。