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天皇賞(秋)2022回顧:北島三郎がイクイノックス優勝を祝福

2022-10-31 05:48:12 | 大レース回顧集
天皇賞・秋を制しGⅠ初制覇のイクイノックス=東京競馬場(撮影・塩浦孝明)














 ハラハラドキドキの一戦を制したのは3歳馬!!伝統のG1「第166回天皇賞・秋」が30日、東京競馬場で行われ、1番人気イクイノックスがパンサラッサの大逃げを捉えてG1初制覇。昨年のエフフォーリアに続く3歳馬Vで、21年ホープフルSから続いた1番人気馬の平地G1連敗を16で止めた。デビュー5戦目での古馬G1制覇はグレード制を導入した84年以降で最少キャリア。父キタサンブラックとの父子制覇も決め、父を所有した北島三郎オーナーから本紙に喜びのメッセージが届いた。
 視界が開けた直線525・9メートルの入り口。イクイノックスの馬上でルメールは絶望した。「“えっ…”ってなった。正直、間に合わないと思った」。馬群の中では確認できなかった逃げ馬パンサラッサの姿ははるか15馬身先。「パンサラッサは強い。これは届かない」。天皇賞・秋3勝の名手の頭によぎった敗戦の2文字。だがイクイノックスは諦めず、ギアをトップに入れた。

 9番手から外に出す。長い手脚が軽やかに、力強く躍動し始めた。1完歩ずつ大きくなるパンサラッサの背中。大きくなる歓声。繰り出した上がり3Fはメンバー最速の32秒7。近づく。並んだ。かわした。あまりに遠かった目標はゴールの瞬間、1馬身後方にあった。ルメールが右手を振り上げる。「坂を上ってからの脚は本当に凄かった。ダービーの時はラスト100メートルで疲れていたけど、今日はゴールまで加速し続けていた」

 体質に弱さを抱え、それは今も変わらない。慎重な調整、細心のレース選択の末、春は皐月賞、ダービー2着。あと一歩。何が足りなかったのか。悔しさを胸に夏を過ごした。時間が解決した。秋を迎え、たくましくなった相棒にルメールは目を細めた。「馬は強くなった。背が大きくなって成長した」。名手は5年前、同じ7番枠から盾を制した父の急激な成長曲線を思い出した。「キタサンブラックの子だから、この秋から来年にかけてさらに強くなる。これが最初のG1だけど最後のG1ではないよ」と笑顔で言い切った。

 木村師にとって忘れられない言葉があった。菊花賞前。ダービー3着馬アスクビクターモアで菊に挑む田村師が「ダービー組の格を落とす訳にはいかないから何が何でも勝つ」と話した。美浦に凱旋した後、田村厩舎のスタッフは木村師をこんな言葉で激励した。「天皇賞は何とかしてください」。木村師の心に熱いものが宿った。真夏日に行われた“しゃく熱ダービー”。サバイバルをくぐり抜けた上位馬はそれぞれプライドを胸に抱いていた。

 次戦はジャパンC(11月27日、東京)か有馬記念(12月25日、中山)が選択肢となる。木村師は「まずは状態をしっかり見極めてからになるが、年内でもう一戦走れるよう調整していくつもりです」。ルメールは「スタミナもパワーもあるし、2500メートルまでは大丈夫。大きなチャンスがある」と自信をのぞかせる。豪華メンバーが集った大一番で1番人気の連敗を止めたのは春無冠の3歳馬。キタサンブラック級の進撃がいよいよ始まった。

 ▼北島三郎 イクイノックス優勝おめでとうございます。G1でも天皇賞は特別な重みがあるレース。まだ3歳なのに、とても強い勝ち方で感動しました。同じ天皇賞で同じゼッケンでの父子制覇というのもうれしかったなあ。キタサンブラックが走っていた時を思い出して興奮しました。これからもケガをしないで勝ち続けてほしいと願っています。

 イクイノックス 父キタサンブラック 母シャトーブランシュ(母の父キングヘイロー)19年3月23日生まれ 美浦・木村厩舎所属 馬主・シルクレーシング 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績5戦3勝(重賞2勝目) 総獲得賞金4億324万2000円 馬名の由来は昼と夜の長さがほぼ等しくなる時。





10月30日の東京11Rで行われた「第166回天皇賞・秋」(3歳以上オープン、GI、芝2000メートル、定量、15頭立て、1着賞金=2億円)は、クリストフ・ルメール騎手の1番人気イクイノックス(牡3歳、美浦・木村哲也厩舎)が大逃げを打ったパンサラッサをゴール前とらえ優勝。昨年のエフフォーリアに続き3歳馬が制した。春クラシック連続2着の無念を晴らし、初のGⅠタイトルを獲得。グレード制が導入された1984年以降の最少記録となるデビュー5戦目でのJRA古馬GI制覇だった。昨年のホープフルSから続いていたJRA・GI1番人気馬の連敗は「16」で止まった。キタサンブラック産駒はJRA・GⅠ初制覇。タイムは1分57秒5(良)。

1馬身差の2着にはパンサラッサ(7番人気)、さらにクビ差遅れた3着にダノンベルーガ(4番人気)が入った。

◆クリストフ・ルメール騎手(1着 イクイノックス)「パンサラッサが前に行ったけれど、イクイノックスはすごくいい脚で伸びてくれました。素晴らしい馬です。(パンサラッサの大逃げは)本当に見ていなかった(笑)。直線に向いてから結構心配しました。イクイノックスの反応はとても良かったけれど、15馬身(くらいの差が)あって心配しました。イクイノックスには最初のGIですけど、最後じゃないので。改めてGIを勝てると思います。無事に帰ってきたらどこでもいけると思います。スタミナがありますので、ジャパンCや有馬記念に出たら大きなチャンスがあると思います。春はアンラッキーだったけど、きょうは本当のイクイノックスを見られました。応援ありがとうございます」

天皇賞・秋を勝ったイクイノックスは、父キタサンブラック、母シャトーブランシュ、母の父キングヘイローという血統。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬で、馬主は(有)シルクレーシング。通算成績は5戦3勝。重賞は2021年東スポ杯2歳S(GⅡ)に次いで2勝目。天皇賞・秋は、木村哲也調教師は初勝利、C・ルメール騎手は18年レイデオロ、19・20年アーモンドアイに次いで4勝目。



関連記事:2022年10/30 東京・第166回 天皇賞(秋)(GⅠ)


アンカツ(安藤勝己)






2022年10月30日(日曜) 4回東京9日発走時刻:15時40分天候晴芝良11レースウインファイヴ 5レース目第166回天皇賞(秋)GⅠ3歳以上オープン(国際)(指定)定量コース:2,000メートル(芝・左)

本賞金(万円)1着20,0002着8,0003着5,0004着3,0005着2,000
付加賞(万円)1着3152着903着45


1枠4青7イクイノックス牡356.0C.ルメール1:57.510 10 932.7488(+4)木村 哲也1
2枠2黒3パンサラッサ牡558.0吉田 豊1:57.611 1 136.8472(+2)矢作 芳人7
3枠3赤5ダノンベルーガ牡356.0川田 将雅1:57.7クビ11 11 1132.8500(+6)堀 宣行4
4枠5黄9ジャックドール牡458.0藤岡 佑介1:57.81/24 4 333.5508(-8)藤岡 健一3
5枠5黄8シャフリヤール牡458.0C.デムーロ1:58.126 5 533.6456(前計不)藤原 英昭2
6枠2黒2カラテ牡658.0菅原 明良1:58.218 7 933.4528(-4)辻野 泰之9
7枠1白1マリアエレーナ牝456.0松山 弘平1:58.2ハナ4 5 733.5426(+2)吉田 直弘6
8枠8桃14ユーバーレーベン牝456.0M.デムーロ1:58.3クビ14 13 1133.3476(-22)手塚 貴久10
9枠4青6ジオグリフ牡356.0福永 祐一1:58.3クビ6 7 733.6506(+14)木村 哲也5
10枠7橙13アブレイズ牝556.0T.マーカンド1:58.3クビ8 7 533.7494(-4)池江 泰寿13
11枠6緑10ノースブリッジ牡458.0岩田 康誠1:58.4アタマ2 3 334.0492(-2)奥村 武11
12枠8桃15カデナ牡858.0三浦 皇成1:58.4クビ15 15 1433.2478(0)中竹 和也15
13枠3赤4ポタジェ牡558.0吉田 隼人1:58.4クビ12 11 1133.4468(+2)友道 康夫8
14枠6緑11レッドガラン牡758.0横山 和生1:58.71 1/213 13 1433.4520(+6)安田 隆行14
15枠7橙12バビット牡558.0横山 典弘1:58.7アタマ2 2 234.6462(-12)浜田 多実雄12


ハロンタイム 12.6 - 10.9 - 11.2 - 11.3 - 11.4 - 11.6 - 11.8 - 11.6 - 12.4 - 12.7
上り 4F 48.5 - 3F 36.7
コーナー通過順位
2コーナー 3(10,12)(1,9)(6,8)(2,13)7,5,4-11-14-15
3コーナー 3=12-10,9(1,8)(2,6,13)7(4,5)(11,14)15
4コーナー 3=12(10,9)(8,13)(1,6)(2,7)(4,5,14)(11,15)

払戻金
単勝
7 260円 1番人気
複勝
7 130円 1番人気
3 470円 7番人気
5 220円 4番人気
枠連
2-4 1,680円 6番人気
ワイド
3-7 1,210円 12番人気
5-7 320円 3番人気
3-5 2,260円 25番人気
馬連
3-7 3,330円 12番人気
馬単
7-3 4,930円 18番人気
3連複
3-5-7 4,400円 13番人気
3連単
7-3-5 23,370円 68番人気


・7 イクイノックス・・・終始中団。直線に入ってからも、坂を上がるまではポジションが変わらなかったが、坂上から一気にスパート。逃げ切り濃厚と思われたパンサラッサをゴール直前で奇跡的に差し切った。また、今年の中央競馬GIは1番人気が連戦連敗していたが、この流れも断ち切った。

昨年の東スポ杯を勝った時点で、クラシックの最有力候補と謳われた。今年はぶっつけで皐月賞に挑み、勝利直前でジオグリフの末脚に屈し、日本ダービーではドウデュースとの競り合いに敗れともに2着。それでも、いずれはGIを獲れる逸材という評価に変化はなかった。

ところが、6月2日、左前脚の腱に大きなダメージがあった、と、シルクホースから発表があった。下手したら引退危機か、と思うほどの重大ニュースであったが、のちに杞憂と分かり、この1か月後、今回の天皇賞を目指すことをシルクホースが発表。その後は順調に調整が進められ、いよいよ本番を迎えた。

今回、仕掛けのタイミングをギリギリまで遅らせた理由は、やはり、皐月賞と日本ダービーにおける惜敗が影響していたのだと思う。それにしても、ゴーサインが出た後の瞬発力は3歳とは思えないほどのレベル。今後は同世代のドウデュースらとともに、古馬戦線を牽引していくことになるだろう。

・3 パンサラッサ・・・発馬はよくなかったが、ハナを奪うと快調に飛ばした。1000のラップを57秒4で走破するという超ハイペース。後続に10馬身以上の差をつけ、直線を向いても、坂上まではかなりの差をつけていたことから、逃げ切り濃厚と思われたが、最後はイクイノックスの豪脚に屈し、惜しい2着となった。前走の宝塚記念では、タイトルホルダーに逃がされた形となって失速したが、単騎で逃がすと、今年のドバイターフで見せたようにそのまま行ってしまう。既に、香港カップの招待状が届いており、次走はおそらくここになるのではないと思われるが、今回の調子ならばかなり期待できると思う。

・5 ダノンベルーガ・・・終始中団よりも後ろで構え、直線では内をスルスルと通り、3着に入った今回は今後に繋がる内容だった。日本ダービーでは1番人気に推された馬。待望のGI制覇も目前だろう。

・9 ジャックドール・・・大逃げを放ったパンサラッサを追う、第二先行のような形になってしまったため、ゴール直前で末が甘くなった。「普通の展開」だったら、勝ち負けレベルの競走ができたと思う。

・8 シャフリヤール・・・パンサラッサの逃げを上位着勢とともに追っかけたが、追いついたところがゴール、だった印象。
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