4月1日号の「公営ジャアナル」に平成17(2005)年度の競輪・競艇・オートレース・地方競馬の売り上げが掲載されていた。それによると。
競艇・・・9743億3809万4600円(前年比▲1.0%)
競輪・・・8774億9577万9400円(同▲4.1%)
地方競馬・・・3690億6958万200円(同▲4.4%)
オートレース・・・1131億9199万2400円(同+0.1%)
既報したオートレースだけがプラス計上。他は「やはり」マイナスだった。
ただ競艇は2年続けてほぼ10%台のマイナスであったが、05年度は「わずか」1%台のマイナスとなり、急激な業績改善が見られる。
これはナイター開催を大幅に拡大したことが要因として挙げられよう。通年ナイター開催を実現することになった蒲郡をはじめ、若松、桐生といった開催場においてもナイター開催の拡大を実現させ、とりわけ蒲郡、若松では年末年始の開催もナイターとしたことで、とりわけ在宅投票売り上げが大きく伸張した。
さらにこの7月からは、メッカ・住之江が60日間とはいえ、ついにナイター開催に踏みきる。
住之江といえば梅田・なんばといったオフィス街からも至便な地であり、サラリーマン客の流入ももちろん見込める。
というか、メッカのナイター開催実現は、競艇界の存亡をかける大きな「賭け」である。関西初のナイター開催はもとより、成功して「当たり前」という考えが業界関係者の中にあろう。もちろん、06年度は95年度以来の「プラス」に転じることを考えていることだろう。
競輪はとうとう9000億円台も割れてしまった。
G3は今もなお好調ながら、格が上なG1・G2の不振、さらに場外発売を行ってもらわないと悲惨な状況であるF1はもとより、すっかり客から「見放された格好」のF2が足を引っ張っている感じで、なにやら「記念頼み」化がますます顕著に現れている格好だが、後述する1日当たりの売り上げでは1.5%程度の落ち込みに止まっている。
地方競馬は高崎・宇都宮の廃止が尾を引いている格好でこちらも冴えないが、これまた後述する1日当たりの売り上げでは逆に「プラス」に転じている。
売り上げは下がっているとはいえ、「堅調な」数字を保つ南関東4場はもとより、経営危機が毎年叫ばれる「ばんえい競馬」は前年比プラスに転じたし、ホッカイドウ競馬もソコソコ頑張っていた。
また、「廃止」の話が上がりかけた笠松も、12月から導入された3連単賭式が人気を呼んで一気に単年度黒字転換となり、もちろん、そのまま存続へ。
一方、その他のところは相も変わらずの印象が強く、やる気の「ある」ところと「ない」ところの格差はもとより、運営する側の「客を呼ぶ発想力の違い」もまた数字に現れているような気がする。
オートレースについての見解はこちらを参照。
http://blog.goo.ne.jp/yoroshiku109/e/65f53a97731c0ba7f810d9824578a4c0
さて1日当たりの売り上げはどうなったか。
競艇・・・2億2904万454円(前年比▲0.8%)
競輪・・・2億6647万3100円(同▲1.5%)
オートレース・・・2億2548万2000円(同+30.5%)
地方競馬・・・2億4361万300円(同+5.3%)
なんと、オートレース、地方競馬ではプラスに転じている。
また競艇もほとんど前年比横ばい、競輪もわずか1%台の落ち込みである。
とりわけオートレースの見解の際に述べたが、開催を削り、その分場外発売に回した結果が功を奏している形であり、客自身が今や上位格レースを中心に全てのレースを買うのではなくて、選んだレースしか「買わない」といったあたりにも要因がありそうだし、また、相互場外発売を拡大されている効果も現れていると見られる。
しかしながら逆に、開催が大幅に削られたオートレースにおいて、やはり生で見たいという客の声も強くなっている。
そして場外頼みというやり方は一時的には効果を上げようが、長い目で見ていくと新規開拓を放棄している考え方もでき、将来的なものを考えると今のやり方では間違いなく、「明日はない」。
そんな中、D-netが「オッズパーク」と名称を変えてインターネットだけで予想から購入、さらにはレース映像まで全て「できる」ものを開発。一応、岩手・笠松・佐賀・荒尾の4箇所での導入ではあるが、本格的なインターネット投票ができるということから期待されると同時に、新規ファン層の拡大も当然「狙っている」。
さらに競輪、オートレースについてもインターネット投票の拡充を今年度中に謳っている。
確かに今やどの競技もインターネット投票は可能だが、はっきりいってどれも「電話投票」の延長線上でしかなかった。
しかしオッズパークの試みこそが本当のインターネット投票という見方もでき、2006年度は新たなアプローチをもって、今度は新規参入を呼び込める体制作りを心がけてほしいものである。
記念、特別競輪で儲けて、一般開催で吐き出すという
繰り返しが今の競輪業界ですが、
これでは自分たちの所でビッグレースを
開催している時は良いのでしょうが、
一般開催になると今度は他場に客を取られる
という繰り返し…
どうしたら良いのでしょうかね。開催を
減らすといっても月6日程度しか開催して
いないのに…
>地方競馬
売り上げの悪い高崎と宇都宮を廃止したから
平均値が上がったといえるので一部の
競馬場の売上が上がってもまだまだ厳しいですね。
どうしても高コスト体質になってしまうんですよね。調教するにも競馬場だけという訳にはいかないですし…
>競艇
2年連続で大きな下落幅となったので
昨年度は下落幅が縮まったといえるので
褒めてよいのやら…開催日は
一番減らしやすいのだから少しは減らしたほうが良いと思う。とりあえず150日程度に
した方が良いのではないでしょうか?
>オートレース
これは成功例なのでしょうね。賞金と開催日を削減して、場外発売を増やす。
ただ、オートレースの場合は何といっても
マイナー過ぎる。存在感が薄い。
どうやって入り口を広くするかが鍵ですね。
まぁ、これはどの公営競技にも言えることだけど…
総じていえることは、今や客の嗜好はランクが下のレースには向いておらず、常に上の方向を指しているため、ランクが上のレースには飛びつくが、下のレースには見向きもしないといえます。
一方で競輪、競艇、オートレースの場合、記念クラスは割りと堅調なのに、特別競走の売り上げが意外と低調という傾向が見られます。
これが10年ほど前までならばこれらの大会はやればやるほど売り上げが上がったわけですが、今や頭打ちを通り越して「衰退基調」ともいえるわけで、抜本的な見直しが必要な気がします。
このことはJRAのG1レースにもいえることで、とりわけJRAが充実を目指す、「マイル・短距離」レースは総じて売り上げが低調で、「やはり」中長距離レースは堅調に推移しています。あとダービーあたりのクラシックも。
客の嗜好・動向に業界が追いついていない感じがしてならないですね。どの競技においてもここ数年のうちに番組制度改革が必要な気がします。