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2024年ノーベル化学賞:ワシントン大学のデイビッド・ベイカー教授、「DeepMind」社のデミス・ハサビスCEO & 研究チームのジョン・ジャンパー氏

2024-10-10 02:33:59 | その他
ノーベル化学賞 AIでたんぱく質の構造予測に成功の研究者ら3人 NHK 2024年10月9日 23時10分

ことしのノーベル化学賞に、全く新しいたんぱく質を設計することに成功したアメリカのワシントン大学の研究者と、たんぱく質の立体構造を高精度に予測するAI=人工知能を開発したイギリスの企業の2人の研究者の合わせて3人が選ばれました。

スウェーデンのストックホルムにあるノーベル賞の選考委員会は、日本時間の午後7時前に記者会見し、ことしの化学賞に、アメリカ、ワシントン大学のデイビッド・ベイカー教授と、アメリカのIT企業、グーグルのグループ会社で、ロンドンに本社のある「DeepMind」(ディープマインド)社の▼デミス・ハサビスCEO、それに、研究チームの▼ジョン・ジャンパー氏の合わせて3人を選んだと発表しました。

ベイカー教授は全く新しいたんぱく質の設計に成功
このうち、ベイカー教授はコンピューターを使ってたんぱく質を構成する20種類のアミノ酸から他のたんぱく質とは異なる全く新たなたんぱく質を設計することに成功しました。

ハサビス氏・ジャンパー氏は AIでたんぱく質の構造予測に成功
また、ハサビス氏とジャンパー氏は「アルファフォールド」と呼ばれるAI=人工知能モデルを開発しました。たんぱく質は種類の異なる複数のアミノ酸がつながり、さらに複雑に折りたたまれることによって機能しますが、その立体構造の解明は長年にわたり、難問とされてきました。

「アルファフォールド」はすでに形がわかっているたんぱく質のアミノ酸のつながり方をAIに学習させることで、折りたたまれた状態の立体構造を高精度に予測することができ、これまで、多くの研究者が特定した2億個のたんぱく質の構造を予測することに成功しました。

選考委員会「たんぱく質の設計は人類にとって最大の利益」
ノーベル賞の選考委員会は3人の選考理由について、「ベイカー教授はアミノ酸を使って、まったく新しいたんぱく質を設計することに成功した。また、ハサビス氏とジャンパー氏は、たんぱく質の複雑な構造を予測するという50年来の問題を解決するAIモデルを開発した。このAIモデルは190か国、200万人以上の人々に利用されている。たんぱく質はホルモンやシグナル物質、抗体などとして機能し、生命はたんぱく質がなければ存在できない。たんぱく質の構造を予測し、独自のたんぱく質を設計できるようになったことは人類にとって最大の利益だ」と評価しています。

ベイカー教授「とても興奮していて、光栄に思います」
ベイカー教授は選考委員会との電話インタビューで「とても興奮していて、光栄に思います。寝ているときに電話が鳴り、電話に出たのですが妻がとても大きな声で叫び始めたので、よく聞こえませんでした。またとない特別な日になりました」と喜びをあらわにしました。

そのうえで「妻や両親や子どもたちなど、家族には本当に感謝しています。そして長年一緒に働いてきた素晴らしい人たちにも感謝を伝えたいです。彼らがすべてを可能にしてくれました」と周りの人々への感謝の意を述べました。

また、今回の研究成果については「私たちは、21世紀の人類が直面する多くの問題に対処できるような全く新しいたんぱく質の設計ができるかもしれないと最初の段階で可能性を感じました。そしていま、さまざまな分野で役立つたんぱく質を設計することが可能になりつつあります」と述べ、研究の応用について可能性と期待感を示しました。

さらに、ともに受賞が決まったハサビス氏とジャンパー氏については「彼らの画期的な成果はAIが持つ可能性を際立たせました。私たちはこのAIの手法をたんぱく質の設計に応用し、正確性などが向上しました。たんぱく質の設計で健康や医療、そしてテクノロジーなどの分野以外でも世界をよりよくしていけるのではないかと、本当にわくわくしています」と述べました。

ハサビス氏・ジャンパー氏が所属する「ディープマインド社」とは
ディープマインド社は2010年、デミス・ハサビス氏が共同設立者として立ち上げ、2014年、アメリカのIT大手、グーグルの親会社、「アルファベット」の傘下となりました。

2015年にはAI=人工知能を駆使した囲碁のコンピューターソフト、「AlphaGo」(アルファ・ゴ)を発表し、2016年、世界トップクラスの韓国人棋士との5番勝負の対局で、4勝1敗で勝利。AIの可能性を世界に示したことで大きな話題となりました。

同じ年に、ハサビス氏と同僚の研究者、ジョン・ジャンパー氏はAIでたんぱく質の立体構造を解明するため、「アルファフォールド」の開発に取り組み始めました。

そして、2018年には、2年に一度開催されるコンピューターでたんぱく質の立体構造を予測する技術を競う国際的なコンテストに挑み、開発の着手からわずか2年で優勝を成し遂げました。

また、その2年後に行われた同じコンテストには、より精度を上げた改良版の「アルファフォールド」で挑み、さらに高い精度で課題となる構造を突き止めて再び優勝を飾り、関係者の間で話題となりました。

2021年7月には、「アルファフォールド2」として一般に無料で公開され、多くの研究者が実際に使用し、その予測の精度に驚きの声が上がったほか、「アルファフォールド2」を用いた論文が世界中で発表されています。

ことしに入ってからはさらに精度や分析のスピードを上げ、これまで予測できなかった、たんぱく質と薬剤の複合体の構造も予測できる「アルファフォールド3」を発表し、注目を集めています。

人工知能学会 栗原会長“AIが欠かせなくなってきた”
人工知能学会の会長で慶応大学の栗原聡教授は、物理学賞、化学賞と2日連続でAIに関する研究がノーベル賞を受賞したことについて「きのうはAIを今の状態になしえた基本的な研究成果に与えられ、きょうはなしえたAIが具体的に役立ったことが実証されたことに与えられた。イノベーションを起こす何かを発見するにもAIが欠かせなくなってきたことを表していると思う」と話しました。

その上で、AIの急速な発展の背景について「AIには大量のデータが必要だが、インターネットがあったらからこそデータを集めることできた。ネット上で研究者が議論できたことも大きいし、何よりコンピューターの計算パワーが高性能になるなど、AIを動かすための下地が整ってきたことが大きい。受賞は起きるべくして起きたと言えるかもしれない」と述べました。

一方で、AIをツールとして使用する際の懸念として「AIに何を任せるのかは人間が決めなければならない。最初に人間があり、その後、AIを動かすのでそれを失ってしまったら、人間である価値がなくなってしまう。今までのテクノロジー以上に想像を超える答えを返す技術ができてきたと考える方が正しいだろう。人間には、今まで以上に何をしたいか、目的意識を持つことが要求されるようになる」と指摘した上で、「先日のヒントン先生も、AIは強力な道具であるため悪影響も大きいことを懸念していた。だが今回の化学賞を見ても分かるように、具体的に役立つものを危険だからといって止めることはしないだろう。使う側のモラルやどう使うのかということが試される状況になる」と話していました。

また、今回化学賞を受賞した「DeepMind」社のCEOデミス・ハサビス氏については「彼はAlphaGoで世間を驚かせた天才であり、ディープラーニングの世界でもトップの存在だ。惜しみない努力の末に人間がなしえないことをできるAIを自分自身で作り出した。すごいという言い方以外に例えようがない」と話していました。

ベイカー教授知る専門家 “常に新しいことに挑戦する研究姿勢”
ノーベル化学賞の受賞者に選ばれたワシントン大学のデイビット・ベイカー教授の研究室に2007年から2014年まで所属していた大阪大学蛋白質研究所の古賀信康教授は9日、大学で報道陣の取材に応じました。

この中で、ベイカー教授が受賞したことについて、古賀教授は「いろいろな賞をとっていたのでノーベル賞の受賞もあり得ると思っていました。ベイカー教授の業績によって、自然界にあるたんぱく質だけでなく、全然違うたんぱく質を作ることができ、新たな薬や酵素の開発などにつながっていくと思います」と話していました。

また、その人柄については「1を言うと10がわかる、理解あるいい上司でした。1つのことを突き詰める能力だけでなく、常に新しいことに挑戦する研究姿勢が印象的でした」と振り返りました。

その上で、AIに関する研究分野が8日の物理学賞に続いて受賞したことについて感想を問われると、「皆さんもいつの間にかAIのお世話になっているので2日連続の受賞も当然だと思います」と話していました。

分子科学の専門家 “薬をつくることも より豊かな社会の実現に”
2012年から2015年までの3年間、ワシントン大学のベイカー教授の研究室で研究員を務めた分子科学研究所の小杉貴洋助教はベイカー教授の研究成果について「たんぱく質を自由自在に設計することで、例えばコロナウイルスを阻害するたんぱく質を設計して薬をつくることができたり、新しい触媒や酵素をつくって環境問題の解決につなげたりすることもできる。病気に苦しむ世界中の人々を助け、より豊かな社会の実現のために広く応用できる成果だと思います」と意義を話しました。

その上で「一緒に研究をした3年間ではつねに新しい技術を貪欲に取り入れ、研究室のメンバーにも気を配って気さくに話しかけ、研究者としても人間としても素晴らしい人だと思います。いつかノーベル賞を取るだろうとは言われていましたが、実際に受賞が決まったと聞いて、やはりすごい人なんだと改めて思いました」と喜びました。

AI活用に詳しい研究者 “AI使う研究者も腰を抜かした”
生命工学分野のAI活用に詳しく、自らもAIを研究に使っている北里大学未来工学部の齋藤裕教授は今回受賞の対象となった成果について、「創薬においては薬の標的となるタンパク質の構造を実験で調べる必要があったが、アルファフォールドのような予測精度が高いAIが出てきたことで、実験しなくても分かるようになった。実験で調べるのに比べ、コストが下がり素早く研究が行えるようになった。AIによる構造予測自体は長い研究の歴史があったがアルファフォールドのバージョン2で、今までの手法が過去になるぐらい劇的に精度が上がって、私たちのようなAIを使った研究をする人間も腰を抜かした」と話しています。

さらに、「AIの研究者だけでなく生物の実験をしている人にも日常的に使われていることはすごいことで、十分にノーベル賞級の研究だと思う。特にたんぱく質を研究する分野に与えたインパクトは大きい」と述べ、受賞が決まった3人の功績をたたえました。

一方でAIを研究に活用する際に、どこまでを委ねるかについては、「人間が幸せになったり豊かになったりするために研究している側面があるので、AIがいくら発展しても、何を幸せに感じるかは人間が定義していかないといけない。AIはできることが増えて非常に強力なツールなので、それと共存する中では、研究の方向付けは人間が人間のためにやらないといけない」と話していました。

ノーベル化学賞 18:45分以降に発表
2024年のノーベル賞の受賞者は、日本時間の10月9日(水)午後6時45分以降にスウェーデンの首都・ストックホルムで発表されます。

こちらのNHKのニュースサイトでは、現地の会見の様子を同時通訳付きの「ライブ配信」でお伝えするとともに、受賞者の情報を速報します。

注目の研究者は
ノーベル化学賞は、これまで日本から8人が受賞していて、ほかにも「ノーベル賞級」とされる成果を挙げている日本の研究者が多くいます。

東京理科大学 栄誉教授の藤嶋昭さんは、水中の「酸化チタン」に紫外線を当てると、水が水素と酸素に分解される現象を世界で初めて発見し、有害物質の分解などに利用される「光触媒」の実用化の道を開きました。

科学技術振興機構 理事長の橋本和仁さんは、藤嶋さんとともに「光触媒」の研究に取り組み、汚れや有害物質のほか、細菌やウイルスを分解する力があることを明らかにしました。

東京大学 卓越教授の藤田誠さんは、分子どうしがひとりでに結びつく「自己組織化」と呼ばれる現象の研究で国内外で高く評価されています。

京都大学 理事の北川進さんは「多孔性金属錯体」という特定の気体を貯蔵できる材料の合成で世界的に注目されています。

信州大学 特別特任教授で東京大学 特別教授の堂免一成さんは、「光触媒」を使い、植物のように太陽の光を利用してエネルギーを生み出す「人工光合成」の研究で、効率的に水素を取り出す手法を開発しました。ことし、イギリスの学術情報サービス会社からノーベル化学賞受賞の有力候補にあげられました。
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